9回、もう一人の主役。
2008年 07月 28日
ここで登板したのは当然、寺原投手だったのですが、先頭の石原選手にセンター前ヒットを打たれノーアウト一塁。さらに続く松本選手にバントを決められ、1アウト二塁。一打同点という場面で、迎えるバッターは目下首位打者を争っている東出選手。
このところセーブは挙げているものの、7月初旬の阪神戦では大逆転負けを喫するなど、抑えとしてはまだ盤石の信頼があるとはいえない寺原投手だけに、横浜ファンとしては嫌な気持ちがよぎる場面。しかも、ストレートの球速はいつものように150km以上を計測するも、そのコントロールもこれまたいつものように甘い状態。
解説の達川氏も、「寺原、状態はよくないですね」と指摘していました。
しかし、ここで、今シーズン叩かれることも多かった相川捕手のリードが冴えます。
特に出色だったのは、東出選手にカウント2-1としたところで4球目に要求した内角高めのストレート。このボールは東出選手がファールにしたのですが、ここで達川氏いわく、「これで、どの球を投げても東出は振りますね」。
その予言どおり、東出選手は、続く5球目の内角低めに鋭く落ちるカットボールを空振りし、三振。あの達川氏が「すごいリードですね」と絶賛する配球。確かにバッター目線からすると、ファールしたことで150km以上の内角高めのストレートが打った感触として残り、さらには追い込まれていることで「何の球が来るんだろう?」ということで、打者がコース・球種ともに広範囲のボールをマークしなければいけない状況を作り出したこのリードは素晴らしかったと思います。
相川捕手は、続く代打・嶋選手の初球にも、内角高めの速球を要求(結果、ファール)。どうしても安全策をとって、外角低めのストレートを要求しがちなところですが、寺原投手のストレートの球威を信じて、さらには打ち気にはやる嶋選手の心理を利用しての初球の入り。結局、この打席はほぼストレートで押し(さらには、制球があまり定まっていないと判断したからか、無理に低めを要求したりもせず)、結果、ややボール気味の外角ストレートにつられる形で、嶋選手は空振り三振、ゲームセット。
達川氏が「調子の悪かった寺原を、相川のリードが生き返らせましたね」と褒めたたたえたように、寺原投手を、さらにはチームを救ったリードを見せてくれました。
(なお、そのリードの素晴らしさに気づいたのは、達川氏の指摘があったからです(^^))
今更言うまでもないことですが、9回1イニングの攻防、しかも競った場面でのせめぎ合いというのは、それまでの8イニングの全てを背負うイニングでもあります。そんななか、ストッパーは「抑えて当たり前」という目で見られるわけで、だからこそチームで一、二を争う投手(短いイニングの場合に)がその役割を務めます。
しかし、どれほど盤石と言われるストッパーも調子が悪いこともあるでしょう。そんなとき、悪いなりにごまかしたり、あるいは開き直らせたりして、なんとか凌ぎきらせるキャッチャーの存在がグググッと大きいものになってきます。
思えば、数年前、クルーン投手が初登板したときのこと(開幕カードの中日戦。このときはまだストッパーではなく8回ぐらいでの登板だった)。
150km以上のストレートを投げ込むもののストライクが全く入らず、「いったいどうなることだろう」と思ったところ、一球チェンジアップでストライクをとり、以降はコントロールが落ち着き、無失点で切り抜けたということがありました。
「ピッチャーって、一球で変わるんだ」と驚いたと同時に、キャッチャーのリード(言い換えればピッチャーの操縦術?)の大事さを改めて感じました。
ペナントシーズンも、明日で前半戦が終わり、今後、クライマックスシリーズ出場に向けて、さらなる凌ぎ合いが続くでしょう(1球団を除いて)。
ストッパーの重要性もますます大きくなりますが、当然調子の悪い時期というのが出てきます。そんなとき、マスク越しに受けるキャッチャーが、どんな業を見せるのか?
ストッパーの調子云々だけで語られがちな9回の攻防ですが、そこで目立たずとも重要な役割を担う捕手たちのサインとミットの動きにも要注目です。



























