経験でモノを語るということ
2008年 05月 15日
そのうちの一冊が、「ウェルカム・メジャーリーグ2008」(白夜ムック)。
「野球小僧」で知られる白夜書房の本で、判型含め内容は「野球小僧」のメジャー版といったところ。メジャーを詳しく見ない身としては、「球団スカウティングレポート」の選手紹介のところに昨年(and 通算)の成績が載っていないのがちょっと残念だが、中身はなかなか読み応えあり。
その内容を厚くしているのが、村上雅則と佐々木主浩による、日本人大リーガーチェック。
日本人メジャーの記事の場合、ともすると本人のインタビューやエピソードを交えて、最後は「必ずやってくれるだろう」的な形で締めくくられるものが多い(本人への取材記事の場合、それもむべなるかなとは思うけど)が、実際に自分の身を置いて戦った2人の論評は、かなりリアリスティックな分析。
選手の実力はもちろんのこと、チーム、フロント、選手層、チームカラー、ファンなど、いろいろな要素を絡めたうえで、他者ではなかなかできない解説をしてくれている。
ここでやはり感じるのは、村上氏、佐々木氏の「選手」としての経験の大きさ。
昨年のオープン戦、松坂がそれなりに抑えていた頃の話。映像を見て、佐々木が言った一言。
「あの球を投げてるようだったら、シーズン中やられますね」
日本では向かうところ敵なしで大リーグに乗り込み、メジャーでもクローザーとして成功を修めたものの、その一方で、日本では打たれたことのないボールを軽々とスタンドに運ばれた経験を持つ身だからこその発言。
ともすると、才能で投げてきたようも思われがちな佐々木だが、コメントなどを聞いていると、結構考えながら投げていた部分も垣間見られる(まあ、そこから放られるボールは、とても常人では投げられないボールだったけど)。
自分が、その場に身を置いてきた人間の発言はやはり重い。
ただ、そうした貴重な経験、さらにはプロ野球の凄さ(あるいは奥深さ)を伝えてくれる解説をしてくれる元選手というのは、残念ながら少ない。
もちろん「話のプロではないから」という部分もあるかもしれないが、ピッチャーが打たれたら「内角を突かなきゃダメですね」というだけで、そこから先の「じゃあ、どうやって、どの球種で突かなきゃいけないのか」までは説明できない解説者。
先頭バッターがフォアボールで出ると、「これはダメですね」と言うのはいい。でも、じゃあなぜフォアボールを出してしまうのか、どうすればフォアボールを出さなくなるのかまで説明できて、初めてプロの解説者ではないかという気がする。
それこそ、ただウイークポイントをあげつらう解説をするのであれば、「よく『何でフォアボール出すんだ』と言われますけど、実際マウンドにいると出しちゃうんですよ」という方が、まだ実体験に基づいた真摯な解説ではないかとも思う。
そうした解説をしていたのが、解説者時代は嫌っている人も多かったものの、このところの西武打線の好調で評価を上げつつあるデーブ大久保。
「『やれっ』て言われても、そう簡単にできないんですよ」「○○みたいな事言われたら、選手もヤル気なくしますよ」といった、ある意味リアルな選手の気持ちを紹介してくれた解説は、個人的には好きだった(なお、バッティングに関してはこと長打力の部分は天性のものがあったと思う。生涯成績は158安打だが、うち41本がホームランというのは驚異的な率)。また、二軍生活が長かったとはいえ、7年半在籍したということもあり、そこでの経験・人脈を生かした西武の舞台裏の話なども興味深かった。
ファンの側もこれだけ野球を見ているなかで、毎度毎度、ノーアウト二塁の場面で「ここは最低でもランナーを進める右打ちを…」、ホームランバッターを迎えると「ここは高めに言ってはいけませんよ」と、それだけ言っていれば誰からも責められないかのような解説ばかりされても、正直飽きるというのが最近の気持ち(もちろん、そうした基本が大事なところもあるとは思うけど)。
必要以上にうるさかったり、相手チーム(←その放送局的に)のこと(選手の特長、選手起用のパターンetc)をほとんど把握していない(この部分では巨人のことがよく批判されるが、阪神、中日、…、更に言えば横浜寄りの中継(ex.TBSニュースバード)でも結構そうした解説はある)のは論外だとして、もう少し「プロ野球」のもう一つ奥を見せてくれるような解説を聞かせてほしい。
140kmのボールが飛び交うなかでプレーをしてきた人の言葉には、それだけの重みがあるはずだから。
ちゃんと解説聞いてないやつらばかりじゃないのって思う。
デーブさんの解説で印象的だったものをひとつあげると、
「試合前のブルペンはもちろん、最初のイニングでピッチャーの調子
なんてキャッチャーからだってわからない。ああ、いいなって思って
そういう配球をしたところで、バーン!って打たれることだってあるわけ
だから。だからきちんとした、各打者に応じた基本的な攻めを初回から
しなければいけない」というものがありました。こんな具合に
分かりやすい解説が多かったように思うのですが、
ネット界では人気ないですね(笑)。
例を挙げていただいたように、確かに大久保氏の解説のわかりやすかった点として、失敗談を持ち出してきて話すというところがありました。
「現役時代、失敗が多かったからだ」なんて言う人もいそう(^^)ですが、解説者になった途端、高見の見物的な解説をする(もちろんそうした解説が似合う人もいますが)よりも、実際のプレー経験を持ちだして説明してくれた方が好感を持てますし、こちらとしてもイメージがわきやすいですよね。「打撃投手の○○さんが…」みたいな話をしてくれる解説者も決して多くはありませんし、そうした意味ではいい解説をしていたと思います。
まあ、ネットでのファンの意見の割合が、そのままファンの意見の割合とは思わないので、なるたけそうしたものに惑わされず(もちろん、素晴らしい意見や指摘もありますけど)、野球を見ていきたいなあと思う今日この頃です。



























