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最高のドラフトは?

先日、本屋のスポーツ雑誌コーナーでふと一冊の本を見つけました。
それは「別冊宝島 プロ野球選手のドラフト伝説 2008」。

特に買う気もなかったのですが(雑誌コーナーに行ったのは、ボクシングマガジンの新しい号が目的だった)、「過去15年のドラフトは成功か否か!! -各球団“ホント”のドラフト力を徹底検証」というコピーに惹かれて、パラパラとめくってみました。
中には、12球団別に1992年~2006年までのドラフト全指名選手が載っており、それぞれの年について、S・A・B・C・D・Eの評価がされていました。
各年ごとのレビューに加え、どの選手にも1行コメントが書かれており、「これは買わなくては」と思い急遽購入(^^)。
A5時代の頃はよく買っていた別冊宝島のプロ野球特集ですが、その後、版が大きくなってからは、たまに立ち読みする程度。それこそ7、8年ぶりぐらいに買いました。

ところで、ドラフトに関しては、この数年の「ドラフト談義」によって数多くのアマチュアの有力選手がスポットライトを浴びる機会が増えました。ファンの中でも非常に濃い議論が交わされ、毎年盛り上がりを見せている感があります。それこそ小さな大会にも足を運んで選手のプレーを詳細にレビューしている記事などを見ると「凄いなあ」と思います。
ただ、一方で「ドラフト」はどうしてもその性格上、また制度的なこともあって「いかにいい選手を指名するか」という「眼力」よりも政治的な要素が重要になることも多く、「ドラフトを語る」ことは、「野球そのものを論ずる」というより、各球団の金銭力・人脈などへの論評(ドロドロした部分も含めて)の性格が強いので、個人的にはあまりのめり込めません。
まあ自分の場合、まず「140kmを投げられる」ということだけで尊敬してしまうので、とりあえずアマチュアの段階で論評するのは恐れ多いなあ、なんて思ったりします(プロは、評価されるのが仕事だから、まあ許してもらおうかなと(^^))。

さて、本の話に戻って、データが載っていたのは、ひとまず逆指名最終年となった1992年~昨年までの15年(1993~2000年は逆指名制度、2001~04・自由枠、2005・06年は希望枠+分離ドラフト)。
誰が評価してもまさに大成功ドラフトといえる年は「」がつけられている一方で、ほどんど活躍した選手が出なかった年には容赦なく「」がつけられています。
よくドラフト後に、監督やフロントから「今回のドラフトは90点」などというコメントが聞かれますが、言うまでもなく、ドラフトの評価はその数年後にそれらの選手が活躍したかどうかで初めて判断されるべきものなので、そういう意味では貴重な資料といえると思います。

さて、栄えある「S」評価を受けたドラフトは、下記のとおり。

西武
 〈98年〉
  1 松坂 2 赤田 3 星野 4 柴田

ダイエー
 〈96年〉
  1 井口 2 松中 3 柴原 4 倉野 5 岡本 6 村上 7 新里
 〈02年〉
  自 和田 自 新垣 4 溝口 5 大野 6 森本 7 田中直 8 稲嶺

中日
 〈98年〉
  1 福留 2 岩瀬 3 小笠原 4 蔵本(英智) 5 川添 6 矢口 7 新井峰

阪神
 〈96年〉
  1 今岡 2 関本 3 濱中 4 星山

巨人
 〈98年〉
  1 上原 2 二岡 3 加藤健 4 安原 5 酒井 6 玉峰 7 進藤 8 高野

(順位は指名順位(巡)、自は自由枠、太字 … 一軍で実績を残している選手(管理人判断))

さすがにメンバーを見ると、「おおっ!!」という感じです。
ただ、98年の西武松坂投手をとれただけで「S」評価でしょうし、その他のドラフトは、「金と人脈で…」という部分もかなり見え隠れしており、単純に「球団の眼力がある」とは言えないところがあるでしょう。
ということで、少し目線を下げて、評価「A」の年も見てみると……。

日本ハム
 〈96年〉
  1 矢野 2 今井 3 小笠原 4 生駒 5 高橋憲 6 村上 7 高橋信 8 林田
 〈04年〉
  1 ダルビッシュ 3 橋本 4 MICHAEL 5 市川 6 菊地 7 中村渉 8 鵜久森 9 工藤
 〈05年〉
  (高)1 陽 3 木下 4 今成 (大・社)希 八木 3 川島 4 武田勝 5 小山 6 高口 7 星野

西武
 〈93年〉
  1 石井貴 2 山田潤 3 松井 4 尾山 5 白鳥
 〈94年〉
  1 富岡 2 小関 3 西口 4 高木浩 5 寺本 6 山田和
 〈96年〉
  1 玉野 2  3 谷中 4 和田 5 馬渕 6 青木和 7 古屋
 〈00年〉
  1 大沼 2 三井 3 帆足 4 佐藤友 5 中島 6 野田 7 水田 8 福井
 〈04年〉
  1 涌井 3 片岡 4 山岸 5 星 6 藤原

ダイエー(ソフトバンク)
 〈94年〉
  1 城島 2 斉藤貢 3 本間 4 藤井
 〈01年〉
  1 寺原 3 杉内 4 神内 5 北野 6 飯島 7 養父 8 井手正

ロッテ
 〈98年〉
  1 小林雅 2 里崎 3 川井 4 寺本 5 小島

近鉄
 〈96年〉
  1 前川 2 大塚 3 磯部 4 中浜 × 斎藤 6 大久保 7 岩村

中日
 〈95年〉
  1 荒木福留) 2 門倉 3 藤井優 4 渡辺 5 大塔 6 益田 7 日笠
 〈97年〉
  1 川上 2 森(章剛) 3 正津 4 鈴木郁 5 井端 6 高橋光 7 白坂 8 清水清

阪神
 〈98年〉
  1 藤川 2 金沢 3 福原 4 部坂 5 寺田
 〈02年〉
  自 杉山 自 江草 4 中村泰 5 久保田 6 三東 
  7  8 田村領 9 新井智 10 伊代野 11 萱島 12 松下

ヤクルト
 〈03年〉
  自 川島 2 山田裕 4 青木 5 吉田 6 佐藤賢

巨人
 〈92年〉
  1 松井 2 門奈 3 西山 4 木村龍 5 村田善

広島
 〈96年〉
  1 澤崎 2 黒田 3 河野 4 福良
 〈98年〉
  1 東出 2 井生 3 矢野 4 森笠 5 小山田 6 新井 7 酒井 8 広池

横浜
 〈02年〉
  自 村田 自 土居 4 加藤 5 吉村 6 北川 7 飯田 8 河野 9 堤内 10 武山 11 木村  

(希は希望枠、打ち消し線は指名するも抽選はずし、×は入団拒否)

こう見ると、やはり西武の成功率が目立ちます。今年のシーズン前はいろいろと不祥事が明るみに出ましたが、やはりそのことを差し引いても(というより、弁護する気はないけれど、他球団も同等のことをやっていないと断言はできない)、選手を見る力が高い球団といえるでしょう。もちろんドラフトだけではなく、その後の育成も含めて力のある球団といえるかもしれません。
なお、ここで紹介した年は「S」「A」評価の年のみですが、ロッテなどは「A」評価こそ1年しかないものの、「B」は多く「E」が少ない、といったように全体的に安定した成果を上げています。
一方で、横浜は結構「」評価の年がありますね(どの年かはあえて書きませんが)。
なお、この本では「B」評価でしたが、まだ実績は1年しかないものの、田中永井渡辺直と4人の主力選手を生み出した楽天06年ドラフトも「A」評価としていいかもしれません。

また、上で挙げたデータを見てわかるように、98年大豊作の年(現在の球界を代表する選手の名前がズラリと並ぶ)であり、他の年に比べるといい選手を獲りやすかった年(野茂、古田、佐々木らが入団した1989年のドラフトに継ぐ豊作年かも)といえるかもしれません。

さて、結果として(大)成功に終わったドラフトをズラッと挙げてみましたが、その中でも「最高のドラフト」はどれでしょうか?(パンチョ伊東氏最後の司会となったのが1991年。それ以後の15年間で)
もし「金銭的なアドバンテージも球団の力」と評価するのであれば、一番はやはり96年のダイエーでしょう。次いで98年の巨人あたりでしょうか。
そうした金銭的なものをなるべく考えずに、また98年については少し差し引いてできるだけ「球団の眼力」に重きをおいての、個人的ドラフトベスト3は下記のような感じです。

1位
 00年・西武
 (中島選手以外は脇役とはいえ、8選手中7選手(太字にはしなかった水田選手含めて)が一軍実績があるというのは驚異の確率)

2位
 98年・中日
 (逆指名ではあるが、福留選手・岩瀬投手と、のちに日本を代表するスラッガーとストッパーを獲ったというのは凄いドラフト)

3位
 93年・ロッテ
〔1 加藤高 2 立川 3 大塚 4 中山 5 諸積 6 小野 7 福浦〕
(1位の加藤投手がほとんど活躍しなかったということで本では「B」評価だったが、一軍で活躍した選手を5人も出した、これまた驚異のドラフト。特に6・7位がこのメンバーなのが凄い(^^))

なお、今年の大学・社会人ドラフトは、10日後の11月19日(月)。前述したように、毎年ドラフト前のいわゆる「政治的」情報が飛び交う光景というのは、あまり好きではありません(希望は完全ウエーバー制ですが、かといって球団消滅もある現在の球界で「どこにいってもプロは同じ」と言うのは無責任な意見の気もします)が、急遽(表面的な)逆指名がなくなって、俄然どの投手がどの球団に入るのかわからなくなった今年のドラフト。
久々に興味を持って見ることができるドラフトになりそうです。

追記:本記事では「S」「A」評価しか紹介しませんでしたが、短いとはいえ過去15年の全指名選手対してツボを抑えたコメントが載っていることに加え、上原選手・中田選手(取材は指名前のもの)、ロッテの松本スカウトや広陵の中井監督のインタビューも収録。「野球好き」には、お勧めの一冊です。
by momiageyokohama | 2007-11-09 03:48 | 野球(全般) | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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