コーチの実力
2006年 11月 03日
大物選手のFAやポスティング移籍など、選手の動向に注目が集まるプロ野球のストーブリーグですが、その一方でコーチの移籍・退団・配置変更も目まぐるしく行われています。
そのコーチ人事。
本来は、そのコーチの実力によって契約するかしないかが判断されるべきだとは思いますが、実際は人脈的なもの・フロントの折り合い、あるいは首脳陣間で性格が合う合わないといった要素も多分に関係しているようです。
今回の長嶋コーチの発言も、そうしたものが表面化した結果といえるでしょう(どちらがいい悪いというのは別として)。
そもそも「コーチの実力」というもの自体、わかりにくいものです。
よく「○○選手を育てた△△コーチ」という言い方がされますが、実際は「そのコーチのおかげ」というよりは、元々その選手自体が素晴らしかったからという場合も多々あります。
「育てた」度合いも、それこそ二軍時代から付きっきりで教えた場合から、練習後にちょっと言った一言が打撃開眼の切っ掛けになった場合まで、それこそケースによってまちまちでしょう。
またコーチとして、チーム全体で見ると成果を上げられなかったものの、ある選手にとっては非常に力になったという場合もあります(例えば、横浜〔湘南〕の田代打撃コーチ。在籍時のチーム打率という点ではやや低いものの、金城選手・多村選手の飛躍に大きく貢献したといわれています)。
さらには、あるチームでは評価が高かったのに、他の球団に移ったところ成績を残せなかった(あるいはその逆)というケースもあります。
「名コーチ 選手変われば 必ずしも名コーチならず」ではないですが、「良い」といわれているコーチの指導でも、選手・チームによって合う合わないがあるのかもしれません。
(一方で、水谷実雄コーチ〔中日・阪神etc多数〕、金森コーチ〔阪神・西武・ソフトバンク〕のように、渡り鳥のように各球団を渡り歩いているコーチもいます)
また以前、解説者の大久保氏が言っていて「なるほどな」と思ったのが、右バッター用と左バッター用で別々に打撃コーチをつけたらいいのでは、という指摘です。
確かに素晴らしい打撃理論を持っているであろう落合博満氏のバッティング(まあ特殊なフォームですが)も左バッターが真似するのはなかなか難しいでしょう(鈴木尚選手の例もあり)し、イチロー選手の打ち方(こちらもまた特殊(^^))が右バッターにとって参考になるかというと、必ずしもそうでないかもしれません。
さらに言えば、その時々の選手のレベルに応じて「合う指導合わない指導」というものもあるでしょう(今はわかるけど、あの時のレベルでは理解できなかった、といったような)。
究極的には、そうした「選手による違い」に応じた指導法ができるコーチが素晴らしいといえるかもしれません。
ただ、そうしたものを完璧に兼ね備えたというコーチはそうそうはいないでしょう。
そういった「指導」の功罪の影響を最終的に受けるのは、当然選手達。
選手としては、自身の実力に加えて、そうした幾多の指導・コーチングの中から、自分に合ったやり方を「選び取る力」も求められるのだろうな、と思ったりしました。