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プロ野球中継の現状。

交流戦が始まって1週間。
今週火曜からは3カード目に入りましたが、関東地区の野球ファンは、今年のプロ野球の中継に異変を感じているのではないでしょうか。

先週、巨人オリックスと2試合(雨で1試合中止)、西武と3試合戦いましたが、そのうち、11日(木)のオリックス-巨人(スカイマーク)と、12日(金)の西武-巨人(インボイス西武)は、地上波での中継がありませんでした(なお、1試合放送されたオリックス-巨人もテレビ東京での放送)。
11日の試合は、オリックスの先発が現在快投を見せている平野佳投手(どことなく顔が西崎投手に似ている?)が登板(巨人の先発は工藤投手)、12日の試合は松坂投手と内海投手の投げ合いということで、地上波での中継がなかったのは何とももったいないと思ったのですが、テレビ局としてみれば、最近の巨人戦視聴率の激減+知名度の低いパ・リーグとの対決による視聴率リスクを考えて、こうした決断になったのでしょう。

今週も、19日(金)と21日(日)の楽天-巨人は地上波中継なし(放映権はテレビ朝日で、新聞では「BS朝日で独占放送(CSを除く)」とうたっていました)。
交流戦が決まったときは、「これでパ・リーグのチームもゴールデンタイムで放送され、スポットが当たる」と嬉しく思ったのですが、現状では逆に、テレビ局に巨人戦をゴールデンタイムに放送しない切っ掛けを与えてしまった感すらあります。

確かに最近は、スカパーやケーブルテレビで野球を見ている人も増えましたが(自分もスカパー観戦者です)、まだそうした人は少数派といえるでしょう(cf.2005年10月現在のスカパー加入者-342万人、2005年12月末のケーブルテレビ加入世帯-1888万世帯という数字はありますが、このうちどれぐらいの人がプロ野球を見られる環境にあるかはちょっとわかりません)。

なお、昨年のナイター平均視聴率を見ると、下記のようになっています。

〔セ・リーグ〕
 巨  人 (139試合、関東地区) 10.2%
 ヤクルト (21試合、関東地区)   9.2%
 横  浜 (17試合、関東地区)   9.2%
 阪  神 (94試合、関西地区)  16.1%
 中  日 (79試合、名古屋地区) 13.7%
 広  島 (91試合、広島地区)  12.5%

〔パ・リーグ〕
 北海道日本ハム (19試合、札幌地区)    11.4%
 東北楽天      (13試合、仙台地区)    16.0%
 千葉ロッテ     ( 6試合、関東地区)    11.1%
 西 武       ( 7試合、関東地区)     11.6%
 オリックス     (10試合、関西地区)     10.5%
 福岡ソフトバンク (71試合、北部九州地区) 14.6%
                 
                                  (ビデオリサーチ調べ・4/13朝日新聞)

プロ野球の視聴率として引き合いに出される巨人戦の視聴率は、10.2%
また、横浜、ヤクルト、ロッテ、西武に関しては対巨人戦の視聴率とイコールと考えていい(西武の1試合を除いて)と思いますが、ヤクルト-巨人、横浜-巨人の視聴率の悪さが目立ちます。
関東地域以外の放送形態についてはわからないのですが、数字を見る限りでは、阪神ソフトバンク、そして楽天の健闘が目立ちます。中日広島に関しては、巨人の視聴率ほどは悪くないですが、以前から比べるとどうなのでしょうか。

話を再び巨人戦に戻して、今年の4月の巨人戦視聴率は12.7%でした。これは昨年の4月と比べると0.2%低い数字です。昨年は、巨人戦の低視聴率の原因を、巨人の低迷とする意見も多かったですが、今年は好成績を残しているにかかわらず、この数字。
もちろん、その原因としては、「一度野球を見る習慣をやめてしまったファンがまだ戻ってきていない」「前述したスカパー・ケーブルテレビの視聴者の増加」「インターネットで速報が見られるようになったという状況の変化」などといったことも考えられます。
しかし、巨人ファンにしても巨人ファンでない人にしても、ゴールデンタイムに野球を見るという"熱"が全体的に冷めているということは事実でしょう(スカパーetcで野球を見ているファンは別として)。

個人的な私案としては、NPBがプロ野球全試合の放映権を一括で管理し、その日その日で一番魅力のある(需要が多い)と思われる試合(たとえば、巨人と下位チームとの対戦(本意ではないですが横浜とか)よりは、松坂と和田(ソフトバンク)の投げ合いの方が見たい視聴者はいるかもしれません)を、ゴールデンで放送してもらうようテレビ局に働きかける方式にするのはどうかと思っています。その方が、遠回りに見えても、最終的にはゴールデンから野球中継をなくさない方法だと思うのですが、現状ではそうしたことを実現するのはかなり難しそうです。

一方で、交流戦での巨人戦非放映といった状況に見られるように、テレビ局がプロ野球をゴールデンタイムで放送しようとする姿勢は、今後さらに腰が引けたものになっていくことが予想されます。今年の中継を見ていると、各局とも色々と策を施しているように見えます(ex.TBS-他球場の途中経過を画面上部にずっと表示、テレビ朝日-現在の対戦野手・投手名を画面左上に表示)が、野球自体を盛り上げようというよりも、視聴率を減らさないための必死の策という感じがします。
先日は、広島-巨人戦が地上波で放映されませんでしたが、その余波は今後、横浜戦・ヤクルト戦といった所にも波及し、最終的には、毎週3日程度しかゴールデンタイムで野球が放送されないといったことになるかもしれません(あくまで関東地区での話ですが)。
煽り的な表現であることを承知で言えば、プロ野球が日常であった時代から、マイナースポーツになる時代は、意外と早いかもしれません。

もちろん、ファンの細分化・試合を見る選択肢の増加(お金を払えば)という状況もあるので、ゴールデンタイムでの中継が減ることが、即野球ファンの減少につながるとはいえないかもしれません。ただ、テレビ局にとって、野球というソフトの価値がかなり下がっている状況で、何も手を打ってない(ように見える)野球界は、あまりにも危機感がないように思います。
「巨人戦の視聴率が落ちた」「やはり巨人が勝たないと」「いやいや、プロ野球の人気を巨人戦の視聴率だけで語るな」……というのは、よく野球ファンの中でされる議論ですが、事はもうそうした次元を越えており、もっと根本的な所を変えていく必要があると思うのですが。

(今回の記事は、あくまで関東地区に住む人間の実感として書いたものです。他の地域では、また状況が違うと思いますので、自分の住んでいるところはこうだよ、という意見がありましたら、教えていただければと思います)
by momiageyokohama | 2006-05-17 03:29 | スポーツ中継 | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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