大洋時代から数えると30数年、横浜ファンであるが、特定の選手を「応援する」ということは実はあまり無かった。
(もちろん、大洋・横浜、それぞれの選手に思い入れはあり、過去に、
石井琢朗、
佐伯貴弘、
盛田幸妃、そして、
三浦大輔(現監督)についてのブログを書いたこともあるのだが)
そうしたなか、なぜ、関根大気が、自分が横浜(大洋)を見てきて、ほぼ初めてと言っていい、応援しようと思える「特定の選手」になったのか。
その理由は、2017年の開幕前に、
Numberの記事で見た「今年(レギュラーを)奪い取らないと、ぼくは終わってしまう」というコメントだった。
その前年の2016年シーズンは、筒香が、リーグ2冠(44本塁打、110打点。打率もリーグ3位の.322)を達成した。
また、長年故障に弱いイメージのあった梶谷も、レギュラーとなって3年目。
さらに、関根の2学年上である桑原が、チームで希少な右打ちの外野手としてレギュラーを勝ち取った。
3人とも、まだまだ、この先も外野のレギュラーを担っていける年齢(2017年開幕の時点で、筒香25歳、梶谷28歳、桑原23歳)。
そうした、明らかに外野のレギュラーを勝ち取るのが難しい状況にもかかわらず発せられた、前述のコメントが、強く印象に残った。
2016年、11年ぶりのAクラスを果たした横浜ではあったが、それ以前の大洋時代にも経験のないほどの2000年代から2010年代の低迷期は、「プロ野球選手になったことだけで満足しているのでは」と思ってしまうコメントであったり、姿勢だったりが、ファンの耳にも漏れ伝わってきた。
自分も一人の社会人として働いているということを考えたときに、「プロとしての仕事をしていない」ように見えるチームを、さすがにこれ以上応援し続ける気にはなれず、1年間、ファンという視点を外してチームを見たこともあった。
そうしたなか、21歳にして、「今年奪わないと、終わってしまう」という猛烈な危機感を持ってプレーしている選手の存在に嬉しい気持ちになった。
そして、チームが本当の意味で変貌を遂げていることの象徴(言っても、この時点ではまだ10数年ぶりにBクラスを脱出したばかりのチームだった)になり得る選手だとも思った。
なお、入団前の「野球太郎」で見たその表情にはあどけなさを感じたが、
ルーキー時に二軍で見た姿は、意外と下半身ががっちりしていて、かつ、赤いリストバンドも相まって「華」を感じさせた。
それこそ、プロ野球選手とは思えないほど細かった川﨑宗則や、ルーキーイヤーに二軍で高い数字を残したものの一軍での実績は無かった2シーズン目の青木宣親が我慢して起用され続けたように、最初は結果が出なくても、使い続けていけば、レギュラーに、しかもチームを代表する選手にもなる可能性も秘めているとも思った。
そうした入団時の期待、さらに、オープン戦で5割近い打率を残したこともあり、2017年の開幕前、
シーズンのポイントとして、一番に「関根大気」の名を挙げた。
しかし、2017年、関根が一軍で残した数字は、29試合、19打数3安打、打率.158、盗塁0というものだった。
二軍での、71試合、打率.272(293打席)、17盗塁という数字は、当然、本人の渇望を満たすものではなかっただろう。
この年、一軍の外野陣は、筒香はもとより、前年、故障欠場期間のあった梶谷も、ほぼフルシーズン出場。
さらに、最もレギュラー陣で若い桑原が全試合、一番打者として出場した(打率.269、13本塁打、87得点)。
翌2018年も、関根にとっては、厳しいシーズンとなった。
一軍出場は、前年と同じく29試合。26打席で、25打数7安打(打率.280)、盗塁2。
この年の外野陣は、梶谷が故障で41試合の出場にとどまり、桑原も前年ほどの活躍を見せることはできなかった(127試合に出場するが、前年より200以上打席数を減らす)。
しかし、新外国人ソト(この年は主にライトで出場)が、結果的にリーグ本塁打王を獲得する大活躍。
さらに、ルーキー神里が、86試合に出場し、打率は.251ながら、5本塁打、15盗塁と、長打力も機動力もあるところを見せる。
大卒・社会人出身とはいえ、関根がなかなか見せることができなかった、一軍でヒットを打つ「打撃力」、さらに「盗塁数」という形で「機動力」も見せた。
そのほかにも、乙坂(73試合)、楠本(56試合)が出場数を伸ばし、左打ちの外野手が飽和状態とも言えるチーム状況であった。
この年に二軍で残した、.308(225打席)、2本塁打、11盗塁という成績とその内容を、関根自身は、どうとらえていたのだろうか。
翌2019年は、一軍の実績としては、さらに厳しいシーズンとなった。
32試合の出場で、27打席、26打数1安打、打率.038、盗塁0。
確かに、与えられた打席数は少なかった。しかし、その1打席1打席は、残念ながら、可能性を感じられるものではなかった。
「三振を繰り返す」という内容ではなく、バットには当たる。
しかし、「ただ、バットに当たった」という印象で、ボールをヒットゾーンに持って行くような、主導権を握った打撃ではなかった。
さらに言えば、前年もそうだが、「四球で出塁する」ということもできず。
8月10日以降、一軍での出場機会は無かった。
この年、二軍では、最終的に、346打席で、打率.329(イースタン・リーグ2位)、12本塁打、8盗塁という成績を残している。
ただし、この頃の関根は、見るたび、打撃フォームが変わっていた印象がある。
時期によっては、可能性を感じさせるフォームもあったが、なかには、たとえヒットを打ったとしても、このフォームでは……と思うときもあった。
あまりに変わるその様子に、入団時に強みだと感じた、下半身のどっしり感はどこへ行ってしまったのだろう、という気持ちになったこともあった。
この年、一軍では、不振の桑原に代わって、神里がセンターのレギュラーポジションに入った(123試合出場、打率.279、6本塁打、15盗塁)。
また、ソトや筒香が内野に入る試合では、ラミレス監督が辛抱強く起用し続け、その芽が開きつつあった佐野が外野の一角に入ることも増えてきた。
佐野の魅力は「振れること」。しかも、追い込まれても振ることができ、かつ、バットに当てることができるところが、ラミレス監督に「将来主軸を担える力」を感じさせたのかもしれない。
また、乙坂も、前年を上回る97試合に出場する一方で、細川という将来クリーンアップを任せられる可能性のある選手が出番を与えられる機会も出てきた。
チームとしては、20数年ぶりとなる2位にもなった。
高卒4年目での「意識の高さ」を感じた2017年から2年が経ち、一軍での成績だけを見れば、関根にとって「本当に、終わってしまう」ことを意識せざるを得ないような、6シーズン目が終わった。
シーズン終了後、関根はメキシコのウインターリーグに参加。約3ヶ月間、プレーをした。
翌2020年シーズンは、筒香がMLB移籍によりチームを去ったが、佐野が、ついに首位打者を獲得するブレイクを果たした(打率.328、20本塁打)。
また、梶谷が復活し、3年ぶりに規定打席に到達、打率.323、リーグトップの88得点を記録した。
一方、神里が不振で出場試合数を減らし(80試合、ただし、打率は.308と自身最高)、ソトも内野での起用が大半となったが、その空いた外野の一角に、オースティンという強烈な選手が加わった(怪我で65試合の出場に留まるが、.打率286、20本塁打の成績を残す)。
この年、関根は、自身初の「一軍出場無し」に終わった。
正直、この頃の野球誌の陣容予想において、関根の名前は、一軍メンバーの控え、さらには、外野の控えポジションの3番手にすらないことも多かった。
数年前は、少なくとも外野の「控え」メンバーには名前があったことを考えると、現在おかれている状況のシビアさが感じられた。
そうしたなか、6月には、二軍の試合で、一塁帰塁の際に右肩を脱臼した。
その映像を見た時は、「選手生活の終わり」という言葉もよぎった。
「決して、『応援したから活躍する』といった幻想はもっていない。」
その後、関根を取り上げた記事であったり、取材者のツイートだったりを見ていると、その「性格の良さ」をほめたたえるものをよく見かけた。
自分が応援する選手がそうした選手であることを嬉しく思う一方で、こうも思った。
「『性格の良さ』は、決して、その選手の現役生活を保障するものでない」
確かに、「会ってみるとあまり…」といった感想が漏れ伝わってくる選手もいるなか、取材者に好印象を与えるその人柄は素晴らしいものだと思う。
しかし、それと、「一軍で結果を出す選手とみなされる」「一軍で結果を出す可能性を感じさせる」こととは別。
「決して、『応援したから活躍する』といった幻想はもっていない。」
怪我のニュース、そして映像を見たときに、自分が書いたこの言葉が反芻された。
しかし、かなりの長期離脱も考えられた脱臼の後、関根は、1ヶ月もしないうちに、二軍戦で復帰した。
のちに目にした
記事によると、球団には手術を勧められたが、「手術をすると、復帰まで3ヶ月かかってしまう。それを考えると、他の方法での復帰を」との自身の判断で、保存治療を選んだとのことである。
結果的に、この年、ファームで残した打率は、.301(185打席)。
これで、3年連続して、二軍で打率3割を残したことになるが、この年の四球率.172(185打席で32四球)というのは、2018年の.071(225打席で16四球)、2019年の.107(346打席で37四球)と比べると、かなり高い数字だった。
迎えた、自身8年目となる、2021年シーズン。
この年から、三浦大輔が一軍監督となった。
2019年の一軍投手コーチ、そして、2020年の二軍監督を経ての就任だった。
2020年、二軍監督として、その目に関根の姿はどのように映っていたのだろうか。
オープン戦、関根は、打率.429(14打数6安打)の結果を残した。
そして、8年目にして、初のスタメンに名を連ねた。
オープン戦で打率.476(42打数20安打)の数字を残してなお、スタメンに名を連ねることはできなかった2017年の開幕戦から4年が経っていた。
開幕後、3週間ほどは、ほぼスタメンに名を連ねた。
しかし、徐々に打率が下がり、2割5分を切ったあたりで、コロナ禍の影響で合流が遅れていたオースティンが戻ってきたこともあり、スタメンから外れた。
その後、スタメンに名を連ねることは、ほとんどできなかった。
それでも、2度の抹消はあったものの、シーズンの多くを一軍のメンバーとして過ごし、代打・守備固め・代走と、自身の役割をこなした。
103試合の出場は、自身最多。打席数139は、2年目のシーズン(159打席)には及ばなかったものの、初めて、一軍の1ピースとしてプレーし続けられたシーズンとなった。
なお、この年の外野陣のレギュラーは、レフトが佐野、ライトがオースティン。
そして、FA移籍した梶谷が抜けたセンターには、2年間結果の出なかった桑原が、3年ぶりにレギュラーの座に返り咲いた(2019年は72試合、2020年は34試合に留まり、ともに打率1割台。2021年、135試合で、打率.314、14本塁打と復活を果たす)。
迎えた2022年シーズン、オースティンが長期離脱となり、外野の一角に空きが出る状況となったが、そこにレギュラーとして名を連ねたのは、楠本だった。
楠本の良さは、打撃フォームに「懐」を感じさせるところ。
残している打率以上に、安打の可能性を感じさせ、また、ボールに対しミートできなくても、それがファールになることで打ち直しができるという打撃特性も、レギュラーでの出場数を増やすことできた要因のように思う。
ただし、関根も、前年からさらに一段、打撃での確実性を上げ、時期によっては、連続してスタメンの座に就くこともあった。この年から、佐野のファースト・外野併用が始まったことも追い風になった。
代打でも、スタメンでも、ヒットを放つ場面が格段に増え、結果、6月上旬以降、打率が2割5分以下に落ちることはなかった。
最終的には、104試合、225打席で、打率.254。放った51安打は、過去4年間の合計を上回るものだった。
そして、2023年、前半戦、10年目にして、レギュラーを掴んだ関根は、7月17日時点、88試合で、打率.287(88安打)、出塁率.333、7盗塁、27打点、44得点という成績を残している。
重心を低くして、あまりバックスイングをとらず、振り抜きを意識しているように見えるその打撃フォームは、関根が、長年の試行錯誤を経てたどり着いた「今」の理想のフォームなのだろう。
前半戦、打撃・守備・走塁それぞれにおいて賞賛を浴びることが多かった関根だが、レギュラーとして出続けるということは、よいプレーを披露する機会が増える一方で、失敗をする数が増える可能性もある。
失敗をしたときに、その理由を認識しておくとともに、よいプレーのメカニズムの引き出しを自身にインプットしておくことは、今後、よいパフォーマンスを継続していく鍵になるのではと思う。
なお、今回は、2023年シーズンのプレーの詳細について深く論じることはしないが、前半戦の最後の時期に気になったことを2点だけ記しておきたい。
一つは、内野への送球の際において、ときに、山なり、かつ左右のラインがずれたボールを投げることがあること。
いざ、内野手、あるいはキャッチャーへ速くて強いボールを投げなければいけないとき、ともすると、スローイングをおろそかにしているように見えるこうしたプレーは、その妨げになるのではないかと思う。
もう一つは、内野ゴロの際、アウトの可能性が高いときに、ベース前でスピードを緩めること。
これについては、長いシーズンにおいて、故障を防ぐための予防策という側面もあるかもしれないが、どんな時でも全力疾走をしてくる打者と比べて、内野手へのプレッシャーは弱いだろうし、自身のバッターとしてのタイプ的に、そうした(スピードを緩める)クセが付くことの悪影響を考えておくことも必要ではないかと思う。
2023年シーズンも、6割弱を消化した。
これまでの成績や、試合でつかんだ感覚を、自身の揺るぎない「力」とできるか、そして、失敗したときこそ、それを次のプレーの糧とできるが問われる、後半戦が始まる。
2023年シーズンが終わったとき、ブログで、こんな言葉が書ければと思う。
「関根大気のプレーに勇気をもらった」
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