16勝7敗で、首位。
横浜DeNAの、3・4月の成績である。
正直、開幕前は、「期待」より「不安」の方が大きかった。
WBCの盛り上がりの裏で、なかなか新戦力が出てこない投手陣、そして、12球団ワーストの打率に終わったオープン戦の戦いぶりに、不安はますます増していった。
そこに来ての、開幕4連敗。
今永・大貫の不在もあり、不安視していた先発陣の弱さが如実に出た格好で、序盤でつまずいた2021年・2022年シーズンを思い起こさせた。
しかし、平良の復帰、そして東の復活が、チームの状況を180度変えたといっていいかもしれない。
昨年、2人合わせて1勝(平良に関しては、手術の影響で一軍登板自体無し)だったのが、この4月だけで5勝を挙げている。
先々週末から先週末にかけては7連勝。
しかも、ミスもありながら他の選手がフォローしての勝利、中盤での4点ビハインドをひっくり返しての勝利、相性がよいチームとはいえ、小笠原・髙橋宏斗という好投手相手に僅差の試合を制しての勝利と、その内容も濃い。
開幕4連敗後は、16勝3敗。
それこそ、横浜の序盤での戦いにおいては、史上一番といってもいいほどの勝利ペースである。
また、これだけ勝利を重ねてはいるものの、まだまだ不足を感じている部分、さらには新たな戦力の合流見込みもあり、それらを今後の上がり目とみなせば、失速への不安もそこまではない。
そんな、自分が応援し始めてからもなかなか無かった、今のチーム状況と今後、そして「優勝」というものについて、3つの視点から見ていきたい。
1. 「投」「打」の型と、戦力の今後
4月の好調の一番の要因としては、やはり先発6人の枠が、きっちりと埋まったことが大きい。
開幕1巡目の、
〔石田・ガゼルマン・笠原・濵口・平良・東〕という6人から、
先週は、
〔ガゼルマン・石田・平良・今永・大貫・東〕の6人となった。
先週の6人に、二軍調整中の濵口、そして5/3にNPBデビュー予定のバウアーを加えると、一定の力がある投手「8人」で「6つ」の枠を争うという、レベルの高い争いとなる。
平良・東は、故障のこともあり、何回かに一度はローテを外れる形での起用となりそうだが、2試合結果が出なかった大貫が抹消となるなど(一方で、濵口は、このGWで再度チャンスを与えられる可能性が)、「結果が出なくても起用してもらえる」状況ではなくなりつつある。
もちろん、上記の8人中、1年通して(NPBの)先発ローテで投げた経験を2年以上もつ投手は今永と大貫のみ(その今永も、一時離脱するシーズンも多い)であることを考えると、見かけほどは盤石とはいえないかもしれない。
ただ、シーズン序盤から、ある程度、先発投手の計算が立つということは、「優勝」を果たすためには、かなり大きなアドバンテージといっていい。
救援陣の安定も、4月の好調を支えた。
ただし、勝ちパターンの投手のなかで、エスコバーは厳しいマウンドが続いた。
また、入江も、被安打がイニング数を上回っているように、防御率(1.93)ほどの信頼は、まだ無い。
勝利の可能性が高い試合が増えれば増えるほど、勝ちパターンの投手の登板が増えるという状況にもなるので、勝ちパターンの一角に入ってきた三嶋に加え、森原、ウェンデルケン、そして新たな戦力が、どれだけ信頼に足るピッチングをできるかが、勝利のペースを落とさないポイントとなる。
なお、長いシーズンでは、現在の濵口やエスコバーのように、成績を挙げられていない投手を、復調を支援する意味も込めて、起用をするケースも出てくる。
当然、その起用がうまくいかないときもあるが、そのことによる影響を、チームとしてどこまで最小限にとどめるかも、三浦監督に今後求められてくる部分になるだろう。
一方、「打」の方は、決して、全員が好調というわけではないが、
先週も書いたように「
5番・桑原」「
6番・関根」という打順が、打線を、つながった「線」にしている。
桑原の7三振(87打席)というのは、昨年まで(2021年…75三振、2022年…89三振)を考えると驚異的な数字だが、チーム全体でも120三振と、リーグ断トツで少ない(続くのが、広島の151三振、他の4球団は190台)。
このことは「見えない打撃力」と言えるかもしれない。
ただ、一番を打ち続けている佐野の打率がズルズルと落ちているのは、少し気にかかる。
コンタクト率が高く、かつ「振れる」のが持ち味の佐野にしては、三振のペースが早い(現在17三振で、シーズン100を超えるペース)。
今後、5番以降の選手を含めた、全体的な打順の変更もあるかもしれない。
なお、先日、二軍で試合に出場したオースティンだが、ポイントとなるのは「守備の際のスローイング」。守備時の負担などを考えると、ファーストの座をソトと争う形かとも思うが、昨年のような代打専門での起用は、今年はしないのではないか。
そうなると、果たして、復帰時に、どのように打線のピースに嵌めていくか、気になるところではある。
また、ショートのレギュラー争いだが、現時点では京田がスタメンで出ているものの、森や林の成績次第では、まだまだわからないだろう。
戸柱・伊藤・山本が、それぞれ打撃で存在感を見せているキャッチャー陣の争いとともに、互いに成績を出し合うことは、チーム力の上昇にも直結する。
2. 「2位」の翌シーズン
2つ目は、少し角度を変えた視点から。
自分が、大洋-横浜-DeNAを応援をしてきた40年間で、2位になったのは、3度である。
1度目は、1997年(72勝63敗)。
「もしかしたら優勝も…」と期待したところでの、首位ヤクルトとの直接対決で喫した石井一久のノーヒットノーランを記憶している人も多いと思う。
実はこの97年、スタートは、かなりつまずいたシーズンだった。
投手がいないこともあり、それこそ開幕直後は4人の先発で回すほどだった。
それが、新たに就任した権藤投手コーチの手腕によるものか、段々と投手陣が整備されていった。
そこに、主力野手が育ちつつあった打撃陣がかみ合っていき、7・8月と勝ちまくった。
9月初めの首位攻防戦で、前述のようにヤクルトに敗れ、結果的には11ゲーム差の2位に終わったが、翌98年は、チームも、そしてファンも、「優勝しかない」という雰囲気だったように思う。
その意味では、石井に喫したノーヒットノーラン、そして、翌日の試合で、終盤劣勢の展開でのファンによるメガホン投げ、そして選手による回収のあったヤクルト戦の連敗が、翌年への「必ず優勝する」という思いにつながったようにも感じる。
翌98年は、開幕カードで、苦手だった阪神戦に3連勝。そして、シーズン中、何度となく、信じられない逆転劇・同点劇を繰り広げていく。
6月に首位に立って以降、ゲーム差的には2位に迫られた時期もあったものの、ほぼ危なげなく、優勝を果たしたという印象が強い。
権藤氏(98年から監督)の加入により、投手陣が整備されたことも大きいが、やはり、9回で1点ビハインド、それこそ7回で3点ぐらい負けている分には、全然取り返せると思わせてくれた「マシンガン打線」の存在も大きかった。
その意味では、97年の悔しさと、爆発力(もちろん、そこには個々の選手の技術があるのだが)によって勝ち取った優勝といっていいかもしれない。
2度目の「2位」は、そこから20数年経った、ラミレス監督のもとでの、2019年(71勝69敗3分け)。
このときの2位は、その前の3シーズンで2度Aクラス(3位)に入っていたこともあり、6年連続Bクラスからの2位だった1997年ほどの意外感は無かった。
ただ、シーズン終盤まで優勝の可能性があったとはいえ、首位・巨人のもたつきによるところが大きく、4位・広島とわずか1ゲームということを考えると、実質的には3位に近い2位と言ってもよかったかもしれない。
また、ラミレス監督の「監督」としての能力は高い、と思う一方で、「勝利への道筋が、ラミレス監督の頭の中だけにある」という状況(このことについては、2018年のシーズンオフに「
ラミレス監督続投の必要条件」として書いた)は、「順位」と「チーム力」が必ずしもイコールではない状態とも言えるのではと感じていた。
結果的に、翌2020年、もう一つ戦力が揃わなかったこともあり、チームは4位に終わり、ラミレス監督は、5年間で3度のAクラスという結果を残して、退任した。
そして、3度目が、昨年2022年(73勝68敗2分け)である。
7・8月に勝ちまくり、首位ヤクルトに迫る、という展開は、1997年を思い起こさせたが、8月下旬でのヤクルトとの首位攻防で3連敗。
その後も、勝ったり負けたりを繰り返すという状況だったため、最終的には、首位ヤクルトに8ゲーム差をつけられる形となった。
昨年に関しては、開幕から6月にかけて、負けが込んだことが大きかったと思う。4月は大きく負け越し、6月下旬には、一時、借金9に。
その後、浜スタ17連勝を含め、かなりのハイペースで勝ち星を重ねたが、投手起用で無理をした部分も見受けられ、やはり、序盤に負けが込んだことで、多少無理をせざるを得なかったことが、「優勝争いに手をかけたところ」までで終わった原因だと思う。
そして、迎えた「2位」の翌年である2023年。
序盤は、これ以上ないスタートを切った。
では、今後、「優勝」を勝ち取るには何が求められるのだろうか。
3. 「4月首位」がチームに与えた意味
4月の数々の勝利は、チームや選手たちに、ある種の自信をもたらしたのではと思う。
一方で、現在のチームの位置、そして、現在の陣容を見ると、「4月首位」という事実は、改めて、チーム、そして選手たちに、本気で「優勝」を狙う覚悟を求めるものになったのではないかと思う。
もちろん、昨年の「2位」という結果を胸に刻んだうえで、「優勝」を目指して臨んだ2023シーズンだと思うが、開幕前は、まだ、自チームの現在地についてわからないところもあったのではないか。
そうしたなか、自チーム・他チームの状況の輪郭がある程度見えてきた、4月の戦い。
そこでの手応えに加え、今後さらに勝ち続けていくためにクリアすべき(あるいは続けていくべき)ことも見えてきたのではと思う。
そして、この先は、本気で「優勝」を目指していく戦いが始まる。
もちろん、これまでも「本気」で優勝をめざしてきた選手はいるとは思うが、4月から、これだけはっきりと「優勝」が目に見える位置で戦うということを、横浜DeNAというチームで経験してきた選手はいない。
その経験の不足がゆえに、「なるたけ優勝というものを意識しない」でプレーしていく、というのも一つの方法ではあるだろう。
ただ、「優勝」に関しては、はっきりとそれを成し遂げたいという気持ちで臨まなければ、勝ち取ることができないものであるように思う。
村上という新星が登場し、伊藤将も復帰した、阪神。
新井監督のもと、菊池・秋山・九里らが昨年から大きく成績を上げている、広島。
今は我慢の時期になっているヤクルト・高津監督も、その選手を生かす力で上がってくるだろうし、経験値という点では圧倒的なものを持つ巨人・原監督も、色々な策を練ってくるだろう。
中日も、先発投手陣のレベルは高い。
また、6月末からは、交流戦がスタート。先発陣・ブルペン陣とも、セ・リーグの投手以上に力のあるストレートを投げてくる投手たちに、どう対峙するか。
1試合で4人以上のブルペン陣を起用することが当たり前となった状況下、投手の疲労がたまってくる時期と言われる夏場に、どう投手のマネジメントを行っていくか。
さらには、シーズン終盤での、「優勝」を見据えた投手起用・野手起用をどのように行うか。
選手個々が、また、チームとして、「優勝」のプレッシャーに、どう向き合っていくか。そして、どうプレーしていくか。
「優勝」ということを意識することでのマイナス面を懸念する意見もあるだろうが、「優勝」というものを、はっきり意識するからこそ、できるプレー、また、できる取り組みもあると思う。
40年近く応援してきたなかでも、初めての状況といってもいい、今シーズン。
「優勝」を明確に意識した選手たちが、果たして、どんなプレーを見せてくれるか。
そんな思いを胸に、また、明日から、横浜DeNAの試合を見ていきたい。
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