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第5回WBC。日本代表が感じさせてくれたもの。そして、大会の課題。

第5回WBCは、1次ラウンドを圧倒的な強さで突破した日本が、準決勝でメキシコ相手に二度の劣勢を跳ね返しての、逆転サヨナラ勝ち。
決勝でも、アメリカを3-2で下し、2009年の第2回大会以来、3度目の優勝を果たした。

と、冒頭で、冷静に書いてみたが、とにかく色々なものが詰まった、今回のWBCの日本代表だった。

その試合ぶりに「感動」した人も多かったかとも思うが、自分が感じたのは「感動」というより「凄さ」だった。

あれだけの才能をもった選手たちが、自分の持つ技術や能力を最大限発揮するために、さまざまなアプローチを経て取り組む姿、そして、試合に臨む姿に、「これだけのことをやらなければ、ああいった高いパフォーマンスは出せないんだ」ということを、強く感じさせられた。
それらは、試合だけではなく、例えば、ダルビッシュのピッチング練習を食い入るように見る若手投手陣だったり、その投手達と意見交換をしながら、互いを高めることを目指すダルビッシュの姿などにも感じた。
また、印象的だったのは、試合中だったかイニング間だったかは定かでないが、ベンチで、バットを構えながら、打つイメージをしていた近藤の姿。
その姿には「ただ構えている」のではなく、本当に投手が投げてくる画が見えた。
まさに今大会の”主役”であった大谷も、単なる結果だけでなく、自分のバッティング・ピッチングが「もたらもすもの」までを考えたプレーぶりに、「凄いプレーをする」のさらに一つの上のものを見せられた感じたがした。

また、選手だけでなく、大谷とダルビッシュの代表入りを実現させた栗山監督はじめ、首脳陣についても同じことを感じた。
今回の投手陣の選出に際し「実績だけでなく、最新機器で球の回転数や変化量などを計測したデータも検討材料にした」「球質が大リーグの平均値に近くないことも選考基準の一つ」と言っていたとされる吉井投手コーチの記事には、「単に、いい投手を集める」というのではなく、「勝つために計算された」選考の徹底ぶりが見られた。


書こうと思えばいくらでも書けそうな、今回のWBCの日本代表だが、あまり長すぎてもと思うので、今回の日本代表の試合で、自分が一番印象に残った場面を。

それは、メキシコ戦の7回裏、0-3の3点ビハインドでの、2アウト一・二塁、バッター吉田、次打者・村上の場面。
このとき、テレビの映像では、ベンチに、ヘルメットをかぶった山川の姿が映っていた。
もし、吉田がタイムリーを打って1点返して、2アウト一・二塁、あるいは四球で出塁して2アウト満塁となった場合。おそらく、栗山監督は、村上に代打・山川を送ったのではないか。
ここまで、3打席3三振。イタリア戦で、ようやく長打が出たとはいえ、まだ本調子には遠い状況。
「選手を信じる」という言葉自体は耳障りがいいが、イタリア戦から吉田を四番に上げることに見られたように、短期決戦では、打つべき手を打たないと、即敗退につながる。
自分が信じたであろう選手を、それでも代えなければいけないところに、代表監督の決断の「重み」を感じた。
結果的には、吉田の同点3ランが飛び出したことで、村上はそのまま打席に入ったが、結果はサードへのファールフライ。
その内容を見ると、封は切られなかったが、村上への代打山川を決めたであろうその決断は正解だと思った。
(ただし、山川の準備はフェイクだったという可能性も全くのゼロではないかもしれない(例えば、相手の右投手を引っ張り出すための策など)。そのあたりの真相が、今後、栗山監督の口から語られることはあるだろうか)

なお、9回裏、1点ビハインド、ノーアウト一・二塁の場面で村上。
このときも、栗山監督はピンチバンターの準備をさせていたそうだが、ここでの決断は「村上に打たせる」。
そして、あの逆転打が生まれた。


さて、日本の野球ファンからすると、こたえられないフィナーレとなった今回のWBCだが、様々な記事に見られるように、課題はまだまだある。

その一つは、これは問題という捉え方は違うのかもしれないが、アメリカ代表の投手陣のラインアップ。
専門家が指摘をしていたが、野手陣は相当なラインアップであるものの、投手陣は、正直、一線級の投手が並ぶという陣容ではなかった。
決勝戦は、自慢の野手陣が抑えられた展開だったので、必ずしも今回優勝できなかった要因は投手陣にある、というわけではないと思うが、1次ラウンドでメキシコに大敗を喫するなど、下手をすると、ラウンド敗退の可能性もあったわけで、もう少しトップレベルが揃った投手陣が見たかったという気持ちはある。

ただ、ここで、ネックになってくるのが開催時期の問題。一つの案として、開幕前の3月ではなく、7月のオールスターブレイクを長くして、その期間に開催するという意見もある。早い調整を辞退の理由としている投手にとっては、参加を考える切っ掛けになる可能性もあるが、シーズン中であるがゆえ、故障、また故障回避のため、辞退する選手もいるだろう(これは、野手、さらには他国の選手も含めて)。
次回のWBCも3月開催の方向ということだが、選手にとって、またファンがベストパフォーマンスを見るとすると、どの時期が適切なのか、故障時の補償の仕組みなどと合わせて、更なる議論の余地は十分あると思う。


もう一つ、話題に上がったのが、組分けの不公平さである。
確かに、オーストラリアがベスト8に入ったプールBと、ドミニカ共和国が敗退したプールDでは、レベルに違いがあったと見るべきだろう。
例えば、1グループをアジア開催、3グループをアメリカ開催として、今回の本戦出場国を、なるたけ均等に分けたとすると、下記のようになるだろうか。

【プールA】日本、キューバ、韓国、台湾、チェコ
【プールB】ベネズエラ、ドミニカ共和国、イタリア、パナマ、ニカラグア
【プールC】アメリカ、メキシコ、カナダ、オーストラリア、イギリス
【プールD】プエルトリコ、オランダ、コロンビア、イスラエル、中国

また、日本のファンのかなでも、「優勝は嬉しいが、今回、本当の意味で痺れる試合は、準決勝からという感も。せっかくの世界大会なので、もっと中南米の国との痺れる試合も見てみたい」と感じた人もいるのではないか。

そうなると、2次ラウンドを復活させ、そこを厚くする方法もあるかもしれない。
例えば、1次ラウンド(4カ国×5グループでの総当たり)→ 上位2チームが進出 → 2次ラウンド(5カ国×2グループでの総当たり)→ 上位2チームが準決勝へ → 決勝、という形式にしてもいいかもしれない。
今回の出場国でシュミレートしてみると、こんな感じだろうか(太字が、次のステージへの進出国〔今大会の成績での上位国を参考に〕)。

《1次ラウンド》
【グループA】日本キューバ、台湾、チェコ
【グループB】ベネズエラドミニカ共和国、パナマ、ニカラグア
【グループC】アメリカオランダ、オーストラリア、イギリス
【グループD】プエルトリコイタリア、韓国、中国
【グループE】メキシコオーストラリア、カナダ、イスラエル

《2次ラウンド》
 ※1次ラウンドで同じグループの国は、分かれるように組み分け
【グループA】日本アメリカ、メキシコ、ドミニカ共和国、イタリア
【グループB】ベネズエラプエルトリコ、キューバ、オランダ、オーストラリア

《準決勝》
日本-プエルトリコ、アメリカ-ベネズエラ

《決勝》
日本-アメリカ(or ベネズエラ)

この形式だと、例えば、2次ラウンドで、アメリカ、メキシコ、ドミニカ共和国と対戦するという、痺れる試合が続き、さらにそこを突破すると、相手グループから勝ち進んだプエルトリコとの対戦、さらには決勝と、息つく暇も無く、強豪国との試合がやってくる。
もちろん、2次ラウンド、ややもすると、1次ラウンドでの敗退もあり得るシビアな形式ではあるが、これこそ「第1回WBCが始まる」というときに、日本の野球ファンが思い描いていた大会ではないかとも思う。

その他にも、栗山監督が、記者会見で大会本部とMLBに「100個ぐらい要望を言っている」と語っているように、より公平性を高めたり、選手がベストなパフォーマンスを発揮できる大会にするためには、改善点が必要な部分が、まだまだ数多くあるだろう(なお、日本ラウンドでの試合開始時間の不公平問題もあった)。


いずれにしても、今回のWBC日本代表は、「野球の楽しさ」「野球の面白さ」を、普段野球を見ない人にも伝えてくれたという意味でも、大きな役割を果たしたと思う。ヌートバーの選出という、栗山監督のファインプレーもあった(それに応えたヌートバーも素晴らしかった)。

ここからは、「日本代表」という枕詞なしでも「野球は面白い」と思ってもらえるために、NPBをはじめとする日本野球での選手たちの躍動、さらには、MLBでの日本人選手の活躍を見たい(もちろん、今回のWBCで、MLBはじめ、海外の野球に興味が出てきたという人もいるだろう)。
さらには、今回のWBCを機に「野球をやりたい!」と思った子どもたちに、実際に野球の楽しさを伝えられるかという意味で、指導に携わる人たちの役割も大きい。

日本代表が伝えてくれた「野球は面白い」ということを、今度は、既存の野球ファンも含めて、野球を愛する人たちが、さらに伝えていく。そんな道が、どんどんと伸びていってほしい。

by momiageyokohama | 2023-03-29 01:51 | WBC | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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