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ヤクルトとオリックスの優勝で「気づかされたこと」

2021年のペナントは、セ・リーグは、ヤクルトが優勝。パ・リーグはオリックスが優勝した。

両リーグとも前年最下位だったチームが優勝したのは、史上初。しかも、ヤクルト・オリックスとも、2019年・2020年と2年連続で最下位。
自分が確認した限り、ヤクルト、オリックスの優勝を予想した解説者はゼロ。それこそ、両チームのファンでさえ、優勝まで予想した人はほとんどいなかったのではないか。
自分も、今シーズンは順位予想をしなかったが、もししていたとしても、両チームとも最下位ないしは5位としていた可能性が高い(ちなみに、2020年はヤクルトを最下位、オリックスを5位と予想)。

ヤクルトは、高津監督となって2年目のシーズンだった。
実は、高津監督1年目となる2020年は、シーズン前、浮上の可能性もあるかもと思って見ていた。2015年の優勝時には投手コーチを務め、その年の防御率は3.31。優勝の一因として、ブルペンで投手が肩を作る回数を減らすことで負担を減らすといった取り組みなどもしており、変革あっての好成績であることが見てとれた。
ただ、監督1年目となった昨年は、先発も中継ぎも厳しい状況。明らかに力不足のイノーアや吉田大喜をそれでも先発で使わなければならず、期待の星や原樹里といったところも一向に伸びてこない状況を見ると、今後を考えてもかなり厳しいチーム状況に見えた。
打線も、村上や青木は活躍を見せたものの、山田が大きく成績を落とし、塩見や廣岡といった期待される野手もレギュラーを奪取できず、とポジティブな要素が少ない印象だった。

今季も、開幕戦は、新外国人が新型コロナ禍の影響で来日できないため、移籍の内川が「5番・ファースト」で先発出場。その開幕カードは阪神に3連敗。このときは、今季の「優勝」という結末は全く想像していなかった。
ただ、開幕2カード目のDeNA戦の途中から中村悠平を2番に据えると、これが機能していく。さらに、昨年怪我に泣いた塩見がようやくの覚醒。5月下旬からは一番に定着する。
一方、懸案の投手陣も、時折綻びを見せる試合があるものの、健闘を見せる。特に序盤戦は、楽天での戦力外通告を経て入団した近藤弘樹の存在が大きかった。
4月下旬からは、オスナ・サンタナの新外国人選手2人が合流。派手さこそないものの、両選手とも3割近いアベレージをキープし、安定した成績を残す(オスナは夏場以降、失速した感はあったが)。
気づけば、ゴールデンウイーク以降、9月上旬まで、3連敗以上は、6月の4連敗一度のみ、と安定した戦いを続けていたヤクルト。
そして、9月17日からの10連戦。ここで、7勝3分けと一気に貯金を増やす。9月22日には阪神をとらえ、ついに首位に。
9月28日に9連勝でストップしたあと、2連敗したが、その後再び連勝を続け7連勝。
シーズン終盤、一番大事なところで、9月17日から10月10日までで16勝3敗3分けというスパートは見事だった。

代打で驚異的な成績を残した川端(今季の打率は.372)をはじめ、すべてのピースがうまくはまったように見えるヤクルトだが、実は、すべての要素、なかでも投手陣については、全部がうまく行ったわけではない。
新加入のバンデンハークは結果を残せなかったし、期待された高橋奎二も、4・5月の登板は無し。できれば中6日のローテに入れたい奥川だが、チームの方針で、原則、中10日での起用。田口、スアレス、高梨もシーズン通してローテに入ったわけではない。
当初ストッパーに予定していた石山は不調でその座を下ろさざるを得ず、代わりにストッパーとなったマクガフも、毎試合、完璧な投球というわけではなかった。
しかし、昨年から防御率を1点以低くし、ホールドも20上積みした清水の活躍、また、田口やスアレスの配置転換などにより、勝ち星を掴んでいった。
なかでも、今野は、今季のヤクルトの躍進を象徴する選手といってもよいのではないか。楽天を戦力外となって2年目。同じ境遇ではあるものの、ドラフト1位で入団した近藤弘とは違い、無名校からの9位指名というプロ人野球人生のスタートだった選手だが、自己最多登板となった昨年の20試合からさらに登板数を伸ばし、64試合28ホールド(7勝1敗、防御率2.76)という成績を残すとは想像だにしなかった。
また、大西、大下、坂本、梅野といった中継ぎ投手たちの働きも大きかった。

一方のオリックス
こちらは、昨年途中から指揮を執ることとなった中嶋監督。
8月下旬の監督代行就任後の成績は、29勝35敗3分けと、前任の西村監督の16勝33敗4分けと比べると、大幅に勝率が改善。若干ではあるが、明るい光も見えた2020シーズン後半だった。
ただ、オリックスの場合、これまで二度ほど、良い兆しを見せた翌シーズンにチームが下位に沈んだ歴史がある。
一度目は、2008年の5月、コリンズ監督の急遽の辞任を受けて指揮を執ることとなった大石大二郎監督(就任当初は監督代行)。就任当初5位だったチームを最終的にチームを2位にまで押し上げ、チームとして9年ぶりのAクラス。翌シーズンへの期待が高まったが、翌2009年は最下位。この年で大石監督はチームを去ることとなった。
二度目は、2012年のシーズン最終盤、岡田監督の休養を受けて指揮を執ることとなった、森脇監督(こちらも就任当初は監督代行)。
翌2013年から正式に監督となり、2014年には、首位ソフトバンクにゲーム差なしの2位と、このときも、翌シーズンに期待を抱かせた。しかし、翌2015年は序盤戦から負けが込み、6月に成績不振により休養(福良ヘッドコーチが監督代行に)。
「明るい兆しが見えてきたところでの、翌年の低迷」を二度見せられたことで、中嶋監督のもとで本当にチームが変わったのかについては、正直懐疑の念があった。
また、オリックスというと、ミスからの綻び、また、一向に定まらないセンターライン、という印象があり、そのことも、上位予想をすることを躊躇わせた。

2021年の開幕戦は、キャッチャー頓宮、二遊間はセカンド太田にショートに紅林、四番はジョーンズ、サードには宗、センター佐野皓、そしてライトに杉本という布陣だった。
3・4月は、11勝13敗6分け、5月は、10勝12敗1分けと、決して順風満帆のスタートだったわけではない。
勝ちパターンの継投がなかなか決まらず、2年目となるジョーンズも、昨年同様打てず。期待の山岡も調子が上がらず、山本由伸も5月終了の時点では4勝5敗と負け越していた。

潮目が変わったのは、交流戦中盤に入った6月からか。
交流戦を12勝5敗1分けで優勝すると、リーグ戦に戻っても勢いは止まらず、なんと37年ぶりの11連勝。6月は、16勝4敗(3分け)と勝ちまくった。
それより少し前、5月の中旬から、センターにコンバートとなった福田が一番に固定されたあたりから、打線の座りがよくなってきた感がある。ほどなく、宗が二番となり、その後は、ほぼ「一番センター福田、二番サード宗」で固定された。
ブルペン陣も、4年ぶりに復帰した平野が最後を締めるようになって、安定してきた。
吉田尚の素晴らしさは言うに及ばず(今季の三振はわずか26〔三振率5.7%〕)だが、何といっても驚きは、杉本の覚醒。
果たして、2年前のシーズン、「杉本が本塁打王を獲り、福田がセンターにコンバートとなり、宗がサードのレギュラーに定着し、安達がセカンドにまわり、伏見が若月の出番を上回り、『紅』と『LOVE&JOY』を登場曲とする19歳の若者がショートのスタメンで出続ける」ことを、誰が想像しただろうか。

今季のオリックスのポイントとして挙げられるのが、セ・リーグ優勝のヤクルトと同様、連敗の少なさ。4月と5月に4連敗が一度ずつあるが、その後9月上旬まで3連敗すら無かった。同一カード3連敗はシーズン通してゼロ。同一カード6連戦6連敗を食らった2020年とは真逆とも言えるシーズンだった。
この連敗の少なさは、最終的に18勝5敗の山本由伸、13勝4敗の宮城と、2人で22の貯金を作った2人がいたことが大きかったと言える。
シーズン最終盤のロッテとの争いは、吉田尚を欠く厳しい戦いだったが、9月下旬から10月初旬にかけて、1分けをはさんで8連勝。最後はロッテの結果待ちという形となったが、シーズン前、誰もが予想し得なかった、25年ぶりのリーグ優勝を果たした。
さきの山岡やジョーンズの不振だけでなく、ディクソン(コロナ禍により来日できず)・ロメロが戦力とならなかったなかで果たした優勝というところにも価値がある。


この、今季突然変異を見せたかのように見える、ヤクルト・オリックスの戦いぶりを改めて振り返ったときに頭をよぎるのは、「果たして今季になって突然チームが変わったのか?」ということである。

高津監督1年目となる2020年、前年の小川監督に続く2年連続最下位、という結果だけ見れば、2021年、ヤクルトの躍進を予想できる要因は、ほとんど見つけられなかったように思える。
同じく、監督代行就任後の勝率は4割5分近くと、チームをいくらかは立て直したように思えた中嶋監督も、昨年は、急遽の就任がいい循環をもたらした可能性もあり、そこに翌年につながる要素が数多くあるとまでは思えなかった。
しかし、今季の両チームのこれだけの躍進を見ると、昨年の最下位のなかに、実は翌年につながる萌芽があったと見るべきだろう。
若手への経験の積ませ方、ブルペンの投手たちがより力を発揮できる準備や起用の仕方の模索、チーム内の雰囲気づくり、その他、目に見えるもの見えないもの……。
そこで気づかされるのは、「予断を持って見てしまうことで、見えないものがある」ということである。
ある種の予断を持ってヤクルト・オリックスを見ていたことで、翌年につながる萌芽を見落としていた可能性がある。

翻って、今季Bクラスに沈んだ、ソフトバンク・日本ハム・西武・広島・中日・DeNA。
監督が交代となったり、コーチ陣の大幅入れ替えにより今季とはガラッと変わる可能性を感じるチームもあるが、それ以外のチーム(具体的には、西武と広島あたり)も、今季、特に後半戦の戦いのなかに、来季の躍進を予感させる萌芽が隠れていたかもしれない(広島の若手起用シフトの思い切りは、なかなかのものだった)。

2021年のヤクルトとオリックスの事前予想を覆す優勝は、「予断を持って見ること」の落とし穴とともに、結果だけではない部分を見る重要性に改めて気づかせてくれた。
果たして2022年、順位予想をするとして、どんな順番にするべきか?
今から悩ましい。

by momiageyokohama | 2021-11-05 01:08 | 野球(全般) | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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