移りゆく、チームの「顔」(セ・リーグ編)
2020年 03月 22日
今回は、週刊ベースボールの選手名鑑号表紙に見る、チームの”顔”の推移の、セ・リーグ編。
(対象期間は「1球団につき一人」掲載となった1999年から。パ・リーグ編は、こちら)
なお、前回投稿時は、オープン戦は無観客試合だったものの、公式戦開幕の変更についてはまだ決まっていなかった時期。
それから2週間が過ぎ、プロ野球が置かれる状況はかなり変わりました。
正解が見えないなか、それでも正解に近いものをなんとか見つけていかなければいけないという状況ではありますが、野球ファンとして、どんな状況になろうと、「野球を楽しむ気持ち」を持ち続けていたいと思います。
それでは、今回の本題へ。
(※( )内は、前年の選手成績(太字はリーグ1位)。△はその年に移籍してきた選手)
【巨人】
1999 松井秀喜 (.292 34本 100打点)
2000 上原浩治 (20勝4敗 防2.09)
2001 松井秀喜 (.316 42本 108打点)
2002 松井秀喜 (.333 36本 104打点)
2003 上原浩治 (17勝5敗 防2.60)
2004 上原浩治 (16勝5敗 防3.17)
2005 小久保裕紀 (.314 41本 96打点)
2006 小久保裕紀 (.281 34本 87打点)
2007 阿部慎之助 (.294 10本 56打点)
2008 小笠原道大 (.313 31本 88打点)
2009 大田泰示 (新入団)
2010 坂本勇人 (.306 18本 62打点)
2011 坂本勇人 (.281 31本 85打点)
2012 長野久義 (.316 17本 69打点)
2013 坂本勇人 (.311 14本 69打点)
2014 村田修一 (.316 25本 87打点)
2015 菅野智之 (12勝5敗 防2.33)
2016 坂本勇人 (.269 12本 68打点)
2017 坂本勇人 (.344 23本 75打点)
2018 菅野智之 (17勝5敗 防1.59)
2019 菅野智之 (15勝8敗 防2.14)
2020 坂本勇人 (.312 40本 94打点)
2000年代初めは、松井と上原が表紙を分け合う形(なお、松井は94年からずっと表紙に掲載)。
松井が2003年にMLBへ移籍し、チームとしてもしばらく優勝できない年が続いたときは、移籍組ながら主将となった小久保、そしてその後、主将を継いだ阿部の名も。
その後、2010年からは坂本、2015年からは菅野が表紙に掲載される回数が増え、2015年以降は両選手が分け合う形。なお、今回対象の22年間において、坂本の6回掲載というのは、柳田と並んで12球団最多です。
一方で、投手が掲載されたのは、上原と菅野の2人のみ。途中、内海がエースだった時代はありましたが、優勝した年でも、ローテの主力は移籍選手や外国人選手ということが多く、実は生え抜きの先発投手が育ってない実状も見て取れます。
果たして、今後、坂本と菅野の間に割って入る選手は現れるでしょうか。
【中日】
1999 福留孝介 (新入団)
2000 野口茂樹 (19勝7敗 防2.65)
2001 川崎憲次郎△ (8勝10敗 防3.55)
2002 野口茂樹 (12勝9敗 防2.46)
2003 福留孝介 (.343 19本 65打点)
2004 井端弘和 (.267 5本 27打点)
2005 川上憲伸 (17勝7敗 防3.32)
2006 井端弘和 (323 6本 63打点)
2007 福留孝介 (.351 31本 104打点)
2008 岩瀬仁紀 (2勝4敗 43S 3H 防2.44)
2009 山本 昌 (11勝7敗 防3.16)
2010 吉見一起 (16勝7敗 防2.00)
2011 浅尾拓也 (12勝3敗1S 47H 防1.68)
2012 浅尾拓也 (7勝2敗10S 45H 防0.41)
2013 吉見一起 (13勝4敗 防1.75)
2014 谷繁元信 (.216 6本 34打点)
2015 山本 昌 (1勝1敗 防4.50)
2016 平田良介 (.283 13本 53打点)
2017 柳 裕也 (新入団)
2018 京田陽太 (.264 4本 23盗塁)
2019 根尾 昂 (新入団)
2020 大島洋平 (.312 3本 30盗塁)
2000年代から2010年代初めにかけては、ほぼ毎年上位に。しかし、2013年以降は7年連続Bクラスと、全く正反対の姿を見せている中日。
強かった時期でも、一人二人の選手に偏らず色々な選手が表紙に掲載されているのは、当時のチームのバランスの良さととるべきか。
Bクラスが続くようになってからは、リーグ内で上位の成績を残した選手というよりも、監督兼任となった谷繁、50歳にして現役の山本昌、ルーキーの根尾や柳など、トピックを持った選手が掲載されているところに、チーム状況の苦しさも見て取れます。
2021年、誰が表紙に載っているかが、2020年シーズンの中日の成績を表しているかもしれません。
【阪神】
1999 坪井智哉 (.327 2本 21打点)
2000 星野伸之△ (11勝7敗 防3.85)
2001 藤田太陽 (新入団)
2002 赤星憲広 (.292 1本 39盗塁)
2003 井川 慶 (14勝9敗1S 防2.49)
2004 井川 慶 (20勝5敗 防2.80)
2005 今岡 誠 (.306 28本 83打点)
2006 今岡 誠 (.279 29本 147打点)
2007 藤川球児 (5勝 17S 30H 防0.68)
2008 藤川球児 (5勝5敗 46S 6H 防1.63)
2009 藤川球児 (8勝1敗 38S 5H 防0.67)
2010 城島健司△ (.247 9本 22打点)
2011 藤川球児 (3勝4敗 28S 5H 防2.01)
2012 藤川球児 (3勝3敗 41S 5H 防1.24)
2013 藤浪晋太郎 (新入団)
2014 藤浪晋太郎 (10勝6敗 防2.75)
2015 鳥谷 敬 (.313 8本 73打点)
2016 藤浪晋太郎 (14勝7敗 防2.40)
2017 藤浪晋太郎 (7勝11敗 防3.25)
2018 鳥谷 敬 (.293 4本 41打点)
2019 西 勇輝△ (10勝13敗 防3.60)
2020 近本光司 (.271 9本 36盗塁)
2000年代初めまでの暗黒時代。その後、二度のリーグ優勝を果たすなど毎年優勝争いをするチームとなった2000年代。そして、プレーオフを制しての日本シリーズ出場はあるものの、再び優勝から遠ざかっている2010年代と、さまざまな時代を辿ってきた、ここ20年の阪神。
そのなかで目を引くのは、藤川。掲載回数5回は、対象期間内でチーム最多。その藤川に続くのが、4回の藤浪。その回数は期待の表れともいえますが、プロとして壁にぶつかっている現状を打破できるか。
一方、野手では、優勝した2005年打ちまくった今岡や、文字通りチームの顔だった鳥谷の名があるものの、その他で、チームの主軸を打つような野手は選ばれておらず。
巨人と同じく、一時期はFAでの補強に主軸が置かれていた阪神。実際、各シーズンの主力を見てみると、クリーンアップ3人中2人はFA獲得選手と外国人選手というシーズンがほとんど。甲子園がホームというチーム状況はあるにせよ、生え抜きで20本塁打以上を打ったのは、2006年の濱中(20本)以降は、2009年の鳥谷と2017年の中谷のみ(ともに20本)というのは、寂しい数字。長らく遠ざかっている優勝を勝ち取るに、生え抜きの主軸の育成は一番のポイントと言えるかもしれません。
【ヤクルト】
1999 古田敦也 (.275 9本 63打点)
2000 古田敦也 (.302 13本 71打点)
2001 古田敦也 (.278 14本 64打点)
2002 ペタジーニ (.322 39本 127打点)
2003 岩村明憲 (.320 23本 71打点)
2004 古田敦也 (.287 23本 75打点)
2005 古田敦也 (.306 24本 79打点)
2006 青木宣親 (.344 3本 29盗塁)
2007 青木宣親 (.321 13本 41盗塁)
2008 青木宣親 (.346 20本 17盗塁)
2009 青木宣親 (.347 14本 31盗塁)
2010 由規 (5勝10敗 防3.50)
2011 青木宣親 (.358 14本 19盗塁)
2012 宮本慎也 (.302 2本 35打点)
2013 館山昌平 (12勝8敗 防2.25)
2014 小川泰弘 (16勝4敗 防2.93)
2015 山田哲人 (.324 29本 89打点)
2016 山田哲人 (.329 38本 100打点 34盗塁)
2017 山田哲人 (.304 38本 102打点 30盗塁)
2018 山田哲人 (.247 24本 78打点)
2019 山田哲人 (.315 34本 89打点 33盗塁)
2020 奥川恭伸 (新入団)
2000年代前半までは古田。2000年代中盤からは青木。そして2010年代は山田哲人と、チームの“顔”の傾向が、わかりやすい形で表紙に出ています。
そんななか、2020年は、5年連続で掲載されていた山田に代わってルーキー奥川が表紙に。
投手が掲載されたのは、今回の対象期間では奥川で4人目ですが、全員1年のみの掲載のため、22年間中、投手が表紙に載ったのは4年のみ。この間、石川が長年、先発ローテを守り続けてはいるものの、表紙に掲載された由規、館山をはじめ、伝統的に故障が多いチーム体質を表しているとも言えます。
その石川も今年で40歳。果たして、奥川を含め、次代のエースとなる得る投手は出てくるでしょうか。
【広島】
1999 前田智徳(.335 24本 80打点)
2000 緒方孝市(.305 36本 69打点)
2001 金本知憲(.315 30本 90打点 30盗塁)
2002 金本知憲(.314 25本 93打点)
2003 新井貴浩(.287 28本 75打点)
2004 黒田博樹(13勝9敗 防3.11)
2005 嶋 重宣(.337 32本 84打点)
2006 黒田博樹(15勝12敗 防3.17)
2007 黒田博樹(13勝6敗1S 防1.85)
2008 栗原健太(.310 25本 92打点)
2009 前田健太(9勝2敗 防3.20)
2010 栗原健太(.257 23本 79打点)
2011 前田健太(15勝8敗 防2.21)
2012 前田健太(10勝12敗 防2.46)
2013 堂林翔太(.242 14本 45打点)
2014 前田健太(15勝7敗 防2.10)
2015 菊池涼介(.325 11本 58打点)
2016 黒田博樹(11勝8敗 防2.55)
2017 新井貴浩(.300 19本 101打点)
2018 丸 佳浩(.308 23本 92打点)
2019 鈴木誠也(.320 30本 94打点)
2020 鈴木誠也(.335 28本 87打点)
2016年から3連覇を果たし、強い姿を見せた広島ですが、1998年から2012年までは15年連続Bクラスと、長期にわたって低迷。
その一因とも言える投手陣の不振を象徴するかのように、対象期間で、表紙に選ばれた投手は2人のみ。ただし、その2人は黒田博樹と前田健太と、共にチームだけでなく球界を代表する投手ではあります。
野手のメンバーを見ると、その時代時代の主力選手が表紙に掲載されていますが、嶋、堂林といった名前には、当時のチームの感じも思い出されます(堂林は、今のカープ人気が始まった頃の別冊カドカワの表紙にも掲載)。
久々にAクラスに入った2013年の翌年以降は、色々な選手が表紙に掲載されていますが、そのなかで黒田は9年ぶり、そして新井は14年ぶりの表紙。
ここ2年、表紙を飾る鈴木誠也は文句なしの選出ですが、今後、どこまで広島の“顔”として選ばれ続けるでしょうか。
【横浜/DeNA】
※2012年からDeNA
1999 佐々木主浩(1勝1敗 45S 防0.64)
2000 ローズ(.369 37本 153打点)
2001 金城龍彦(.346 3本 36打点)
2002 石井琢朗(.295 8本 26盗塁)
2003 古木克明(.320 9本 22打点)
2004 ウッズ(.273 40本 87打点)
2005 多村 仁(.305 40本 100打点)
2006 三浦大輔(12勝9敗 防2.52)
2007 村田修一(.266 34本 114打点)
2008 村田修一(.287 36本 101打点)
2009 内川聖一(.378 14本 67打点)
2010 清水直行△(6勝7敗 防4.42)
2011 森本稀哲△(.272 2本 30打点)
2012 三浦大輔(5勝6敗 防2.91)
2013 荒波 翔(.268 1本 24盗塁)
2014 梶谷隆幸(.346 16本 44打点)
2015 筒香嘉智(.300 22本 77打点)
2016 筒香嘉智(.317 24本 93打点)
2017 筒香嘉智(.322 44本 110打点)
2018 筒香嘉智(.284 28本 94打点)
2019 山﨑康晃(2勝4敗 37S 3H 防2.72)
2020 今永昇太(13勝7敗 防2.91)
広島から、やや遅れて、長きにわたる低迷を抜けた横浜(DeNA)。
2002年からDeNA初年度の2012年までの、最下位9度(その他、4位が1度・3位1度)という11年間は、あの暗黒時代の阪神より弱かったといっていいかもしれません。
99年・00年は、まだ98年の優勝の余韻が残る佐々木・ローズという顔ぶれ。
しかし、最下位に転落した2001年の翌年以降は、出場34試合で9本塁打というシーズン終盤の爆発に希望を託した古木に始まり、他球団の選手と比べると、前年そこまでの成績を残したとは言えない選手の選出も見られます(村田や内川といったタイトルホルダーもいますが)。
なお、17人という選出数は、12球団最多。FAでの他球団移籍などもあり、チームの顔が固定されなかった表れともとれますが、2015年からは筒香がチームの顔の座にどっかり座ります。
また、弱い球団の例にもれず、投手の選出が少なかった横浜ですが、ここ2年は、山﨑、今永と、リーグを代表するといってもいい投手が表紙を飾ることに。筒香が移籍した2020シーズン。果たして来季の表紙を飾るのは投手か、それとも新たに台頭する野手か。



























