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横浜DeNA 2020シーズン プレビュー

いよいよ、プロ野球キャンプがスタート。

ということで、今回は、横浜DeNAの2020シーズン、気になるポイントを。

と、その前に、昨シーズンについて、少し振り返り。

昨年最後の記事で少し触れたが、2019シーズンを表すポイントを3つ挙げるとするならば、「71勝69敗」「ソトとエスコバーの大活躍」「『サード・筒香』という決断」。

昨年、22年ぶりの2位となった横浜DeNAだが、貯金はわずか2。順位決定後の数試合は筒香を外したという状況はあったにせよ、4位広島とはわずか1ゲーム差、5位中日とも3.5ゲーム差と、順位ほどの強さは無かった。2位となれたのは、何と言っても9月19日の広島戦での7点差大逆転勝ちが大きかった。
しかし、シーズンを通してみると、序盤戦での10連敗、そして勝負所の8・9月に、ヤクルト・阪神・中日にそれぞれ3タテを喫するなど、チーム状況が良くなくても3タテだけは阻止していた過去のラミレス監督のシーズンと比べ、大きな連敗が目立つシーズンだった。
打率・出塁率の低さは相変わらず(それぞれリーグ5位と6位)で、防御率もリーグ5位という状況下での2位という順位は、ラミレス監督のマネジメントが巧かったという見方もできるが、決して強いチームではなかったことは事実である。
9月に入って巨人がもたついたことで、最後まで優勝の可能性を感じることはできたが、優勝を勝ち取るにあたってまだまだ足りない部分があることが明らかになったシーズンでもあった。

そんななか、ソトが2年連続で他球団の脅威となる活躍を見せた。そして、勝ちパターンでも防御率4点台以上の投手が並ぶブルペン陣のなか、シーズン通して、チームを支え続けたのがエスコバーだった。
ソトは、打率こそ.310→.269と下げたが、43本塁打・108打点のリーグ二冠という成績は、野手陣のチームMVPといってもいい。
一方、勝ち試合だけでなく、あらゆる場面、しかも回跨ぎもあっての74試合・75 1/3イニングに登板したエスコバーの投げっぷりは、驚異の一言に尽きる。
入団当初は決して期待度が高かったわけでない両選手がいなかったら、とても、昨年この順位でシーズンを終えることはできなかった。

一方で、2019シーズンは、計算していた投手の不調や故障、さらに終盤になっての主力野手の離脱があったシーズンでもあった。
そうした緊急事態による戦力低下を最小限に防いだのが、5年ぶりとなる筒香のサード起用と言えるだろう。内野手の層が薄いという状況下、打撃が劣る選手をもう一人入れなければいけない事態を回避し、内野手より選手の余剰がある外野手をもう1名起用できるこの妙案は、固定観念にとらわれないラミレス采配の象徴的な起用法とも言えた。

さて、前置きが長くなったが、ここから2020年について。

1. 筒香が抜けた打線

日本代表でも主軸を務める主力打者が抜けたことは、やはり戦力的には大きい。
筒香の代わりとして、ラミレス監督が期待しているのが、佐野。
昨年は打席数も215打席(89試合)と大幅に増え、印象的な一打も放つなど、前年から大きく数字を挙げた(打率.295、5本塁打、33打点)。
佐野の魅力は、何と言っても、けれん味無く「振れる」ところ。3年目の昨季、一気に飛躍を遂げた印象があるが、成績が出なかった1年目・2年目も佐野を使い続けたことで、本人が「体感」としての経験を積むことができたという意味で、ルーキーイヤーからの起用はラミレス監督の慧眼と言っていいだろう。

ただし、佐野一人で筒香の穴を埋められるわけではない。ならば、打線全体の「繋がり」でその穴を……と行きたいところだが、現在のDeNAは、積極的に作戦を仕掛けて点を取りに行くという打線ではない(2019年シーズン、無死一塁での作戦企図率(送りバント・エンドラン・盗塁)は、12球団のなかで最も低いというデータもある(26%程度、トップのソフトバンクは40%超))。
基本的には、「打って点を取る」ことに重きを置く打線と言える。

そうなると、新外国人のオースティンの存在がクローズアップされてくるが、長打力はあるが確率が高い打者とは言えないという評価もある。
ソト、ロペスという実績を残している打者がいるなか、外国人枠4人の絡みもあり、このあたり、どのような起用をしていくか。
過去の新外国人選手の例を見ると、2016年のロマック、また2013年のモーガンはともに、開幕後、打撃不振が続いた。ロマックはそのまま成績を残すことなく退団。一方、モーガンは二軍落ちを経た後、主力としての活躍を見せるまでになった。
もしオースティンが不振に陥った際、現状打てる見込みがあるかどうかの見極め、また打てなかったときの二軍での調整法という部分において、首脳陣の手腕が問われる。

なお、現在のDeNA打線は、キャッチャー、そして守備重視での起用となった場合の二遊間の打撃力が低いために、6番以降での得点への期待度が極端に落ちる(伊藤光がスタメンに名を連ねない場合は、さらに)。
そう考えていくと、守備に目をつぶっての伊藤裕のセカンド起用もあり得るかもしれない。
ただ、チャージ力が低いソトや、ファーストが本職とも言われるオースティンの外野守備、またセンターのレギュラー一番手の神里もフェンス際での守備に不安があり、打撃重視で行ったときの全体の守備力は怖いものがある(場合によっては、ファースト・ソトという起用も考え得るので、なおさら)。
その意味では、打撃力偏重による守備の綻びをなるたけ少なくするという点で、実は、伊藤光以外の捕手陣や、柴田・大和の打撃力アップは、チームにとってかなり重要なポイントかもしれない。
いずれにせよ、シーズンに入っても、かなり流動的な起用が予想される、今季の横浜の打撃陣。シーズン終盤には、開幕前には思ってもみなかったラインアップとなっているかもしれない。


2. ブルペン陣の安定

山﨑の一年通した安定が目立った昨シーズンだったが、その他の右投手のブルペン陣の数字は、決していいものではなかった。
これまでと同じくセットアッパーとしての活躍が期待されたパットンは、序盤、幾度となく打ち込まれ、防御率は5.15(42試合)。勝ち試合での起用が増えた三嶋も、防御率4.33(71試合)、同じく国吉も4.80(53試合)。
結局のところ、昨シーズンのブルペン陣は、前述したエスコバーの大車輪の活躍、そしてたびたび中継ぎに配置転換された石田の起用で、なんとか持ったといっていい(また、目立ちはしないものの、藤岡・武藤がイニングを潰してくれたことも大きかった)。

思えば、三上・田中健・パットン・砂田・須田と、ここ数年のブルペン陣を支えた投手たちが、故障や不調で、相次いで勝ちパターンの陣容から外れた。
山﨑康晃という安定したストッパーの存在こそあるものの、優勝を狙うには心もとないブルペン陣容を考えると、オフのドラフトでは、ぜひ勝ちパターンで投げられる投手を獲ってほしいと願っていた。
しかし、指名した投手を見る限り、その候補となり得るのは伊勢ぐらい。その伊勢も、大学時代の映像を見る限り、すぐに戦力となるのは難しそうなので、結局、現メンバーのレベルアップを期待するしかない状況。
勝ちパターンの中継ぎ投手の育成は、どの球団も苦労しているところではあるが、計画的な、右の勝ちパターンの中継ぎ投手の獲得・育成ができていない、今のDeNAの状況には歯がゆさを感じる。
ルーキーイヤーから5年間ストッパーを務めている山﨑康晃の存在は見事の一言に尽きるが、もし不調や離脱という事態が起きた場合、替わりの投手候補が全くいないという現在の状況はかなり危険。
また、昨季、不規則な起用をされたエスコバーの疲弊も心配である。
若手の台頭というところでは、齋藤・笠井あたりの名が挙がるが、勝ちパターンの陣容に加わるには、もう一段、二段、ステップを上る必要性も。
となると、今年も、石田の中継ぎ起用も含め、対症療法的な起用で乗り切っていかざるを得ないが、場合によっては、現在、先発ローテ候補に名を連ねている投手からのさらなる配置転換もあるかもしれない(平良などは、先発で長いイニングを投げるのは難しいことと、四球で崩れる可能性が少ないことを考えると、中継ぎの方が合っているのではないかとも思うが)。

なお、個人的には導入に反対だが、来季(2021年)、MLBにならって、NPBでもワンポイントリリーフが廃止になる可能性もある。
場合によっては、来季以降、ラミレス監督が多用する小刻み継投が使えなくなることで、眼前の“失点防止”に重きをおいた起用優先で、勝ちパターンで投げられる中継ぎ投手を作ってこなかった代償を払うことになる可能性があることも付け加えておきたい。


3. 二遊間の選手起用

昨シーズンが始まる前、一番初めに挙げたポイントは、「セカンドの守備の重要度」だった。
結果的に、柴田・ソト・中井(・石川)の併用という形でシーズンを戦い、守備での綻びがそこまでは目立たなかったとは言えない状況を見ると、シーズンの順位において、セカンドの守備力はそこまで重要ではなかったと言えるかもしれない(守備力の落ちるところを、データに基づく守備位置変更などで補っていた可能性もあるが)。
セカンドの守備力が低かったにもかかわらず、巨人が優勝したという現実もある。

それでも、やはり、セカンドの守備力を重視してほしいという思いは残る。
おそらく、今季も、ソトや伊藤裕など、守備力が高いとは言えない選手を、セカンドで起用する試合は多くなるだろう。
一方で、柴田の打撃力に著しい伸長が見られた場合、起用数を増やすため、大和に代わり、「ショート・柴田」というケースも増えるかもしれない。
ただ、いずれにせよ、二遊間を固定して、コンビプレーも含めた守備での精度を高めるという野球は、横浜DeNAではしばらく見られそうもない。
2年前に書いた記事で、シーズン終盤にもなっての二遊間での送球のもたつきに、「こんなの、キャンプの段階でクリアしておくべきことじゃないか」と嘆いたことがあったが、もし数字として、守備重視の起用よりも打撃重視のオーダーにした方が勝ち星につながるというデータが出るのであれば、そこから先は、もはや「どんな野球が好きか」といった「野球観」の話になるだろう。

そんななか、昨年のドラフトで、横浜DeNAは、桐蔭学園のショート・森敬斗を1位で指名した。
魅力のある投手が多くいるなかで、高卒の内野手を指名しに行ったところに、森への期待の大きさ、そして主力を担える若い内野手をいかに獲得したかったかが見てとれる。
ただ、森については1点気になることがある。それは、現時点での評価のなかで「外野手としての可能性も」という意見が、少なからずあること。
将来、チームの主力を担う内野手にという期待のもと入団したものの、3~4年後、守備に難があり、外野へ転向というケースは少なくない。
横浜でも、梶谷、桑原と、二遊間のレギュラー候補が、結果的には外野手に転向している。
ただ、外野の代わりの選手というのはある程度いるが、内野手、しかも打てる内野手となってくると、プロでも非常に貴重な存在となる。
果たして、森をショートの主力にしようという思いがチームとして、どこまであるか。
少し古い話になるが、松井稼頭央の近い将来のメジャー行きが予測されるなか、それを見越して、高校時代全くショートの経験が無い中島を計画的にショートのレギュラーとして育て上げたという西武の例もある。
一人の選手をレギュラーとして育て上げるには、計画性も重要であるし、現場・フロントの“覚悟”も必要ではないかと思う。
5年後、ショートのポジションで縦横無尽に躍動する森の姿が見たい。


4. 本当に強いチームに

最後に、2020シーズンのポイントという枠を超える話だが、どうしても書いておきたいことを。
昨年のセ・リーグ優勝は巨人だった。クライマックスシリーズでも勝ち抜き、日本シリーズに進出した。
しかし、その日本シリーズでは、ソフトバンクの前に完敗を喫した。
これで、セ・リーグのチームは、日本シリーズで7連敗。

正直、昨季の巨人は、盤石の強さを見せたチームではなかった。優勝自体からもだいぶ遠ざかっており、原監督自身、最後に一番でゴールテープを切れるという“確信”はなかったのではないか。
しかし、その状態の巨人に、他の5チームは優勝を許した。
最後、Aクラスを争った3チームは、それぞれ、優勝を狙うには力不足の要因を抱えていた。
横浜DeNAは、先発・中継ぎとも総じて安定感を欠いた。阪神は、抜群のリリーフ陣を擁するものの、主軸打者の力不足、そしてエラー数の多さという要因があった。そして、4連覇を狙う広島にとって、勝負所でのバティスタの出場停止はあまりに痛かった。
もし、これらのチームが日本シリーズに出場していたとしても、内川・松田といった実績ある選手ですらも、それぞれの役割に徹することを要求され(そしてそれに応える)、且つ、故障していた野手たちが戻ってきたソフトバンクに勝てていた確率は低かっただろう。

ソフトバンクだけではない。
昨年で、セ・リーグは、交流戦10年連続負け越しとなった。
それこそ、現在のパ・リーグは、一時の、どの球団にも球界を代表するようなエースがいるような状況ではない。
それでも、セ・リーグは勝てない。
負け続けている理由を「指名打者制」の有無に求める意見も多いが、そればかりでもないように思う。

昨シーズン、横浜は5年ぶりに交流戦で勝ち越した(10勝7敗1分け)。
ただし、長丁場の戦いになったとき、果たしてパ・リーグの各球団に勝ち越せるだろうか。
20本塁打以上がずらっと居並び“足攻”も仕掛けてくる西武、「投」「打」ともあらゆるタイプの選手をそろえるソフトバンクの”2強”。
また、3位に終わったものの、松井を筆頭に宋家豪・ブセニッツ・森原と、ボールに力のある楽天のリリーフ陣を、DeNA打線が攻略するのは容易ではないだろう。ブラッシュ・浅村のインコースに投げ切れるDeNAの投手がどれだけいるかと考えると、もしDeNAがパ・リーグにいたらプレーオフには出られなかったのではとも思えてしまう。

つまるところ、これだけセ・リーグがパ・リーグに水を開けられている現状、セ・リーグで上位に入っただけで喜んでいいのか、という思いがある。
今の横浜DeNAの野球を見ていると、ラミレス監督の采配、また、ファンからはわからない水面下の動きも含めて、”相手の分析”というところに比重が置かれての戦いのようにも見える。
ただ、そこで「自身の能力の絶対値を引き上げる」ことが疎かになっていやしないか、という危惧がある。
昨年のプレミア12では、今永、山﨑の2人が日本代表に選ばれたが、果たしてそれに続くような選手が出てくるか。
当然、同一リーグの眼前の相手に勝つことも重要だが、「12球団」のなかでの“強さ”というものも意識したうえでのチーム作りをしてほしいというのが、セ・リーグの球団の一ファンとしての、今の気持ちである。


なお、今季は、東京オリンピックの影響で、かなり変則的な日程となるシーズンである。
開幕は、例年より1週間ほど早い、3月20日。
7月21日から8月13日まで、中断期間は3週間以上にわたる。
そのぶん、ペナントは10月中旬まで続き、日本シリーズが終了するのが11月中旬。
変則、かつ長丁場となるシーズンを、どう戦い、そしてどうマネジメントしていくか。
いつもとは若干違うシーズンを、様々なうねりや波を感じながら、楽しんで見ていきたい。
by momiageyokohama | 2020-02-05 03:09 | 横浜ベイスターズ | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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