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横浜DeNA 2019シーズン 5つのポイント

いよいよ、金曜日から開幕する2019シーズン。
そうしたなか、昨年は4位に終わり、3年ぶりにAクラス入りを逃した横浜DeNA。
今季の開幕前の評価は人によってかなり分かれそうだが、2019シーズンの鍵となるであろう5つのポイントを挙げていきたいと思う。

1. セカンドの守備の重視度

これは、今季だけでなく来季以降も含めた課題ではあるが、重要な部分でもあるので一番目に挙げた。
他の野手との兼ね合いもあるが、今季、セカンドの先発はソトである可能性が高い。しかし、周知のとおり、ソトのセカンドの守備にはかなり不安要素がある。
昨年もセカンドを守ったが、その出場は25試合。少ない守備機会で失策5、守備率.949という数字はもとより、守備範囲への不安、併殺をとれる可能性の低下など、やはり守備面ではマイナスの要素が大きいと言わざるを得ないだろう。
ソトのセカンド起用は、現状「セカンド」と「筒香以外の外野陣」の打撃力を比べて、外野の方に起用したい選手が多いからだと言える。その意味では仕方がないところもあるが、元をただせば、梶谷、桑原、筒香(ポジションはサードだが)、さらには今季コンバートされた宮本と、内野手として獲得した選手のコンバートの多さが、「セカンド・ソト」という事態を生み出したとも言えるだろう。それこそ、大学4年時にセカンドにコンバートされた伊藤裕季也をドラフト上位で獲得するというドラフト戦略(打撃はいい選手だと思うが)などを見ると、セカンドの守備力の重要性をどこまで考えているのか首を傾げたくなる部分もある(おそらく今後一軍で起用されていくとしても、セカンドは難しいのではないか)。
ショートについては、昨年、プロの一軍レギュラーショートとしての出場が初めてだった大和が2年目を迎えて安定度を増すことを期待したいが、セカンドを守る選手が流動的なため、シーズンを重ねていくなかで「二遊間としての守備力」を高めることはかなり難しい。
二遊間の守備力が優勝の大きな原動力になった広島や西武、一方で坂本が高い守備力を誇るもののセカンドが固定されないことで苦しんでいる巨人などを見ても、二遊間の守備力がチーム力に与える影響は大きい。
現在の状態は、「優勝」を狙うチームづくりという点からするとかなり「歪」な状態であるという認識が、どこまでチームのフロント・首脳陣にあるか。
今季は、このイレギュラーな体制で行くというのも一つの考えだが、ソトの守備力と打撃力を天秤にかけたときに、シーズン途中で一つ大きな決断をする時期が来るかもしれない。


2. 主軸以外の打者の打撃技術と感覚

多くのファンが思っていることだと思うが、果たして今季「主軸4人以外の打者」がどれだけ打てるのか。ラミレス監督が作戦面から打線を活性化させる監督ではないこともあり、この部分が、今季の横浜の順位の鍵を握る一番のポイントかもしれない。
開幕一軍が予想される選手で考えると、桑原・大和・楠本・柴田・伊藤光、また当落線上にいる選手では、神里・梶谷・倉本・嶺井・戸柱……(個人的には、ここに関根も加わってほしいが)。
打撃の指標は最近ではさまざまなものがあるが、わかりやすく、各打者の打率での目標を設定するならば、桑原….285(2018年 .261)、大和….270(同 .244)、柴田….250(同 .219)、伊藤光….245(プロ通算.236)といったところだろうか。
正直、プロの世界で打率を2分以上アップさせるというのは、かなりの打撃技術の改善が求められるかもしれない。その過程では、おそらく意識的に変えなければいけない部分が出てくるだろうが、最終的には、それを無意識にできるようになる「感覚」レベルに落とし込んでいく必要もあるだろう。
その意味では、ファンのレベルでは到底伺いしれないところもあるのだが、横浜に限らずオープン戦を見ていて思ったことが一つ。
右打者・左打者いずれの場合も、右投手のストレートにある程度タイミングを合わせている状態でスライダーが来たときに、引っ掛けて内野ゴロを打ってしまうか、それともヒットゾーンに持っていけるか(あるいはファールにすることで次のチャンスにつなげられるか)が、打率を残せるか残せないかの分かれ目になるのではないか。
もちろん厳しいコースのボールをヒットゾーンに持っていくことは容易なことではないが、そこまで厳しいコースでないスライダーでも、タイミングが取れないことで内野ゴロに打ち取られるケースは多い(左打者の場合は、外角に抜けたスライダーをカットしようとしてフライを打ち上げてしまうケースも)。
マスコミの報道では「強力打線」と評されることも多い横浜打線だが、2018年、チーム全体の打率(.250)、得点(572)、四球(363)、出塁率(.307)すべてがリーグ最下位だったことを考えると、対戦相手には「この打者とこの打者さえ抑えておけば点は取られない」と思われていた可能性も大きい。
2018年多くの試合で組まれた二番にソトあるいは宮﨑を並べる打線は一見、見栄えはいいが、そのぶんクリーンアップ以降での得点チャンスが著しく低くなり、「八番・ピッチャー」策もあって、自ら下位打線での得点の可能性を摘む格好となった。
やはり、相手バッテリーが一息つけるゾーンをなるたけ少なくするためにも、主軸の前後を打つ打者の成長がチームの順位を左右するといっていいだろう。


3. 先発陣安定の鍵を握る3人の投手

キャンプ中から故障者が目立ち、開幕前になんとか先発6人の陣容が決まった格好の現状。
そのなかで、鍵を握ると思う3人を挙げたい。

一人目は、今永
ラミレス監督は、山口の移籍後、石田を“エース”として推す発言が多かったが、ピッチングの内容、そして立ち振る舞いを考えると、チームの“エース”となり得る存在はやはりこの投手だと思う。
ルーキーイヤー、2年目とそのポテンシャルと意識の高さを見せてくれた2年間から一転。昨年は大きく数字を落とした。不振の原因は故障の影響とも言われたが、打たれた原因はそれだけではないようにも思う。
いいときの今永は、ストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブ、どれもかなりのレベルのボールを投げる。見ていて惚れ惚れすることも多い。
しかし、その反面、それまでの4球素晴らしいボールを投げていても最後の1球が甘く入ると痛打に直結することが結構ある。
実際のところ、プロといえども、すべてのボールが思いどおりに投げられるということはほとんどないだろう。投げていれば、思いどおりにコントロールできないボールも結構出てくるはずだ。そうしたなか、「投げたボールがすべていいボールでないと打ち取れない」というそのピッチングスタイルに、昨年抑えられなかった原因があったのではないか。
ともすると、全球いいコースに投げようとすることで、ファーストストライクが一番いいコースでその後徐々に甘くなっていくというスパイラルを生んでいる可能性もある。本人が意識しているストレートの伸びだけでなく、キャッチャーのリードに依るところも大きいが、投げミスをしてもそれが痛打になりづらいような配球や投球における考え方というのが、今季の今永の復調の鍵を握るように思う。

二人目は井納
1年目のシーズン後半からローテに入り、その後4年間、先発ローテで投げ続けてきた井納。現在の横浜では最も先発投手としてのキャリアがある投手ではあるが、ルーキーイヤーを含めた5年間のうち、二桁勝利を挙げられたのは一度のみ(2年目の11勝)。2015~2017年は全て防御率3点台ながら、勝ち星は5勝・7勝・6勝にとどまっている。
その原因は試合途中までいいピッチングをしていても、乱れ始めると突如ボールの勢い、コントロールとも悪くなり修正がきかないところにある。
そうした「好投が勝ち星に直結しない」近年のピッチングを見ると、昨年の中継ぎ転向それ自体は起用法としてありだったと思う。
ただ、昨オフ右肘のクリーニング手術をしたことにも見られるように、昨年はボール自体がいいときのものではなかった。先発再転向となった今季、オープン戦を見る限り、ひと頃の不調状態は抜け、いい意味で力の抜けた投球のように見える。
1年目の時点で27歳ということもあり、今季で33歳を迎える井納。年齢を考えると、今季は、再び先発ローテ投手としてシーズン通した活躍ができるか、それともキャリアの下降線をたどることになるか、分かれ目になる年だと思う。中継ぎへの再転向という可能性はかなり少ないだけに、ある意味、背水の陣で迎える1年といってもいいのではないか。

三人目は、飯塚
実は鍵を握る一人として挙げることを決めた後で、右肘の張りでオープン戦最後の登板を回避、という残念なニュースが流れたが、高卒5年目というキャリアを考えると、まだ線が細い感のある京山よりも、出てきてほしい投手である。
一昨年は8試合、昨年は9試合に先発したが、ともに1勝に終わった。昨年は1勝6敗、防御率4.74という数字ほど悪い印象はないが、先発陣が必ずしも盤石ではないなか、一軍ローテの座をつかめなかったという意味では、もったいない一年だった。
今季はオープン戦で150kmを超えるストレートを投げていただけに、故障での離脱はなんとも残念。軽症であってほしいところだが、ドラフト下位指名ながら、188cm・90kgと体格的にも魅力のある選手だけに、今季こそ先発ローテの座をつかんでほしいところ。

なお、3人の投手にクリアしてほしい数字を挙げるとするならば、今永…12勝7敗、井納…10勝7敗、飯塚…先発ローテとして16試合以上の登板、といったところ。
目標としては低いと感じられるかもしれないが、昨年までの実績を考えると、3投手がこの数字をクリアすれば、チームとしても、ある程度の戦いができている状態と言えるかと思う。


4. ブルペン陣の信頼度

一昨年、昨年は、とにかく「継投に次ぐ継投」というスタイルで戦ってきた2年間だった。おそらく今季も、そのスタイルが大きく変わることはないだろう。
昨年の主なブルペン陣の防御率は、山﨑康…2.72、パットン…2.57、三嶋…3.97、三上…3.05、砂田…3.61、エスコバー…3.57。正直なところ、後ろの2人を除くと、「盤石」とまでは言えず、裏を返せば、イニング間での交代など、致命傷になる前での継投で凌いできたとも言える。
また、パットン・山崎康のセットアッパー-ストッパーの2人に関しては、ある程度安心をもって見られたと言えるが、もし不調になったときに、この2人に代わる存在がいないのは気にかかる。
できれば、2人の不調時は、その前を投げる投手のなかにその座に移行できる投手がいるのが理想。だが、現在そのポジションにある三嶋は、中継ぎとして実績を挙げたのは昨年が初めて。防御率を見ても、まだ「信頼に足る」というラインまでは言っておらず、むしろ「中継ぎ専念2年目となる今季、昨年のようなピッチングができるか」を見定める段階の投手と言える。年々1試合あたりのイニング数が減っている三上も、前述の2人に代わる存在になれる可能性は低い。
将来的には、オープン戦で155km超のストレートを連発していた国吉あたりに期待したいところではあるが、簡単にストライクをとれる変化球の有無という部分では、まだ心もとない。
この部分については今後数年間を含めての課題といえ、もし今季中に苦境に陥った場合は、外国人投手の補強など、緊急的な対応策で凌ぐ形になるかもしれない。
なお、新たなブルペン陣候補として、個人的に適性があるのではと思うのは、平良。まとまった投手ではあるが、先発で長いイニングを投げるには少し球速が不足しており、際立った変化球があるとも言えない。それよりも、短いイニングに専念することで、球速のアップや、変化球の球種を絞ってその精度を磨くことで、もう一段上の活躍ができるようにも思う。
また、8・9回を任せるには不安があるが、現状、先発として考えられているバリオスも、ソフトバンク時代の活躍を考えると、中継ぎ適性の方があるだろう。
いずれにせよ、絶対的信頼度のおける投手の少なさ、また、ここ2年、各投手の登板数がかさんでいる状況を考えると、今年も、ラミレス監督の「やりくり力」が問われる1年と言える。


5. ラミレス監督の采配 注目される2点

就任後の2年間は賛辞の声が多かったのに対し、昨年はBクラスに終わったこともあり、采配・選手起用にかなりの批判の声もあったラミレス監督。
今季、注目する点は2点。

一点目は、「先発投手をどこまで投げさせるか」。
ラミレス監督の投手起用の特徴として、先発がある程度いいピッチングをしていても、5~6回で交代させる場面が多々ある。
打たれる兆候を見越してのことか、それとも球数管理によるものかはわからないが、先発の出来如何にかかわらず、ほとんどの試合で、はなから6~7回からは継投で行くあと決めている節がある。
ただ、この起用法は、よく言われる中継ぎ投手への過剰負担だけでなく、先発投手のレベルアップという点で、疑問を感じる。
短期的に「チームが勝つため」という意味ではベターな策かもしれないが、今後、より長いイニングを投げられる投手に育てていく、という視点で見ると、必ずしもいい起用法とは思えない。
また、もし球数管理という側面があったにせよ、石田・今永・濵口・ウィーランド・東と、成績を残した投手たちが軒並みその翌年に故障している状況を見ると、果たして故障防止策として機能しているのかという疑問も残る(「大きな故障となる前に休ませる方針」という可能性も無いではないが)。
「先発として長いイニングを投げる力を養う」可能性が閉ざされることは、チームの失点確率を防ぐことにはつながるかもしれないが、その投手のキャリアを考えたときにはプラスに働くとは言えないだろう。
そのあたり、佐々木主浩との対談で「先発投手の投げるイニングを伸ばしたい」と言っていた三浦コーチの意向と、どのぐらい考えを合わせることができるだろうか。

二点目のポイントは、「試合終盤競った場面での攻撃面での作戦」。
昨年も、一昨年に続き犠打数がリーグ最少(71)だった横浜。終盤、「1点」が欲しい場面でも、犠打という策をとらない場面が多かった。
主軸の4人がバントしないのは当然と言えるが、役割的にバントを求められると思われる選手でもかなり犠打数が少ない。
主なところでは、大和…9(435打席)、柴田…6(265打席)、嶺井…6(230打席)、倉本…0(235打席)、伊藤光…0(151打席)といった数字。チーム打率がリーグトップにもかかわらず、犠打数もリーグ最多(109)だったヤクルトとは対照的である(西浦…20(550打席)、中村…22(401打席)、上田…7(101打席)、三輪…5(24打席))。
試合序盤から中盤の段階で、バントを選ぶか強攻を選ぶかというのは、監督の考えによるところも大きく、どちらが正しいとも言えない。
ただ、試合終盤、どうしても1点をとりたい場面で、チーム打率が低く、かつ進塁打を打つ意識も低いにもかかわらず、バントの選択をせず走者を得点圏に進めることができない場面が繰り返されるのには閉口した。
昨年も一度書いたが、7月の試合であった、試合終盤、無死一塁で、バッター柴田、ピッチャー又吉という場面。おそらく又吉の球筋と柴田のバッティング力からして一・二塁間に引っ張ることは難しいと思われる場面で、ただ打たせて、結果ショートゴロ併殺、という場面は、得点をとるためにやらなければいけない手順をあまりにも踏んでいないように感じた。
西武のように各打者の力が突出しているならいざ知らず(2018年:打率 .273、出塁率 .352はともにリーグトップ。犠打はわずか48だが、四球がリーグ最多(566)ということもあり、792得点は12球団断トツトップ)、安打の確率が低い打者に対し、ただヒットを祈念するという策はあまりに確率が悪い。
正直、オープン戦での井納のバント失敗などを見ていると、ピッチャー含め、犠打・進塁打という部分にチームとしてどれだけの意識の高さがあるか甚だ心もとないが、この部分を疎かにするようでは優勝を狙える位置につくのは難しいだろう。
以前、日本ハムのヒルマン監督が、犠打数を大幅に増やした2006年(54→133)に、前年の5位から一気に優勝を果たしたということもあった。ロバート・ホワイティングによる記事では、必ずしもヒルマン監督はこの方針転換に納得していなかったように書かれているが、昨年は、犠打未選択をはじめとする試合終盤での作戦面での「選択」が低い得点力という結果を生んだといっていい、ラミレス監督の采配。
「走」の部分も含め、このあたり、今季、ラミレス監督が、競り合いの試合終盤、どのような「選択」をするか見物である。


なお、今季の開幕は、浜スタでの中日戦。その後、ヤクルト(神宮)→巨人(浜スタ)→阪神(甲子園)→広島(浜スタ)と続いていく。
対戦相手のポイントという意味では、やはり、対阪神戦ということになるだろう。
昨年も8勝17敗と大きく負け越したが、これで5年連続負け越し。実は、2005年以降の14年間で、勝ち越せたのは2013年の一度のみである。
今季も、西、ガルシアという強力な先発投手陣が加入したが、何より、福留がバラエティ番組で「横浜スタジアム大好き」と言っていたように、普段、広い甲子園でプレーしているからか、浜スタに来ると生き生きとバットを振る阪神打撃陣をどう食い止めるかが、阪神戦のポイントだろう。

最初にも書いたように、今季の評論家の横浜DeNAに対する予想は、かなり割れている。それだけ不確定要素の多い、今季の横浜。
昨年味わった悔しさを本気で晴らす気概があるか、その部分を見たい1年でもある。
by momiageyokohama | 2019-03-28 02:18 | 横浜ベイスターズ | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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