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ゴロフキンvsカネロⅡ、田中恒成vs木村翔、そして井上尚弥

この1ヶ月は、ボクシングファンにとって、「ボクシングの魅力」を堪能した1ヶ月となった。

そのなかでも、ゴロフキンvsカネロの再戦、田中恒成vs木村翔、そして井上尚弥vsパヤノの3戦を振り返ってみる。

9月16日に行われた、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)とサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)のパートⅡ(WBAスーパー&WBC世界ミドル級(~72.57kg)タイトルマッチ)。
昨年の初対決は、期待に違わぬハイレベルな戦いだったものの、大方の見方ではゴロフキンが勝利かと思われたところ、思わぬドロー判定。パッキャオvsブラッドリーⅠを思い起こさせる”再戦ありき“のジャッジに、「ボクシング界の悪習をまたも見せられた」という思いが残った。
その後、アルバレスのドーピング疑惑もあり、再戦は無いかと思われたが、最終的にはパートⅡが組まれることに。
もともと、両者のボクシング曲線のピークを考えると、対戦時期が伸びれば伸びるほどカネロ優位といわれていることもあり、今回の一戦は、前戦以上に予想が難しい一戦となった。

いざ試合が始まると、今回は、序盤からカネロが攻勢に出る。1戦目で見せた防御技術も健在で、ゴロフキンのパンチの強さを吸収していく。さらに、ラウンドが進むと、効果的なボディー打ちも目立つように。自分の採点では、前半はほとんどカネロ。再戦決定までの道のりはさておき、これまで数多のボクサーがゴロフキンに対抗できなかったことを考えると、前戦に続き、ゴロフキンと互角、さらには互角以上の戦いをする地力には改めて驚かされた。
ゴロフキンの顔も徐々にパンチの傷跡が見え始め、その表情にも焦りの色が見えたことで、このままカネロが一方的に押し切るかと思われたが、中盤を過ぎたところから、ゴロフキンも盛り返し始める。判断に迷うも、ゴロフキンにつけたくなるラウンドが増え始め、勝負は予断を許さない展開に。自分の採点では、最終ラウンドを残したところで、カネロの1ポイントリード。前戦のように最後、カネロが逃げに回るボクシングをするようだと、前半の貯金を使い果たすことになると思って見ていた。
しかし、今回のカネロは逃げなかった。ゴロフキンも最後の力を振り絞り、両者が一度もキャンパスに倒れることなく、しかし現時点で、すべての階級のなかでも最高レベルの攻防が続いた12Rが終わった。

そして注目の判定。115-113、115-113、114-114の2-0となったスコアで決まった勝者は、カネロだった。試合前半、ゴロフキンを追い詰めた戦いぶりを考えると、この日のカネロは勝者に値するボクサーだったと言えるだろう。
ただ、初戦の”疑惑“ともいえる判定、そして晴れたとは言えないドーピング疑惑を考えると、ボクシングファンとしては引っ掛かるものがあるのも事実。次戦では、スーパーミドル級に打って出るようだが、チャーロ兄ら、新たな強豪との対戦を避けたマッチメイク路線のようにも見える。
今後、本当の意味で、尊敬に値する”スーパー“チャンピオンになるためには、強豪との対戦を厭わないマッチメイク、ドーピング疑惑の払拭、そして”自身を守ってくれる人“以外のファンの心にも届く言動が必要だろう。



続いて、9月24日に名古屋の地で行われた、王者・木村翔と、キャリア8戦で2階級制覇を果たし、ミニマム・ライトフライに続く3階級制覇を狙う挑戦者・田中恒成の、WBO世界フライ級(~50.80kg)タイトルマッチ

日本人同士の戦いに限らず、近年の日本のリングで行われた世界タイトルの中でも、どちらが勝つか最も予想が難しい、裏を返せば、それだけ好勝負が期待できる一戦だったが、残念ながら、当日放送されたテレビ中継は中京地区のみ。関東では2日遅れの深夜放送ということで、3日間、スポーツニュース関連も含めボクシング関係の情報を遮断して、深夜で放送された中継を見た。

試合は、序盤から両者がパンチを惜しみなく出し合う戦いに。“エリート”田中に対し、“雑草”木村も、一歩も引かない戦いを見せ、好勝負の予感。しかし、2R、田中がカウンターで木村をぐらつかせると、田中が、ボクサーとしての“格”の違いを徐々に見せ始める。しかし、完全アウェーの中国でタイトルを奪取した木村も、そこで下がらない。「“格”の違い」を感じた思いは次第に消えていき、両者がけれん味なく打ち合う、かつ致命的なパンチはすんでのところで食わない防御技術も見せるラウンドが続いていく。
それでも、徐々に塞がっていく木村の右眼を見ると、田中が終盤リードを広げていくかに見えた。だが、それでも木村は引かない。おそらく右眼が見えていないだろう状況のなかでも、前に進み、時折、田中を追い込んでいく場面も。
両者ほぼクリンチも無く、休みなく打ち続け、そしてパンチを防ぎ続けた戦いは、最終ラウンド、右の交叉3連発という漫画のような打ち合いでクライマックスを迎えた。
互いにすべてを出し尽くしたといってもいい、12ラウンド。
勝者のコールを聞いたのは、田中恒成だった(2-0)。自分の採点では最終ラウンドを木村につけてのドローだったが、判定結果は納得の範囲内。とにかく、決して低くはなかった試合前の期待をはるかに上回る大熱戦を見せてくれた2人のボクサーに、「よくぞ、こんな試合を見せてくれた」と、感謝したい気持ちで一杯になった。

80年代以前の世界戦はリアルタイムではほとんど見ていないが、両者の拮抗度などを考えると、薬師寺-辰吉、畑山-坂本戦など、評価の高い過去の日本人同士の世界戦と比べても内容的にNo.1の試合だったのではないか。
ボクシングの試合ではバーゲンセールのように使われる“気持ちが大事”というフレーズだが、片眼の視界がほとんどなくなっても、勝つことを決して諦めず田中を追い詰めていった木村、その木村の気迫を最後まで受けて立った田中の姿を見たこの試合ほど、”気持ちが大事“ということを感じさせられた試合もない。
ボクシングファンとしては、「なぜ、この試合を全国中継できなかったのか」という思いが沸き上がるが、何なら、田中がもし大晦日に世界戦をやるならば、もう一度、その前に流してほしい、何よりボクシングファン以外の人にもぜひ見てほしい。それほど、心揺さぶられる一戦だった。



「10月7日、横浜アリーナ。新たな伝説が生まれた。」
そんな臭すぎるフレーズも、まったく違和感を感じない。そんな戦いを、またもや井上尚弥が見せてくれた。
衝撃の70秒”。各記事やコラムで、そんな見出しが躍ったこの一戦だったが、それは単に、わずか70秒という短さゆえに衝撃だったわけではない。
ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)という、過去にアンセルモ・モレノ(パナマ)といった実力者も下している強豪に対し、数十秒でそのボクサーとしての力量を把握し、そして、狙って仕留めたというその"内容"が衝撃だった。
WBA世界バンタム級(~53.52kg)タイトルマッチ、そして4人の現役王者を含む8人の実力者で争われるWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)の1回戦として行われた、今回の一戦。試合会場の演出も、従来の日本での世界戦とは違い、海外のリングを思わせ、かつスペクタクル感を感じさせるものだった。
そのなかで、最高のスタートを切ったといっていい、井上尚弥。

次戦の準決勝は、IBF王者:エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、そして決勝へ勝ち上がれば、WBAスーパー王者:ライアン・バーネット(英国)、ゾラニ・テテ(南アフリカ)あたりとの対戦が予想される(ノニト・ドネア(フィリピン)が勝ち上がってくる可能性も無いではないが)。

次戦はアメリカでの開催といわれているが、井上尚弥に唯一足りないものが「"海外のリング"での、"強豪相手"の勝利」ということを考えると、決勝も、ぜひ、日本ではなく海外(可能性が高いのは英国だが)で開催してほしい。

 対 オマール・ナルバエス(WBO世界スーパーフライ級王者) 〇2R:3分1秒KO
 対 ジェームス・マクドネル(WBA世界バンタム級王者) 〇1R:1分52秒KO
 対 ファン・カルロス・パヤノ(元WBA世界バンタム級スーパー王者) 〇1R:1分10秒KO


こう、これまでの戦績を並べると、改めて井上の強さに圧倒されるが、もう一つ付け加えると、三者とも、井上尚弥に喫した敗戦が、キャリア初のKO負けである。
強豪と対戦するたび、こちらの想像を超える強さを「これでもか」というほどに見せてきた井上尚弥。
それでも、まだまだボクシングファンの夢は尽きない。
「Naoya Inoue」の名が、パウンド・フォー・パウンド1位に挙げられるその日まで。


by momiageyokohama | 2018-10-19 01:38 | ボクシング | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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