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横浜DeNA 2018序盤戦の戦いを振り返る

開幕から1ヶ月と少し。
シーズンの約5分の1が経過したが、ここまでの横浜DeNAの成績は14勝14敗1分けでちょうど5割。

開幕前、主力の先発投手3人が故障で、果たしてどうなるかと思ったが、予想以上にその代わりに入った先発陣が好投。4月中旬には8連勝もあり、「これは、今年行けるぞ」とも思わせたが、その後は広島に浜スタで3連敗。阪神にもここまで0勝4敗とまだ勝っておらず、阪神・巨人との中位グループを形成しているというのが現状。

そんな序盤戦の戦いを、4つのポイントから見てみようと思う。


1. 主軸以外の打者

リーグでも随一ではないかと思われる、筒香・ロペス・宮﨑のクリーンアップ。
昨年からフォームを変えた筒香は打率が上がっていないものの、試合終盤に勝負を決める一打を放った試合もあり、3人とも及第点の活躍はしていると思う。
問題は、その前後を打つバッター
昨年、苦しい時期を乗り越え、結果シーズン通してレギュラーを張った桑原・倉本が、今年も序盤戦は打てず、2割そこそこの打率。
その桑原に代わって一番に入っている神里も、ルーキーという視点でみれば活躍しているとも言えるが、三振数の多さ(リーグ2番目)などを見ると、まだプロのレベルを体感しながら勉強しているという段階。
右打者に戻った大和も、レギュラーを張っていた時期(2012~2014年)の打率2割6分~7分までの成績は残せていない。
当初想定していたレギュラー陣の打撃がふるわないなか、ルーキーの宮本・楠本、そして乙坂あたりもチャンスを与えられたが、現状、そのチャンスをものにできていない。
さらに、6番にキャッチャーを入れるラミレス監督の構想からすると重要なキャッチャー2人(嶺井・戸柱)もともに打率1割台となると、チームの得点力が低い(リーグ5位)のも致し方ないところ。
昨年・一昨年、実績を残した桑原・倉本の2人に関して言えば、桑原はオープン戦から続くボールへのコンタクト率の悪さがまだ続いている印象。一方、倉本は昨年に比べると、構えたときの懐の深さが浅くなっている気がする。
この2人以外の選手も含め、総じて2割3分台以下の打率に留まっている(さきの巨人との12得点の試合で打率を上げた選手もいるが)ことを考えると、各打者が、まだ本来的に2割5分以上打つ力がないとも言える。
今後、貯金を増やしていくには、なんとか、それぞれの選手が打席内で、自身である程度主導権を持って打てるぐらいのところまで、打撃力を上げていってほしいところだが…。
なお、個人的には、一軍での2打席のチャンスを今回は生かせなかった関根にも、まだ期待している。


2. 先発陣

前述したように、主力投手3人が開幕に間に合わず、大いに心配していた先発陣。
開幕ローテの石田・バリオス・京山・飯塚・東のうち、先発として一軍での実績があるのは石田だけという状況に、「4月はなんとか大きく負け越さないぐらいの範囲で踏みとどまってくれれば…」とも思っていたが、予想以上に、各投手が好投を見せてくれた。
なかでも、チームにとって大きかったのが、開幕戦・2戦目と連敗で迎えた3戦目の京山の好投(5回1失点)、そして、その後さらに3連敗してズルズルッと行きかねない状態で迎えた、バリオスの好投(6回1失点)。この後、チームは8連勝した。
なお、安定度という点では、ここまでは東が一番だろう。昨年の濵口に続き、1年目から活躍する先発投手、しかも左腕を獲れたことは、チームにとってものすごく大きい。
さらにここへ来て、開幕直後は正直信頼度の低かった石田も、安定した投球を見せている。特に、これまではあまり見られなかった、高めのストレートで三振を取るシーンには頼もしさを感じる。
これで、さらに主力投手3人が戻ってきて先発ローテを誰にするか困るぐらい……とも思われたが、そううまくいかないのがプロ野球。
ここまで今永・ウィーランドが投げた試合は1勝4敗と、逆にチームの借金を増やしている。前回の登板は雨で中止となった濵口が、今季初登板となる広島戦でどういうピッチングをするかは、大きなポイントとなるだろう。
ただ、7イニング以上投げられる投手があまりいないところに不満は感じるものの、今後の戦いにおいて「先発陣がいなくて困る」というところまでは行かないように思う。


3. リリーフ陣

昨年、優勝を争える位置まで行けなかった一つの大きな原因だった、リリーフ陣の不安定さ。
今後の戦いのうえでも重要となってくるところだが、ここまでは、ある程度安定しているように思う。
パットン三上エスコバー、そして昨年までとは少し違ったピッチングを見せている三嶋と、各投手、完璧ではないながらも、総じてストレートの威力があるために、ランナーを出したとしても得点を防げているというのが、現在の状態。
ただし、失点の危険を事前に感じたラミレス監督が、イニング途中での継投をする場面も結構あり、その意味では、山﨑康を除くと「盤石」というところまではまだ行っていない。
なお、前述の4人のように、ストレートの威力を武器にするタイプではないが、砂田も角度を利用した投球で、いい役割を果たしている。
そんななか、気になるのが井納。中継ぎへの配置転換自体は、このブログでも2年前に書いたことがあり、勝ちきれないここ数年の投球を考えると、十分に考え得る策だと思っていた。ただ、中継ぎ・先発云々以前に、昨年の日本シリーズあたりからボールの威力が目に見えて落ちているのが非常に気になる。投げるイニングが短くなったことで球速が増してもよさそうなものだが、バッターがストレートの球威に押し込まれるという場面はほとんどなく、変化球も投げた瞬間から抜けているようなボールが多い。さきの巨人との引き分けになった試合、先頭打者の亀井に6球全部変化球を投げて最終的にツーベースを浴びた場面は、井納の現況を象徴しているシーンのように見えた。
正直、肘かどこかに故障を抱えているのではないか。そう思いたくなるほど、今の井納のボールには、いい時に比べると勢いがない。さきの巨人戦、ラミレス監督がイニング途中で替えたのは、現在の信頼度を考えると仕方がないところ。今後、代わりを務められる投手が出てくるようであれば、現在の継投パターンから外れることもあり得るだろう。


4. ラミレス監督の選手起用

「三番・筒香」や「八番・ピッチャー」、まだ、昨年CSの広島戦での「四人三封」継投など、去年あたりから、だいぶその「色」を出してきている、ラミレス監督の選手起用。
今年も、前述したようなイニング途中でもどんどん投手を変える継投など、「そう来るんだ」と思わされる選手起用は多い。
そうしたなかで、昨年との大きな違いは、やはりレギュラーを固定する時間の長短だろう。不調の桑原は3試合で一番を外れ、5試合目にはスタメンも外れた。昨年はフルイニング、ショートを守った倉本も、今年は試合途中での交代があり、こちらも4月末からスタメンを外れた。
ただ、いずれも、選手が思いのほか不調であるがゆえの起用策であり、いまだ型が決まらない一・二番を含め、そうした選手起用が得点力アップにつながっていないのが現状である(ここ最近は「九番・キャッチャー」に変更)。
各記事やラミレス監督のコメントなどをみると、こうした起用法は、球場との相性といったところも含めかなりデータに拠るところが大きい模様。
ただ、大事なのは、各選手たちが打席である程度余裕をもった状態で打てるかどうか、ということ。そして、「打線のなかでの自分の役割をきちんとわかったうえで、打席に入れているか」ではないか。ヒットを打った打たないの基準だけではなく、各打席での内容がどう評価されているかというところも含めて、監督と選手の意思疎通がきちんと取れているか。その部分が、今後の戦いにおいて、またチームとしての得点力アップには重要ではないかと思う。
それは、継投においてもしかり。さきの巨人戦、イニング途中で替えられた井納は明らかに不満そうな表情を浮かべていたが、これもどういう理由で替えたのか、ということが、投手コーチを通じてでもいいので、本人に伝わる必要はあると思う(それで本人が満足するかしないかは、また別問題として)。
「優勝」という部分を大きく意識しているせいか、今年は、昨年よりも表情が厳しい場面も多くみられるラミレス監督。
広島の強さや、阪神のメッセンジャーや秋山の投球などをみると、優勝を勝ち取るには、もう一段高いレベルのチームにならなければいけないといった思いもあるだろう。
そのためには、「非情」に思える選手起用も必要かもしれない。ただし、そこには「必ず『説明』が必要」、そして個々の選手の「気持ち」が存在しているということは忘れてほしくないところ。そうした気持ちを慮ることができるのがアレックス・ラミレスという監督ではないか、とも思ってはいるが。


最後に、横浜の話から離れるが、先日、球場で観て印象に残ったことを一つ。
先週のこどもの日、神宮にヤクルト-広島を観に行った。
試合自体は、広島の圧勝。序盤から広島打線が、ヤクルトの出てくる投手出てくる投手から得点を重ねていった。
8回には、この日4人目の投手となる中澤から、菊池・バティスタが連続ホームラン。
ヤクルトとしては、もう100%敗戦といっていい試合展開だったが、そんななか、連続ホームランを打たれた中澤に、途中からサードに入った大引が、ただ一人声をかけに行った。
その翌日。9回2死ランナー無し、マウンドにはストッパー中﨑という場面で飛び出した、代打・大引の同点ホームラン……。

正直、野球は技術が多くを占めるスポーツであると思っているので、「気持ちで打った…」みたいな言い方は、あまり使おうとは思わない。
ただ、たとえその試合が完敗であろうと、また、その日のプレーがうまく行かなかろうと、翌日以降も試合は続いていく。
目に見えるプレーから、傍からみたら何てことないことまで、そうした一つ一つの積み重ねが、シーズンを形作っていく。
そのことに気付けると、人は、そしてチームは強くなっていくのではないか。
そんなことを思った。

Commented by 大宗 at 2018-05-09 04:32 x
 こんばんは。ご無沙汰しております。

 今回の記事、大変興味深く読ませていただきました。鋭くかつ冷静な分析で頷かされる事ばかりです。

 特に4項については全く同感です。

 心配なのは今シーズン、いきなり大きく選手起用法が変わった事によりそれぞれのプレーが『勝ちたい』という意識から『失敗したくない』(結果が出ないと変えられるわけですから)ものに変質してしまいかねないという事。

 監督が勝負の年と考えている故の起用方だと思いますので一ファンとしては納得しています。が、ただ選手の気持ちを萎えさせないフォローだけはチームとしてきっちりと行っていって欲しいと願っています。


Commented by momiageyokohama at 2018-05-09 12:58
>大宗さん
コメント、ありがとうございます。
仰るように、「失敗できない…」と思ってプレーするのと「やってやるぞ!」という気持ちでプレーするのとでは全然違いますからね。
昨年と起用法がだいぶ変わったのもありますし、セオリーと違う起用をすることも多い監督なので、理由の説明というのは、かなり重要になってくると思います。
そのことが、チームが同じ目標を目指すことにもつながるでしょうし。
by momiageyokohama | 2018-05-08 13:07 | 横浜ベイスターズ | Comments(2)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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