日本シリーズ1・2戦中継寸評
2005年 10月 24日
3戦目からは甲子園とはいえ、「このまま行ってしまうのでは…」と思っている人も多いと思います。
初戦・2戦目とも、試合を分けたポイントとして、西岡選手の積極性・今江選手の見事な打撃、一方の阪神主軸(4番・5番)がノーヒット、といった所が挙げられることが多かったですが、大もとの所は、やはりロッテ先発陣(清水直・渡辺俊)と阪神先発陣(井川・安藤)の出来の差だったと思います。
清水直投手は、テレビ画面で見ていても伸びを感じるストレートに加え、ベースの所でクイッと曲がるカットボール、そして左打者の膝元に落ちるスライダーと、すべての球のキレが素晴らしかったです。また、たまに来るドローンとしたカーブを阪神の左打者がことごとく引っ掛けて、ファーストゴロなどで打ち取られる場面も多く目にしました。
2戦目の渡辺俊投手も、シーズン中と同じく、バッターのタイミングを見事にはずすピッチングを披露。3回表には片岡選手・矢野選手と連打を浴びる場面もありましたが、そのピンチを切り抜けると、中盤はバッターが打ってこないのを見越して、初球・2球目と簡単に甘いコースでストライクをとりにいくなど、最後まで阪神のバッターのタイミングを外し続けました。
なお、2戦目の試合のポイントとして、各スポーツニュースで、3回表、藤本選手がノーアウト1・2塁のランナーをバントで送れなかったことが挙げられていましたが、いきなりの対戦(交流戦があったとはいえ)で、渡辺俊投手のボールをバントするのは、見た目以上に難しいと思います。
一方の阪神の先発陣。初戦の井川投手は、ボールこそ走っているように見えましたが、1イニングの間に何球かある失投をことごとく痛打されてしまいました(今江選手の先制本塁打・李選手の中押し弾etc)。確かに審判の判定も厳しかったですが、1回表、清水直投手も何球か厳しいボールをとってもらえなかったこともありましたし、やはりその中で抑えることが、初戦の先発として求められた役割だったといえるでしょう。
更に、2戦目の安藤投手ですが、正直、出来は最後まで悪かったと思います。
ストレートのスピードは、140kmいくかいかないか。得意のスライダーも、ロッテのバッターにことごとく見切られていました。中継では、「中盤以降は良くなってきた」という論調でしたが、シーズン中に見せていた、145kmを超えるストレートをアウトコース低めにビシッと投げきるピッチングからすれば、本来の力を出せないまま、降板してしまったように思います。
さて、その日本シリーズの中継ですが、初戦はテレビ朝日、2戦目はテレビ東京が中継をしました。
正直、2戦ともにストレスを感じて見ていた(^^)人も多かったと思います。
初戦のテレビ朝日は、①東尾氏を頂点とするピラミッド型解説陣、②「これだ」という1つの大きなポイント(この試合では西岡選手のプッシュバント)を、いつまでも引きずる中山アナの実況、という2大問題点が、もろに出た中継でした。
①のピラミッド型解説陣ですが、結局、現役時代の実績(あるいは監督をやったという経歴)、そして年齢的にも(さらにはキャラ的にも?)東尾氏が他のメンバーより抜きんでていることにより、どうしても、他の解説陣がその辺りのバランスに気を遣った言い回しになる、という弊害が感じられます(ちなみに、今回のメンバーは、〔ゲスト〕松坂投手・栗山氏・西村龍次氏・村田真一氏・〔ベンチリポーター〕大塚氏)。
実況も、テレビ朝日の場合、中堅(30代後半以降)以上のアナウンサーが実況することは少なく、東尾氏の見方が間違っていても、誰もそれを止める、あるいは修正することができずに、「視聴者に不快感を残したまま、中継が進んでいく」というのが、テレビ朝日の中継の特徴になっていると思います。さらには、この特徴は今に始まったことではなく、大下氏・落合氏が解説をやっていた頃からの(悪しき)伝統ともいえます。
また、②の「大きなポイントを引きずりすぎ」という所について。①の事とも関連するのですが、確かに西岡選手のプッシュバントは素晴らしかったのですが、それが段々と「東尾さん、よく気づきましたね~(→プッシュバントをする前に、東尾氏が「西岡選手がセカンドの方をチラチラみているのが気になる」と発言していたことを受けて」ということにシフトしていったことに、イライラを感じた視聴者も少なくなかったと思います。
そうした実況になってしまう原因の一つには、テレビ朝日のスポーツアナによく見られる近視眼的な見方、というのがあると思います。
普段、巨人・西武・ヤクルト戦以外、中継する機会が少ないというのもありますが、ロッテ・阪神の選手ともに、紹介するのは数字やデータetc表面的なものがほとんど(今岡の打点数・西岡の盗塁数など)。ペナントの中での調子の移り変わり・更にはここまでのその選手の経緯etcにはほとんど触れず、どうしても底の浅い実況という感が拭えませんでした。
もともと持っている引き出しが少ないが故に、試合中のトピック的なことを引っ張り過ぎる傾向が多い。この辺りが、解説者に甘く見られてしまう、更には野球ファン(日頃から熱心に試合を見ている)から評判の悪い原因でしょう。
もちろん、自分の知っている事をこれ見よがしに披露する実況も問題ですが、現在の中山アナの実況を聞いていると、中継するにあたって、表面的なもの(データetc)以外のことについての引き出しがかなり少ない気がします(「現在の」選手の調子・試合を見続けなければわからないその選手の傾向etc)。
事前取材はしているのでしょうが、自分の中継する試合ではない試合にも目を配るなどをしていかないと、今後も、ファンを満足させる中継はできないのでしょうか(実際に中山アナがどういう取材ぶりなのかは分かりませんが…。ただ、一方で、「以前よりは聞けるようになったかなあ」とも思いました)。
さて、続く第2戦。
こちらは、何といっても、若菜氏の「ソフトバンクの場合は…」攻撃(^^)に尽きるでしょう。
日頃中継しているソフトバンクが出場しないということで、落ち着いた(「ソフトバンク寄り」にシフトしない)解説がきけるかと思いきや、全ての事象を、ソフトバンク(あるいはプレーオフ第2ステージ)に置き換える解説ぶり。
テレQを見ている人、あるいはスカパーetcで福岡ドームのソフトバンク戦を見ている人だったら、「やっぱりな…」とある意味、織り込み済みだったかもしれませんが、日頃、若菜氏の解説を耳にしたことがない視聴者からすると、「なんでそんなに、ソフトバンクのことに喩えるんだろう?」と不思議に思ったかもしれません。
一方の江夏氏も、自分でも「あまり見ていないんですが…」と言っていたとおり、ロッテの選手については、あまり知識がない様子で、正直、全体的に解説陣には物足りなさが残りました。
毎年、日本シリーズの中継を見ていて感じるのは、自分の日頃見ていないチームに対しての、解説者の発言の弱さ(and 説得力の無さ)です。
見ている側からすると、できればどのような組み合わせになっても、それぞれのチームについて、よく知っている(しかも偏った見方でない解説ができる)解説者を1人づつ入れてほしいと思うのですが…。
なお、実況の植草アナは、適度に、各解説者(and ゲスト)に話を振り分けていたように思います。
さて、第3戦の中継ですが、Yahooのテレビ番組表を見たらテレ朝で、「またテレ朝かい!」と思ったのですが、よく見るとABC(朝日放送)。
実況は伊藤史隆アナ、ということで、個人的には「阪神ファンの気持ちをうまくくすぐりつつも、中立の実況が出来るアナウンサー」と思っているので、ひと安心。
なお、解説は吉田義男氏・真弓明信氏、(ゲストは谷繁選手)となっていたのですが、ABCのホームページを見てみると、実況:楠アナ、解説:福本氏・佐々木修氏とのこと。
どっちが正しいかはわからないのですが、いずれにしても、試合を盛り上げるような(無理にではなく)中継をしてほしいですね(ただ、明日はリアルタイムでは見られないのですが…)。
追記:阪神からすると、「予告先発の提案は受けない方がよかった」ように思います。ロッテの場合、相手投手が右か左かで大きくスタメンが変わるので、戦略の一つとして、先発投手を分からなくすることは、阪神にとって大きなアドバンテージになったと思うのですが。



























