横浜DeNAベイスターズ 2017前半戦 レビュー
2017年 07月 17日
2015年は前半戦首位での折り返しだったが勝率は5割。前半戦を貯金がある状態で折り返すのは、大矢監督が2度目の指揮をとった1年目にあたる2007年以来、10年ぶりのことである。
ここまで、開幕3週間経過、そして交流戦前の時点で、横浜のレビューを書いたが、開幕3週間の時点では、「『型』を作れなかった」と書いた。
シーズンの6割弱が経過した現時点(残りは61試合)では、「『型』が作られつつある打線」、反面、「いまだ『型』を模索中の投手陣」といった印象を受ける。
そんな、ここまでの戦いを振り返ってみる。
1. チーム全体の戦い
ここまで、6月末から7月初めの5連勝をのぞくと、そこまで大きな連勝が無いながら貯金がある一番の要因は、「3タテを一度も食らっていない」ことが挙げられるだろう。
セ・リーグで3タテを食らっていないのは、横浜のみ。
ここまで、3連戦となった24カード(中止の1日を挟んだオリックス戦を含む)中、初戦を勝ったカードは11カードと決して多くはないが、2戦目までに勝利を収めたカードは20カードと格段に多くなる。初戦●、2戦目△となった4/7~9の中日戦を含めると、実に24カード21カードで、2戦目までに3タテを食らう可能性を回避している(ちなみに、初戦・2戦目と連敗したのは、4/4・5の巨人戦、5/2・3の巨人戦、6/2・3のソフトバンク戦で、いずれも3戦目は勝利)。
前半戦は、ローテを大きく崩すケースはそこまで多くはなかったが、2戦目までに必ず勝利を挙げられるよう、投手継投をはじめとした選手起用で注意を払っている部分があるのかもしれない。
一方で、2連戦(中止により2試合となったカード含む)を追加した全29カードのうち、初戦に勝利したのは12カード(勝率.413)というのは、少し低い感もある。この数字を上げていくことが、後半戦、貯金を増加させるポイントの一つになるかもしれない。
なお、チームとしての雰囲気という点では、選手のコメントに、多少の活躍をしてもそれに満足しないところに、チームの今後に向けての上がり目を感じる。
毎回、「ファンの方の声援のおかげです」というコメントだけを繰り返すのは、多少変えた方がいいのではとは思うが(^^)、各選手のコメントには、各々クリアしたいと思っているレベルが年々高くなっていることを感じる。裏を返せば、並みの成績では、出場はおろか一軍に残ることも厳しくなってきた、チーム力のアップもあるのだろう。
以前も書いたが、数年前では考えられないくらい、筒香のコメントがチーム全体を見据えたものであることに驚きを感じるとともに、並々ならぬコメント力を持つ今永が、数年後、さらにどんなコメントを発するか楽しみでもある。
2. 打線
ここのところ、かなり「強力打線」の様相を呈してきた横浜打線だが、序盤戦は、レギュラー陣が総じて数字が上がってこなかった。
昨年の序盤戦は、筒香がほぼ一人で打線を引っ張っていた感があったが、今年はロペスが開幕から絶好調だったものの、昨年レギュラーを掴んだ桑原・倉本が低打率、そして、筒香はホームランが全く出ず。チーム打率も2割2分から3分台だった。
その潮目が変わったのは、5/4に、宮﨑が故障から復帰して、再び五番に座った試合からだろうか。この試合では、梶谷が再び三番から二番に戻る。そして、その後、定着する「八番・ピッチャー、九番・倉本」という打順が本格的にスタートした試合でもあった。
昨年も五番で勝負強い打撃を見せた宮﨑だったが、今年はそれに輪をかけて確実性が増加。打率.349は、ここまでリーグ1位。三振26はセ・リーグの規定打席に達している打者のなかで最少。三振率(三振÷打席数)も.093でリーグトップ。両リーグを見ても、内川の.080、中村晃の.091に次ぐ成績である。
宮﨑の強みは、何といってもバットの出を遅らせてファウルで粘ることができること。一方で、右方向へのヒットだけでなく、球種や状況によっては引っ張りもできる。
その打撃技術が最も集約されたのが、6/9の西武戦の9回表、ストッパーの増田から打った逆転弾だろう。右方向へのファウルで粘ったのち、甘く入ってきたストレートを、ものの見事に左中間スタンドへ叩き込んだ。
その後も、ロッテ戦での満塁ホームランや、阪神戦での5打数5安打など、その打撃技術を如何なく発揮している宮﨑。2014年、バント処理の場面で、ボールから目を切って山口からの送球を捕れず、二軍に落とされたときから3年。ここまでの打者になるとは思っていなかったが、入団1年目の時点で、体形に似合わず(?)、ボールへのコンタクト率の高さを見せていた打撃が、いよいよ開花したといっていいだろうか。
ただし、これまで、まだシーズンフルで出場した経験はないため、首脳陣が体調面に気を配っておく必要はあるだろう。
一方、シーズン当初、なかなかヒットが出なかった桑原、倉本も、4・5・6・7月と月を追うごとに徐々に打率を上げてきた。桑原の場合は、オープン戦の時から迷いが見られる打席が多かったが、巨人戦での初球のストレート決め打ち逆転満塁ホームランに象徴されるように、徐々に思い切りのいい打撃が戻ってきた印象。倉本の場合は、引っ張りの比重を多くしようとした序盤の打撃スタイルから再び昨年のようなセンターから左方向への打球を心がける打撃に戻したことが復調の要因のように見える。
なお、今後に向けてのポイントは、やはり筒香の打撃のフィーリングの復調具合。そして、シーズン中、たびたび見られる、ラミレス監督の打順変更が功を奏するかだろう。
また、レギュラー陣が故障した際のバックアップの選手がどれだけ打てるかも、シーズン終盤になってくると鍵を握るかもしれない。
3. 投手陣
徐々に「型」が整ってきた打線に比べ、投手陣は、先発、ブルペン陣ともに、なかなか「型」を作れなかった前半戦となった。
まずは先発陣。
シーズン前の構想は、昨年の実績のある、石田・今永・井納に加え、新加入のクライン・ウィーランド・濵口の6人で、ローテをまわす構想だった。
しかし、石田が故障で離脱。クラインも不安定な投球が続き二軍へ。さらに、安定した投球を続けていたウィーランドも、右肘周辺の張りで6月に離脱。代わりに、久保・熊原・平良といったところがローテに入った。
久保・熊原は、勝ち運に恵まれ勝利こそ挙げたが、内容的には、ほぼクオリティスタート(6回・自責点3)をクリアできておらず。新加入の平良もプロ入り初勝利こそ挙げたものの、その後の登板では打ち込まれた(個人的には、中継ぎ向きの投手だと思っている)。
実績のある今永・井納も、期待通りとまではいかないピッチングが続くなか、前半戦の先発投手陣を救ったのは、やはり濵口だろう。
正直、昨年入団が決まった時は、期待より不安の方が大きかった。ストレートは速いがコントロールが悪い左腕。しかも、得意球であるチェンジアップは、見極められるとボールになる確率が高い球。鳴り物入りで入った先発左腕が、制球難解消のため、フォームチェンジした結果、中継ぎのポジションでなんとか投げられるようになるも、入団当初の期待とはかなりかけ離れた結果に……ということも想像した。
しかし、いざシーズンが始まると、コントロールの悪さは予想通りだったものの、その荒れ球ぶりがプラスに働いたか、ピンチを作るも三振で切り抜けるというピッチングを見せる。ここまで、6勝4敗、防御率3.27は、ルーキーとしては90点以上の成績といってもいいだろう。なお、与四球45はリーグトップ。一方で奪三振率10.05は、規定投球回到達投手のなかで1位のメッセンジャー9.35をも上回る数字である。
ただし、その濵口も前半戦最後の登板で、故障により途中降板。後半戦も、ラミレス監督のやりくり力、そして、二軍からの投手の戦力輩出力が問われる。
一方、昨年は、須田(防御率2.68)・田中(同2.45)・三上(同2.61)・山﨑康(同3.59)の4人で支えたといっていいブルペン陣も、今年は、その整備に苦労した。
パットン-三上-山﨑康の並びで始まった勝ちパターン継投は、山﨑康の不振もあり、山﨑康-三上-パットンの並びに。これで落ち着くかと思いきや、今度はパットンが打ち込まれる場面が続き、再びパットン-三上-山﨑康の並びに。
山﨑はその後、投球の安定を取り戻すが、間をつなぐ三上が、今年はコントロールが相当にアバウトな状態。さらに、パットンも決め球となる変化球を持たないこともあってか、打たれるケースも目立ち、身内の不幸があったということで、一度、二軍落ち。
さらに、昨年は場面を問わず、チームを救う投球を見せてくれた須田が、開幕から苦しみ、現在は二軍。今年から本格的にブルペンにまわった砂田(防御率3.03)の存在は大きかったが、それでも、盤石な投手陣で逃げ切るというよりも、打線の大量点や終盤の逆転劇で試合をものにしていった印象が強い。
そうしたなかで、6月中旬以降、要所でキラリと光る活躍を見せてくれたのが、加賀だった。正直、ここ数年は外国人打者へのワンポイントとしての役割に甘んじていたが、今年は、以前はいいように打たれていた左打者への被打率が大きく下がった(ここまで対右打者.318、左打者.107)。スライダーの曲がりの改善だったり、チェンジアップ(シンカー?)系のボールの使い方の変化による結果かもしれないが、さきの阪神戦で伊藤隼を見逃し三振にとった場面は、今季の加賀を象徴するシーンだった。
とはいえ、防御率1.50の山﨑康をのぞくと、三上(防御率4.36)・パットン(同4.22)・田中(同3.99)・須田(同9.00)というブルペン陣は、勝ちパターンの投手リレーが確立している広島・阪神、さらには中日と比べて、かなり脆弱である。
代わりの投手として期待のかかる平田も、相変わらずスライダーを平気でど真ん中に投げたりするのを見ると、競った場面での登板は怖い。今季に関しては、パットンの復調、さらには須田の復活、また可能性は高いとはいえないが、今季初登板となる楽天戦では、結構まとまりのあるピッチングを見せていた国吉の再台頭あたりを期待したい。
4. ラミレス監督の選手起用
監督2年目を迎え、「八番・ピッチャー」「三番・筒香」など、独自の考えに基づく選手起用を見せているラミレス監督。
自身の「色」を出す傾向の強い監督にも見えるが、その一方で、ある程度の期間、結果が出ないと、その考えをガラッと変える柔軟性も併せ持っているところが特徴と言えるだろう。
あれだけこだわっていた「二番・梶谷」も、梶谷の三振数の多さ(セ・リーグトップの93)を考え、7月初めからは梶谷を七番にし、二番に石川か田中を起用する打順に変えた。
さきの、継投リレーのたびたびの変更も、監督によっては、なかなか決断できなかったりすることでもある。
昨シーズンオフのインタビュー記事などでは、選手の球場別成績なども参考にして、起用をしているとのこと。こうした選手起用は、かなりの部分、「直感」というよりも、種々のデータから考えての「確率」によるものかもしれない。
一方、前半戦、ラミレス監督の考えが大きく表れたのが、不振の桑原と倉本を、スタメンから外さなかったこと。
打率を考えると、スタメンから外されてもおかしくなかった2人。しかし、ラミレス監督は、昨年、シーズンを通した活躍でレギュラーを獲得した両選手を、ここでスタメンから外すことは得策ではないと判断したのだろう。逆に言えば、それぐらい「レギュラー」というのは重いもの……。その考えは、五番に復帰後、ずっと活躍を見せていた宮﨑を、まだレギュラーとしては認めてない(7月に入った現在は、考えが変わっているかもしれないが)ととれるコメントを残したことにも表れている。
一方で、そうした各選手へのコメントは、決して、選手のプライドを傷つけるようなものではなく、そこには、選手の現状の状況への冷静な認識、また修正をしてほしい部分への具体的な指摘が垣間見られる。
そうしたことを総合していくと、ラミレス監督の考えを読み解くポイントは、「確率と序列とケア」ではないかと思っている。
5. 後半戦に向けて
後半戦のポイントに向けて、ある程度細かく書こうとも思っていたが、分量も多くなってきたため、今回は、下記の3つ挙げるにとどめる。
個人的に挙げたいポイントは、
「対阪神戦」
「セットアッパーの安定」
「筒香の打点増」
の3つである。
その他、石川の復調具合によっては、セカンドのバックアップというところもポイントに挙げたい。
いずれにしても、明日からの後半戦、横浜ファンは、また新たな景色が見えるシーズンを味わうことになるだろう。



























