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2017シーズン、3分の1終了。横浜DeNAへの不満と期待。

先週末で、ほぼ3分の1が終わったプロ野球。今週からは交流戦がスタートする。

横浜DeNAのここまでの戦いは、48試合で22勝24敗2分け。開幕から勝ちと負けを繰り返している印象で、連勝・連敗の多い他球団に比べ、一番、上下動の少ない戦いをしているといっていいだろう(ここまで借金4から勝率5割の間を行ったり来たりしている)。

なお、ラミレス監督になって2年目ということで、采配の「色」も昨年に比べて、濃いものとなってきている。
そんなラミレス監督の采配含め、ここまでの戦いで気になる部分と、今後に向けて期待することを、それぞれ3点ばかり書いていきたい。


1. 「八番・ピッチャー」の意味

ここまでのラミレス監督の采配のなかで、一番、色が出ている「作戦」といっていいだろう。
故障していた宮﨑がスタメンに復帰し、再び「二番・梶谷、三番・ロペス」というオーダーになった5月4日から3週間半、すべて「八番・ピッチャー、九番・倉本」のスタメン(その前に一度、4月14日にも「八番・ウィーランド」の策をとっているが)。
当初は、バッティングのいいウィーランドを八番に、打率2割でバッターとしての貢献度が低い倉本を九番に、という限定の策かと思ったが、その後も打順は変わらず、ここまで48試合中22試合が「八番・投手」である。
ラミレス監督いわく、打線のつながりを考えての並びとのこと。九番を倉本にすることで、九番にリードオフマンの働きをもたせる(クリーンアップに、より多くのランナーがいる状態でまわるという意味も?)などの意図があるようである。
しかし、八番を投手にすることで、打つ確率が圧倒的に低い選手が1打順前になる事態にもなる。そのことで、チャンス(あるいは得点機)をつぶす可能性への疑念は拭えない。
それがもっともわかりやすい形で出てしまったのが、初回に久保が5点取られた直後、1回裏に2点を取り、さらに七番・エリアンという場面で、エリアンが敬遠ぎみに歩かされ、結局「八番・久保」が打ち取られ2点止まりとなった試合(最終的には5-12で敗戦)。
通常、投手に代打を出せるのは、3まわり目以降。相手投手からすると、もし五・六番で始まる打順で2~1人ランナーを出したとしても、「八番・投手」で打ち取ればいいということになる。
現在の「九番・倉本、一番・桑原」の出塁率が低いということもあるが、やはり、上位打線の前に置くランナーを増やすプラスより、自ら打線のチャンスをつぶすマイナスの方が大きいのではないか。
交流戦でも、半分の9試合はピッチャーが打席に入る。ただでさえ打力に差があるパ・リーグとの戦いにおいて、「八番投手」策で自ら打線の可能性を低下させる必要はないと思うのだが。


2. 関根・乙坂の起用法

オープン戦では、それぞれ打率.476、.294と、成績を残した関根と乙坂。
しかし、レギュラー外野手は、筒香・梶谷・桑原の3人で確定。シーズンに入り、試合への出場、さらにはスタメンに名を連ねるには、代打で結果を出すことから始めるしかなかった。と、ここまでは、両選手にとっても想定内だっただろう。
ただ、シーズン序盤、代打の一番手として起用され続けたのは、ルーキーの佐野。確かに佐野もオープン戦で結果を残した選手ではあった。ただ、昨年までの一軍実績などを考えれば、先に起用されるべきは、関根と乙坂ではなかったか。さらに、4月14日のヤクルト戦で、梶谷が故障しスタメンを外れた試合で代わりにスタメン出場したのも、ここまで結果を残しているとは言えなかった佐野だった。
結局、関根・乙坂とも、試合にこそ出場しても打席に入る機会はかなり限られ、関根は開幕から5月4日までの30試合で13打席、乙坂は5月21日までの45試合で26打席しか無かった。両選手とも打率.167という数字だけ見れば二軍に落ちても仕方がない成績といえるが、出場がほぼ2試合に1回の割合。打席に立つのは、さらにその半分程度で出番も不規則、という状況で結果を出すのはかなり厳しかったのではないか。
現在は両選手とも二軍。シーズン前、打てばヒットという状況だった関根だが、現状、二軍でも打率.190。数少ない一軍での打席を見る限りでは、極端なオープンスタンスのせいか、外角いっぱいの145km以上のストレートへの対応、またそこから落ちる球への対応度を上げる必要を感じた。
それでも、この2選手(特に関根)は、持っているポテンシャルを考えれば、本来、球団がレギュラーとして育てていくべき選手だと思う。日本ハムなどは、ときに冷徹に思える選手の放出も含め、若手選手への切り替えを積極的に行う策を取っているが、筒香らのコンバートも含め、もう少し外野のレギュラー枠に、これからの選手に対しての“希望”の入る隙間を作る必要があるのではないか(これは、ラミレス監督の起用だけでなく、球団としての方針も問われるところだが)。
レギュラーは自分の力で勝ち取るもの(その意味では、今の桑原は、自らの力で勝ち取った選手という位置づけなのだろう)という方針もわかるが、あまりに先が見えない状況は、選手のモチベーションを大きく低減させるし、最終的に、球団にとってもマイナスの作用をもたらしかねない。


3. “エース“育成のビジョン

今季の開幕投手は石田だった。報道によれば、ラミレス監督は、2017年のエースとして石田を指名したとのこと。
確かに、昨年の成績を見ると、2年目にして規定投球回に達し、勝ち星こそ9勝にとどまったものの、防御率は3.12と安定した投球を見せた。
ただ、それを受けて“エース”としたのは、少し早計ではなかったかと思う。
故障歴もあることから、2016年は、多少余力がある状態での降板が多かった石田だが、シーズン終盤は調子を落とした。そうした状況を見ると、球筋がかなり安定していた2016年春先の投球を、2017年も引き続きキープできるかという部分では未知数と言えた。まずは、二・三番手の位置でもいいので、2017年も1年を通してローテを守って初めて、本当の意味での先発投手となる段階の投手だと感じた。
また、タイプ的に、ボールの“軌道”で勝負するピッチャーで、ボールの“力”で勝負する投手でないことも、“エース”という存在とは少し違うのではないかと思う理由である。
もし、今後、エースとしての役割を求めるのならば、試合後のコメント、そして投げているボールの“強さ”から、今永の方が適任のように思う。
今永は今永で、2016年、投手としてのポテンシャルは見せたが、途中、二軍落ちをするなど、シーズン通してのスタミナについては、まだまだという感もある。2017年も、ここまで期待に応え得る成績を残しているとは言えないが、それでも、将来の横浜投手陣の柱に成り得る投手だと思う。
思えば、先日、「三浦大輔のいた25年」でも触れたが、各球団が「この投手なら勝つ」という投手を輩出するなか、横浜は長年、「この投手が登板したときは負けない」といえるほどの確固たるエースを生み出すことができていない。それが、ここ5年ぐらいというのならまだしも、この30年を見ても、遠藤、そして好調時の野村・三浦ぐらいしかいない。
今後、常にAクラスに入るようなチーム作りを目指すのであれば、リーグで5本の指に入るような投手の存在は必須。
監督の言葉だけでなく、球団の方針として、今ドラフト以降に獲得する投手の選択も含め、意図的に“エース”を作り出していく取り組みが求められるのではないか。


4. 新たな“球団像”、そして“球場像”


横浜DeNAとなって、昨年までの4年間で、球団のイメージはガラリと変わった。
厳しい言い方をすれば“地元の人たちに関心を持たれていない球団”から、“自分たちの地域の球団だと自信を持って言える球団”へ。
福岡ダイエー(ソフトバンク)、千葉ロッテ、北海道日本ハム、東北楽天など、パ・リーグのチームが作ってきた地元重視と新たなファン層の獲得という流れ。その後、セ・リーグでも、広島が、新スタジアムの建設をはじめ、“ブーム”といってもいいほどのうねりを生み出した。そして、横浜DeNA……。
それこそ横浜大洋時代からの30数年は、都市球団という存在に甘えすぎていたとも言える。成績面でも、球団としての魅力という意味でも、これ以上底があるのかと思いたくなるほどのTBS時代。2011年の観客動員数は15,308人にまで落ちた。しかし、その5年後の2016年、観客動員数は26,933人、球場稼働率は93%までになった。
迎えた2017年。2020年の完成をめざし、座席数増を中心とした横浜スタジアムの大幅改修が発表された。
これまでの4年間の成功に満足せず、さらに中長期的なプランをもった球団経営の姿勢には、大きな期待感がある。キュレーションサイトでの失態を犯した親会社の動向を注視していく必要はあるが、「巨人戦が減ったら困る…」という他球団頼みの球団幹部のコメントにほとほと情けなさを感じた時代から、新たな球団像、球場像を作る旗手的な存在になり得るまでに変わったことには、感慨深さを感じる。
今後、場合によっては、“野球”という枠を飛び越えた取り組みも進めていくのかもしれないが、まずは、引き続き、“野球”の面白さ・素晴らしさを多くの人に知ってもらえる存在としての取り組みを、球団に期待したい。


5. 新たな“指導者像”


前記で、いくつか、ラミレス監督の采配・起用に疑問を呈したが、総体的に、その采配に大きな疑問を抱いているわけではない。むしろ、信頼感の方が強い。
その大きな理由は、試合中でも、試合後のコメントでも、落ち着いた精神状態に見える、その表情。
もちろん、前任の中畑監督の喜怒哀楽を前面に出す監督っぷりも、個人的には面白かったが、ラミレス監督の、ときに「笑み」をたたえるその佇まいは、ともするとその表情でマイナスのプレッシャーを選手に与えてしまうタイプの指揮官とはまったく対局に位置する。
一方で、その作戦や起用、また試合後のコメントなどを見ていると、非常にロジカルな考えを持っているようにも思える。
昨年末、Number Webに掲載されていたインタビューでは、そのときどきのチーム状態・采配や起用などへの質問について、きちんと系統立てた回答をしていたのが印象的だった。さらには「失敗だったかもしれない」と、ときに自身の采配ミスを認める発言が見られたことも印象に残った。シーズンに入っても、「二番・梶谷」、さきの「八番・投手」へのこだわりを見せる一方、リリーフ陣の度々の配置転換など、そのときのチーム・選手の状況に応じた策を講じようという姿勢も見える。
「柔軟さ」と「ロジカル」。この両方をいかに、バランスよく使い、チームの勝ちにつなげていくか。
今後、さらなる「見ている側が意表を突かれるような」作戦・起用をする可能性もあり、“新たな”指導者像を見せてくれる監督として、今後も注視していきたい。


6. 優勝


シンプルな2文字だが、2017シーズン、横浜DeNAは、十分、これを狙える位置にいる。
時期によって、好調なチームが連勝を伸ばし、貯金をどんどん増やしていくと、かなり離されたという気にもなる。
ただ、現在のセ・リーグには突出した力を持つチームはいない。投打とも厚い選手層を誇るように見える広島だが、ブルペン陣はまだ盤石とは言えない。一時期好調だった阪神も、若手野手の経験の無さがポツポツと顔をのぞかせている。巨人も、例年になく得点力が低い。一方で、ヤクルト・中日にも、今後、上位をうかがえる可能性があるだろう。
そうしたなか、一進一退の戦いを続けているDeNA。上位から引き離されない条件の一つである「大きな連敗をしない」ということについては、ここまで「3タテを食らっていない」という部分でクリアできている。
「そろそろ大きな連勝を」と言えるほどには、まだチームの陣容がしっかりしているとは言えないが、引き続き、5割を大きく割り込むことのないよう(できれば貯金もほしいが)粘り強く戦っていけば、そのあとに「優勝」という2文字を勝ち取ることもできると思う。

なお、そのペナントの行方を占う意味で、一つのポイントとなる交流戦だが、例年、横浜は苦労している。
その理由は一つだけではないだろうが、試合を見ていると、日頃対戦している選手でないからか、相手野手に対し「これだけは投げてはいけない」というコース(球種)に投げたり、また「この選手で切っておかない」といけないという選手に打たれたりと、相手チームの選手・また戦い方の特性を把握できていないと思われる場面が目立つ。
井納が、西武打線にホームランを打たれまくった(計5本)2015年の対西武戦(横浜スタジアム)などは、その象徴的な試合だった。
今年でいくと、長打力のある選手も多いソフトバンクとの浜スタでの試合などは、球場が狭いということもあり、バッテリーがかなり洞察力を高めておかなければいけないカードである。
例年、パ・リーグが圧倒している交流戦だが、少し前と比べると、各球団の“エース級”と呼ばれる投手が少なくなった感がある(則本・菊池・千賀は、“別格”の雰囲気を醸し出しているが)。チームとして、相手チーム(選手)の強いところ、弱いところを、いち早く察知し、試合を優位に進めていけば、交流戦勝ち越しも見えてくるだろう。少なくとも、勝率5割には収めたいところではある。
6月18日までの3週間。今後のペナントにとっても、自チームのチーム力をはかる意味でも、重要な18試合となる。


by momiageyokohama | 2017-05-30 03:33 | 横浜ベイスターズ | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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