人気ブログランキング | 話題のタグを見る

野球の未来

今年もあとわずか。

2016年は、野球界にとって、もし今後、野球が多くの人の支持を得られるスポーツであり続けるのであれば、エポックメイキングになる年になったと言える年かもしれない。

投打とも日本球界トップクラスのレベルに到達した、大谷翔平の「二刀流」。ファンの“熱”というものを改めて感じさせられた、広島カープ25年ぶりの優勝。そして、その投げ様、生き様が、人々の心を動かした、黒田博樹の“引退”

北海道日本ハム広島の対戦となった日本シリーズでは、関東でも、第1戦から第5戦、15~18%台の視聴率を記録。決着のついた第6戦は土曜日ということもあり、25.1%の視聴率を記録した。
関東地区だと、2015年(ソフトバンクvsヤクルト)は7~12%台、2014年(ソフトバンクvs阪神)は8~11%台の視聴率だったことを考えると、昔ほどではないにせよ、ファンの絶対数はいまだ多い巨人が絡まずに、これだけの視聴率をとれたことは、プロ野球にとって非常に大きい。

今シリーズは、試合内容が拮抗したこともあるが、魅力的な選手、また魅力的なチームであれば、「観たい」と思わせる力も強く、野球を見る習慣がふだん無い人も取り込めるということの証明となったのではないか(事実、自分のまわりで、いつもは野球を観ない人でも中継を観ていた人も結構多かった)。

ただし、来年以降も、この状況が続く保証はもちろんない。
黒田は今季限りで引退。優勝を果たしたことで、広島カープ“熱”がこのままの勢いで続くとも限らない。そして、大谷は、2017年が日本球界ラストイヤーとなる可能性が高い。
偶発的なスター選手やブームの出現に頼っただけでは、いつか、野球自体がファンにそっぽを向かれてしまうだろう。

野球人気の低下というのは、2000年以降ぐらいから、ずっと言われていることである。
その指標であると言われていた巨人戦の視聴率は、2003年に15%を割り、2006年には一桁に。
ここ数年は、巨人戦の地上波中継自体が圧倒的に少なくなり、野球人気を測る指標として用いられること自体がなくなった。

思えば、野球人気というのは、何に支えられていたものだったのだろうか。自身が生まれる前の状況は想像の範囲にとどまるが、現在の50代以上の人に「なぜ野球?」と聞かれたときに「スポーツと言えば野球だったから」「野球しかなかったから」と答える人の数は結構いると思う。
これに対し、少し意地悪い解釈をすると、「決して、野球自体の魅力があったからそれを選んだのではなく、野球しかなかったから、野球を選んだ(あるいは、見る、やるようになった)」という言い方もできるのではないか。
また、プロ野球の占める割合の多くが巨人であった時代も厳然としてあった。
長嶋・王選手の現役時代を知らない40代前半の自分ではあるが、「野球を語るにはまず巨人を語ることから」という時代に生まれ育った。
ただ、自身が偏屈なこともあり(^^)、「野球=巨人」という風潮には、強い違和感を感じていた。じゃあ、アンチ巨人かというと、そう単純なものではなく、アンチ巨人というカテゴライズも含め、巨人にこだわる風潮自体が好きでなかった。巨人かアンチ巨人かという議論が主なテーマになるのではなく、「野球全体がテーマになる」ような時代が来てほしいと思っていた(ただし、各チームの四番打者を集めまくった、長嶋監督(第二次)時代の巨人は、“プロ野球の質を低下させる”という意味で、かなり嫌いだったが)。

その意味では、新庄が日本ハムで優勝(しかも、その年に現役引退)した2006年あたりから風向きが変わったように思う。
「巨人に頼らなくていいプロ野球」というものの出現は、そのスタートから70年を経て、プロ野球がようやく健全化の道を歩み始めたことの表れといっていいかもしれない。
ただ一方で、巨人という、ある種の頼るべき柱の効果が薄くなったことで、別の柱を立てる必要も当然求められていった。
ダルビッシュ、田中将大など、野球ファン以外にも知られる選手が出現し、今まで以上に地元密着度を高める球団も出てくる一方で、“野球”界全体としての、同じ方向を向いた野球人気向上の取り組みが実っているとは、まだ言い難い。

Jリーグの設立から23年経ったサッカーだけでなく、各競技、世界で活躍する日本人選手の数は増加しており、プレーするにせよ、観るにせよ、スポーツの選択肢は相当に増えている。
さらに、これは個人的な印象だが、人々の生活は年々性急になっており、趣味的なものに、ゆっくりと時間をかける余裕がなくなっている感もある。
一方で、情報の共有という部分では、はじめはマイナーなものでも、面白い、また魅力のあるものであれば、一気に拡散していく環境が作られつつある。
そうした状況のなかで、野球が、どういう存在であることができるのか。

話は少しそれるが、自分がほぼ欠かさず見ている「水曜日のダウンタウン」(TBS)というバラエティ番組がある。
この番組で「にわかカープ女子山ほどいる説」という企画をやっていた。
もちろん、詳しすぎるほどの広島ファンの女性もたくさんいたが、広島の代表的な選手を聞かれても答えられなかったり、「野球は何人でやるスポーツ?」と聞かれ、「11人?」など答えるなど、野球自体を全く知らない人も紹介されていた(なお「野球は何人?」という問いについては、指名打者も入れれば10人になるし、継投のことも考えると「11~13人」といった答えもあながち間違いでないのかもしれないが…)。
ただ、これからのプロ野球は、「野球って11人?」という人たちに、野球の魅力を知ってもらうためにどうすればいいかを考える時代に入っていると思う。
よく議論される「本当のファンか、にわかファンか」ということも、野球を多くの人に知ってもらうという観点では、あまり意味を持たない。
チームのファン単位においても、「誰でも最初は、にわかファン」という、当たり前すぎることを忘れて、既存のファンが新しいファンを拒否しているようでは、新たなファンはそのうち離れていくだろう(新たにファンになった人のマナーの問題ということも言われるが、マナーについては、必ずしもファン歴の長短とは比例しなかったりもする)。

前述したことと矛盾するかもしれないが、自分は、野球は「野球しかなかったから」だけではなく、「野球が魅力的なスポーツだから」これだけ広まったと思っている。
それゆえ、生活において数ある選択肢があるなかでも、野球が多くの人に興味を持ってもらえるスポーツであってほしい。
そのために、2つ、こうなってほしいなと思うことがあるので、それを書いて、今年の終わりとしたい。


1. 地上波での野球番組の放送

40代前半の自分にとって、野球に興味を持つうえで、子ども時代から学生時代にかけて観た「プロ野球ニュース」(フジテレビ・地上波)の存在は非常に大きかった。
巨人が半分以上を占めていた当時のスポーツニュースのなかで、野球全般を取り上げてくれるこの番組は貴重な情報源だった。
同時に、野球を定期的にみる「習慣」をつけてくれた番組といってもいいかもしれない。
今、地上波では、こうした番組にあたる番組は無い(CSでの「プロ野球ニュース」は放送されているが)。
なお、サッカーだと、趣は少し違うが、テレビ朝日で放送している「やべっちF.C」(毎週日曜深夜0時10分~)がある。
お笑いタレントがやっているスポーツバラエティ、とみる向きもあるかもしれないが、その内容は意外とスポーツの色が濃い。地上波中継がほぼ無いJリーグの情報を知る貴重な情報源であり、海外サッカー情報、さらに、代表情報、ユース情報、はたまたフットサル情報まで取り上げ、サッカーの全般的な情報を知るにもバランスのとれた番組である(テレ朝お得意の「絶対負けられない」的報道は、またか…とは思うが)。また、試合直後、自身のプレーについて本人に解説してもらう「解説するっち」という企画などは、野球でもやってみたら面白いのにと思う。
現在は、そのことに興味があれば、いろいろなツールで情報をとれる時代ではあるが、今はファンではないもののファンになるかもしれないライトな層に興味をもってもらうためにも、また、意外と野球全体のカテゴリーを扱った番組が無い(さきのCS「プロ野球ニュース」も、近年はメジャー情報などはほとんど無し)ことを考えても、試合に限らず、野球を観る「習慣」を作るという意味で、地上波の定期的な野球専門番組は、必要だと思われる。


2. 叱責しかできない指導者の意識の変化

時折、公園やグラウンドに行くと、隣で少年野球をやっていたりする。
野球をやってくれる子どもがいることに嬉しさを感じる一方、「なんで捕れないんだ!」「さっき、言っただろ!」と叱責するだけの監督(あるいはコーチ)の声を聞くと、腹が立ってくる。思わず、「(あんたの)教え方が悪いから捕れないんだろ」と言いたくなってくる。
同じく、バッティングセンターで、時折、子どもをどやしつけているような親を見ても、そうしたことを言いたくなる。
野球は、難しいスポーツである。
センスがある子はすぐにできるかもしれないが、そうそう簡単にできないことも多い。指導者のするべきことは、叱責によって、「野球をする楽しさより、失敗することへの怖さを植え付ける」ことではなく、「どうしたらできるか」を教えることではないか。
もちろん、野球は、「教えること」も難しいスポーツである。今まで一般的に正解だと思われていた定説が、プロなどに聞くと違ったりすることも多い(例えば、外野手の両手キャッチなど)。
ただ、どうしたら子どもたちが上手くなるかを考えることは、教える側の勉強にもなると思う。すべての子どもに画一的な指導法をすればいいものではない、ということが当たり前の時代において、正解を見つけるのは簡単ではないかもしれないが、叱責ばかりの指導には、子どもの自己肯定感を低くしたり、子どもを野球嫌いにする以外、何の意味もない。
子どもに限らず、学生も含め、野球を教える人たちには、「単なる叱責だけではない形で、野球をうまくさせる」という思いをもって、指導をしてほしい。

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

2016年も、拙ブログを見ていただき、ありがとうございました。
後半はちょっと更新頻度が落ちてしまいましたが、ブログを始めてから13年目になる来年も、「これは書きたい!」と思う記事を、一つ一つ書いていきたいと思います。
そして、でき得れば、日々の忙しいなか、見ていただいた方に「読んでよかったな」と思える記事を書けるように。
2017年も、どうぞよろしくお願い致します。


by momiageyokohama | 2016-12-31 16:03 | 野球(全般) | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30