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12.3 後楽園ホールの現実 - 尾川堅一 vs 内藤律樹Ⅱ -

昨年、突如として終わった激戦の、パートⅡ。
また、いつか実現するだろうとは思っていたが、1年後という短いスパンでの再戦に心が躍った。

が、当日は東京におらず……。ということで、前回のように現地で観戦することはできず、テレビ放送まで情報を遮断。スポーツニュースサイト含め、ボクシング情報を完全にシャットダウン。Twitterもほぼ見ず、現地観戦に行った友達にも結果を伝えないよう念押しし(^^)、試合6日後に、ようやく試合映像を見た。

序盤は拮抗。しかし、尾川の前へ出るプレッシャーが強い。10対10が許される採点ならば、どちらとも言えないラウンドが続くも、現在の10対9をどちらかにつける採点システムで考えると、尾川がやや優勢と思えるラウンドが続く。
5Rを終わっての公式の採点は、三者とも尾川の1ポイントリードだったが、自分の採点は、尾川の3ポイントリードだった。
中盤以降も、互いにフェイントを含んだ高いレベルでの攻防が続くが、挑戦者という立場もあって明確な優勢点を見せなければいけないにもかかわらず、内藤が効果的な攻め手を見つけられない。終盤は、尾川のパンチが内藤をとらえる場面も間々あり、そのまま、尾川攻勢の印象で、試合終了のゴングを聞くこととなった。
採点は、三者とも尾川の2ポイントリードで、3-0での尾川勝利。解説を務めていた、飯田覚士、セレス小林は、ともに「もう少しポイントが離れていると思った」と言っていたので、おそらく尾川の4ポイントリードぐらいを考えていたのではないか(全ラウンド、どちらかに10対9を振り分けると、計算上、ポイント差は必然的に偶数となり、奇数差は無い)。
自分の採点は、尾川の6ポイントリード。このポイント差ほどの差が両者にあったわけではないが、攻勢点というところに重きをおくと、どうしても、こうした点数をつけざるを得なかった。
正直、試合前、多くのボクシングファンが予想していたように、今回は内藤がテクニックで上回って勝つのではと思っていた。しかし、試合全般通じて内藤が行けない、裏を返せば、ディフェンスも含め、尾川が現時点では内藤を上回っていることを見せつけた試合となった。

その後、改めて映像を見直した。最初に観た時の高揚した気持ちから少し落ち着いた心境で観たことで、初回の印象とは違った部分もあった。
以下、全ラウンドの簡単な印象を。

1R
尾川、前回の試合と同じく、ゴング後すぐの先制攻撃。内藤も、右ジャブだけでなく、左も出して応戦。両者、高いレベルの攻防を見せるも、尾川の右が内藤を顔面をとらえているように見える場面も。
ポイント、尾川。

2R
お互い、フェイントのかけ合い。内藤の右リードパンチが少なめ。尾川のプレッシャーが、それを出させないのか。クリーンヒットこそ少ないものの、尾川の踏み込みの速さも目立つ。
ポイント、尾川。

3R
尾川、絶えず足が動いている。内藤、右リードパンチを出すも、その効果は薄い。ジャブ未満といった強さのパンチでは、尾川を惑わすには至らないか。前のラウンドに続き、当たったパンチは少ないものの、尾川が押し込んでいる印象。
ポイント、尾川。

4R
尾川、1Rに続き、ラウンド初めに先制攻撃。その後、内藤が攻めかかるシーンも徐々に増えていくが、尾川のいいパンチもヒット。ラウンド途中、バッティング後、「クリーンな戦いをしよう」という意味か、お互いの拳をタッチし合うシーン。フェアな戦いと称えることもできるが、一瞬流れた緩やかな空気に、「果たして、(挑戦者である)内藤は、こうした余裕のある雰囲気の下での戦いでいいのか」という思いも。
ポイント、尾川。

5R
内藤、近距離での左ストレートが当たる。一方、尾川は、少しペースを抑えた印象。ここから、内藤が攻め手を見つけられるか。
ポイント、内藤。

6R
傍目には静かな攻防に見えるが、視線も含め、お互いフェイントをかけ合っている戦いか。途中、頭が当たる場面も。前のラウンドに続き、尾川の攻撃するシーンが少なくなったこともあり、どちらとも言えないラウンド。
ポイント、内藤。

7R
足もとの動きを見ると、尾川、少し疲れているか?内藤、攻勢のシーンが増えるが、たたみかけるまでには至らない。ラウンド後半は、内藤も攻撃するシーンが減り、前の手となる右手も下がる。
ポイント、内藤。

8R
尾川、ボディ攻撃が増える。前半に比べて手数は減ったものの、再び前に出てプレッシャーをかける場面が増えてくる。
ポイント、尾川。

9R
尾川、見た目にもはっきりわかるいいパンチが何発か当たる。途中、尾川が内藤のパンチを警戒してか、後ずさりする場面もあったが、内藤も、新たな攻め手を見つけることはできず。
ポイント、尾川。

10R
前のラウンドに続き、尾川のパンチが何発かクリーンヒット(ダメージのほどはわからないが)。内藤も打ち合っていくが、効果的なパンチは当たらず。判定では尾川優勢と思われるなか、試合終了のゴング。
ポイント、尾川。

ポイントこそ、尾川の4点リードと、最初に観たときから2ポイント変わったが、改めて観ても、試合全般を通じて、尾川の前に出ようとするプレッシャー、そして、今回はディフェンスの堅さも目立った試合となった。
内藤も、映像ではわからないフェイントなども含め、色々な策、そしてパンチを繰り出していたと思われるが、最後まで、「尾川にクリーンヒットさせるイメージがわかなかった」というのが、率直な印象。
試合前の予想とは異なり、「現時点では、尾川が上」ということを思わされた試合となった。
内藤から王座を奪って以降の二度の防衛戦では粗さが見えた尾川だが、今回の内藤戦では、最初の構えの状態でのディフェンスが非常に堅いと感じた。
内藤のリードパンチが、相手に当てるというより相手のグローブに当てて距離を測ることが狙いのパンチだったということもあるが、両腕ともやや体から離して相手に対峙する尾川の構えは、相手からすると攻め手を見つけるのが難しいように見えた。
攻略するとすれば、サイドに動いてのフック系のパンチかと思うが、試合中、内藤がそうした攻撃をすることはほとんどなかった。

一歩の内藤。リードパンチを打つときに体が開いていたこともあり、そのリードで尾川の顔面をとらえるまでには至らず。他の相手であれば、右リードでタイミングを測ったうえでの速い左ストレートが顔面をとらえられるのだが、尾川のプレッシャーもあり、左もなかなか出せず。さらに、距離が縮まりインファイト戦になると、密着戦での攻防は避けたいという思いからか、クリンチで一旦、攻防を中断するため、また攻撃が一からやり直しとなる。
今後、さらに高いレベルで勝っていくには、ミドルレンジにおいても、接近戦においても、課題を突きつけられた試合となった。

試合後の勝利者インタビュー。試合前の心境を聞かれた尾川は、「泣きそうですよ~」と言った。同じく試合後のコメントでは、「負けることも覚悟していた」との言葉も。試合前、ボクシング誌での強気な受け答えとは裏腹に、かなりの危機感を持って、この一戦に臨んだことが想像できる。それが、もう一段階段を上がった、新しい尾川を生んだのかもしれない。
当然、次は“世界”となっていくが、その戦いの場となるスーパー・フェザー級は、内山高志、三浦隆司が世界チャンピオンとして君臨していた時代から一転。全階級通じてもトップクラスの選手となりつつあるロマチェンコがWBOチャンピオン、三浦・サリドとの激闘を制したバルガスがWBCチャンピオンと、挑戦自体が難しくなる階級となっていく可能性も(なお、WBAは、内山を破ったコラレスがスーパー王座で、フォルトゥナを破ったジェイソン・ソーサが正規王座。IBFチャンピオンは、22戦全勝(12KO)のホセ・ペドラサ)。
それでも、帝拳所属ということで、何度か組まれるであろう世界戦へのテストマッチを1つずつクリアすれば、頂も見えてくる。
「世界レベルにはまだ…」と見る向きもあるが、階級的にチャンピオンとしての価値が高いクラスでもあるがゆえ、その“道程”を見るだけでも、ボクシングファンとして高揚感を感じることはできるだろう。

そして、内藤。試合後のコメントでは、「はっきりとポイントを取られたとは思わないけど、自分が取れたとも思わない」との弁。
その敗戦の意味は初戦に比べてかなり重いが、この敗戦を、現在より上へ行く為に身につけるべきことがある(例えば、リードパンチの強化や、サイドからの攻撃)ことがわかったという意味で「貴重な経験」と考えられるかどうか。

デビューから12連続KOという華々しいスタートを飾るも、その後、4度の敗戦。7年半をかけて、先日、ようやく日本ライト王座を獲得した土屋修平は、「負けてからがボクシング」との一言を残したとのこと。
勝負所で敗戦を喫したボクサーの心情は、実際に体験した者でなければ分かり得ないかもしれない。
ただ、再び這い上がり、そして、さらにもう一段進化した”ボクサー内藤律樹”の姿を、自分は見たい。


by momiageyokohama | 2016-12-27 01:52 | ボクシング | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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