横浜DeNA 2016年2月末での現在地
2016年 03月 01日
今週からは、オープン戦も本格化します。
シーズンを前にしたこの時期は、ファン心理としても、いろいろな想像をめぐらせることができ、期待感でいっぱい……と言いたいところですが、正直、いち横浜ファンとして現状を見ると、「このままでは、かなり厳しい戦いが予想される」という思いを持っています。
キャンプを総括しての点数を聞かれたラミレス監督の答えは「60点」でした。
普通、こうした評価は、比較的高い点数をつける傾向がありますが、この「60点」という数字に、横浜DeNAの現状が表れているように思います。
ラミレス監督は、「やるべきことはまだたくさんある。何をすべきか分かったのが収穫」というコメントも残していますが、シーズンを戦い抜くのに際し、多くの足りない部分が浮き彫りになったと感じたともとれるでしょう。
正直なところ、挙げればキリがありませんが、2月末現在で、危惧される部分を5点ばかり挙げていきたいと思います。
1. ロマックの打撃
昨年まで2年間在籍したバルディリスに代わる外国人野手として獲得したロマック。
バルディリスのDeNAでの2年間を見ると、打率2割5分台、ホームラン15本前後、そして何より足に故障を抱えているせいか走力的にもかなり低かったので、新外国人獲得ということ自体は補強策としてアリだったと思います。
ただ、新外国人選手には、当然、バルディリス以上の活躍が求められるところ。また、サードという守備位置を考えると、守りも普通レベル以上の選手を獲りたいところでしたが…。
ロマックに関しては、メジャーでの実績はほとんど無いので、ここ数年間の3Aでの成績を見て獲得したと思われます(大体、打率.280、ホームラン20本台という成績)。
獲得が決まってから映像を見たのですが、まず、どの映像でも同じラインでしかスイングしていないことが気になりました。コースに合わせた打撃をできるようには見えず、ヒッティングゾーンも狭い印象。コントロールのよい投手にかかると、苦手なコースを攻められ続け、凡退を繰り返す可能性を多分に感じました(実際、三振率もかなり高いとのこと)。
また、サード守備に関しては、正直「悪い」と言わざるを得ない数字が残っており(マイナー通算では守備率.929という数字も)、この部分では、バルディリスを大きく下回ります(練習試合では、外野での起用が多いようなので、もしかしたら、シーズンではサードでの起用自体が無い可能性もありますが)。
こうした映像や数字を見る限り、個人的には、もしかしたらシーズンでレギュラーとして出続けることすら難しいかもしれないという危惧を持っています。
唯一、光明を見出すとしたら、日本で実績を残したラミレス監督が、日本で成功するための打撃でのアドバイスができるか、というところでしょうか。
先日、ここ5年間の外国人選手獲得力に関する記事を書きましたが、1993年にローズ・ブラッグスを獲得して以降の20数年間、横浜が直接、外国から獲得した外国人野手で「活躍した」と言える選手は、タイロン・ウッズとモーガンだけです。
ファンとしては、このロマックに関する予想が外れてほしいとは思いますが、いずれにしても、「外国人獲得力向上」は、チーム強化に際して、今後も最重要課題だと言えるでしょう。
2. センターラインの脆弱さ
昨年から言われている、キャッチャーの固定化に関しては、まだまだ時間がかかりそうです。
高城、黒羽根、嶺井、戸柱…。リード、ワンバウンドの対応、盗塁阻止(昨年のチームトータルでの阻止率は.250でリーグ最下位)、打撃、いずれにおいても、もう2ランクアップ以上が求められるでしょう。キャンプでは、ラミレス監督が配球のサインを指示することが話題になりましたが、実は、権藤監督時代の谷繁も、ほぼ権藤監督が出していたそうです(谷繁の方で、それを変えることもあったようですが)。
実際、横浜の捕手陣を見ると、内角、緩い球の使い方など、プロの眼から見て物足りないものが、かなりあるのでしょう。ときに、ピッチャーのよさを殺すようなリード(以前、高崎に対して外角ばかりのリードをしていることに対する疑問を、解説者が呈していたことがあった)になってしまっている現状から、早く脱皮してもらいたいところです。
さらに、ここ数年の横浜の懸案事項というと、セカンド・ショートの未固定化。
昨年、セカンド、ショートを守った選手は、それぞれ8人と6人。
そのなかで、ほぼセカンドのレギュラーとして出ている石川も、捕ってから投げるまでワンテンポかかってしまう守備にはいま一つ信頼がおけず、度々、外野コンバート案が出ることもあります。
そんな石川にもかかわらず、昨年後半に故障で離脱すると、その穴を感じざるを得ないほど、セカンドに窮しているというチームの現状。
宮崎はエラーこそ無かったものの、守備範囲的に物足りず(できれば、サードかファーストで起用したい選手)。久々に一軍で起用された内村も、楽天での好調時の打撃は戻っておらず、塁に出ないことには足も使えず。
一方のショートも、倉本が1年通して我慢強く起用されたものの、打撃では突破口が見えず。その倉本と争う白崎も、守りを考えると、本来的にはサードの選手。
また、昨年のキャンプで話題になった山下幸ですが、オープン戦終盤にはエラーを連発し、結局二軍での打率も2割5分に届かず。今季新入団の柴田も、守備での評価は高いものの、打撃はまだまだ未知数です。
現時点で、石川は故障の影響でまだ一軍に合流しておらず、さらには山崎憲が、怪我でほぼ今季絶望という状況(宮崎も故障で、一軍離脱)。
3月を迎えようという時点で、チームの要である二遊間の見通しが全く立っていないということは、チームの構造としても、かなり脆弱と言わざるを得ません。現状の選手層を考えると、どうしても「調子のいい選手を交互に使っていく」ということになる様相。
ただ、今後のことを考えると、「この選手を、ショート(セカンド)のレギュラーとして育てる」という覚悟をもって起用するという方針に切り替えるべきだと思います。
個人的には、ショート→倉本、セカンド→石川、柴田→ショート・セカンドの2番手だが、ゆくゆくはセカンドに、白崎→サードに専念(サードに来る外国人を追い抜かなければレギュラーは取れないという発破をかける意味で)という形がいいかとは思いますが。
なお、センターは、当初、梶谷がコンバート予定でしたが、脇腹痛で離脱。もし、開幕に間に合わないとなると、荒波か関根が一時的に守ることになるでしょうか。関根は、今後さらなる飛躍を遂げてしてほしい選手ではありますが、センターを守るにせよライトを守るにせよ、フォーム的にあまり強いボールが投げられなさそうな現在のスローイングを改善してほしいところです。
3. 打撃陣の弱さ
前述で挙げた要素と関連してきますが、現状を鑑みると、もし、梶谷・石川が開幕に間に合わない場合、想定される打線は下記のようになります。
1 (右) 荒 波
2 (中) 関 根
3 (一) ロペス
4 (左) 筒 香
5 (三) ロマック
6 (遊) 倉 本
7 (二) 柴 田 (飛雄馬)
8 (捕) 高 城 (戸柱・嶺井)
9 (投)
(※ロマックがライトを守る場合は、荒波・関根のどちらかに代わり、白崎がサードに入る形?)
目につくのは、6番以降の打線の弱さです。
倉本がもし、昨年の打率(.208)と同じようであれば、2割前後から1割台の打率の打者が4人並ぶことになります。いくら筒香が進化しているといっても、昨年と比べてもガクッと得点力が落ちるといっていいでしょう。
さらに、ロマックが全く打てないようだと、5番以降での得点の可能性がほぼ無いという、怖ろしい事態も起こりかねません(ロマックを見極める頃は、梶谷も復帰してくるでしょうが)。
おそらく、横浜ファンが期待しているのは、
1 (二) 石 川
2 (中) 梶 谷
3 (一) ロペス
4 (左) 筒 香
5 (三) ロマック
6 (右) 荒 波
7 (遊) 倉 本 (白 崎)
8 (捕) 高 城 (嶺 井)
9 (投)
のような打線でしょう。
ただ、石川・梶谷の怪我の治り具合が不透明。さらに、もし復帰したとしても、筒香も含めて、主力の故障という事態は想像し得るということを考えると、最初に挙げたようなオーダーも十分、想定しておくべきでしょう。
そうなると、得点力の弱さをカバーする「1点をとっていくための工夫」というものも、大きく求められることになると思います。
4. 終盤を任せられる投手の存在
早々と、開幕投手に指名された山口。「先発投手の陣容を見ると、人数的にはいるように見えなくもないものの、「エース」と言える存在が、今後を含めても見当たらない」という状況を変えるには、山口の指名はよかったかもしれません。技術的なことを言えば、頭部死球を何度となく与えている投手だけに、内角を狙わずとも内角の方向へ曲がっていくボールをどこまで使えるかが、復活のカギとなるように思います。
その他、井納、久保、砂田、モスコーソ、石田、三嶋、ルーキーの今永、そして三浦と、頭数的にはいる先発陣。
ただ、問題は、7回・8回を投げる投手です。
順調にいけば、8回は三上となるでしょうが、昨年、故障したこともあり、それに代わる投手も備えておく必要があります。また、エレラが故障で開幕には間に合わない可能性が大きいということで、できれば4人ぐらいは候補が欲しいところ。
経験のある投手でいうと、長田、田中あたりがいますが、長田は、西武時代の投球を見ても防御率3点台のピッチャーととらえておいた方がいいように思います。年齢的にも、セットアッパーとして計算するのはちょっと違うでしょう。田中は、昨年の序盤、覚醒したピッチングを見せてくれましたが、練習試合を見る限り、まだストレートのキレは戻っていない印象です。
そうなってくると、経験的には未知数であるものの、ボールの力的には、平田、そしてルーキーの熊原、そして萬谷といったところが、候補となってくるのではないでしょうか。
正直、それぞれ、終盤の大事な場面を任せられる投手になるには、大きな課題があります。平田はコントロール、熊原はフォームの大きさを突かれないための牽制の技術、萬谷は昨年落ちたストレートの球威を戻すこと、などなど…。
それでも、こうした投手たちを、首脳陣が「育てる」という信念を持って起用していかないと、今後もずっと、セットアッパー不在に悩む状況が続くことになるでしょう。
5. 細かい野球
最後に、「目に見えにくい」部分のことを。
ラミレス監督は、「凡事徹底」というスローガンに表れるように、豪快な野球というよりも「基本をしっかり行う」野球を目指しているとのことです。
これまでの横浜(大洋)の歴史を紐解いていくと、「理論派」と言われる指導者を、ことごとく葬り去ってきました。古葉監督、森監督、尾花監督……。
一方で、攻撃のサインを出さない権藤監督のもとで優勝したことで、「横浜は、チームカラー的に、細かい野球は合わない」というのが定説になりつつあります。
しかし、98年の前後こそ、圧倒的な打撃力と高い内野守備力、そして絶対的なストッパーの存在で、勝ち星を重ねましたが、結局、それは長くは続きませんでした。
そして、指導者がコロコロと代わり、チームとして根っこのないまま、今日まで至っています。
正直な所、今回も、ラミレス監督の言う「細かい野球」がチームに浸透するかは、不安があります。
TVKの年始の横浜DeNAの番組を見ていた際、ゲスト出演していた黒羽根が、ラミレス監督の印象を聞かれて、「すごく細かい野球をする」と答えていましたが、その表情は、「細かくて勉強になる」というよりも「少し戸惑っている」という表情に見えました。
実際、実戦に入ってからも、ミスの目立つ試合が続いています。
ただ、前任の「細かい野球」を推奨しようとした監督とラミレス監督との違い…。それは「コミュニケーション」ではないかと思います。
報道を見る限り、ラミレス監督は、選手とコミュニケーションを積極的にとっているように見受けられます。
「オレの言っていることは正しいんだから、それを理解してくれなきゃ困る」という時代ではなくなっている今、こうしたコミュニケーションを、シーズンに入っても、さらにはチームが苦しい状況でも続けられるかが、シーズンを最後まで戦い抜けるかのカギになるように思います。
長々と書いてきましたが、正直、現状、セ・リーグの力を見ると、広島・ヤクルト・阪神・巨人が同じぐらい、少し下がって中日、さらに下がって横浜DeNAという状況だと思います。
「計算できる選手が少ない」「チームとしての軸がまだ無い」という点を考えると、現状の横浜は、勢いだけで「横浜優勝!」と夢想するチームではなく、「ここからいかに這い上がれるか」を見ていくチームではないでしょうか。
ちょっとやそっとの勝利で浮かれることなく、また「負け」という結果だけでチームの現在を論じることもなく、「這い上がるチームの過程」を見られることを期待して、横浜DeNAの2016年シーズン見ていきたいと思います。



























