「キャッチャーのリード」に感じた3つのポイント
2015年 06月 30日
しかし、先週末の阪神戦では、福留、ゴメスに連日、痛打を浴び、中継ぎ陣も阪神の攻撃を防ぎきれない形で連敗してしまいました(阪神も、度重なるバント失敗など、結構ミスもあったのですが)。
今週は、火・水と中日と那覇で2連戦。そして週末は、今度は浜スタでの対阪神3連戦です。
さて、今後、混戦セ・リーグのなかで、競り合う試合を取っていくにあたって大きなポイントとなる一つが、キャッチャーのリード。
そのリードに関して、最近感じたことを、3つばかり挙げたいと思います。
1. リードの偏り
日曜日の阪神戦。6回裏、2-3と、1点ビハインドのなか、小杉が作った1死一・二塁のピンチの場面で登板したのは、プロ初登板となるルーキー・福地。
開幕前の陣容予想では一軍候補として挙げている雑誌もあり、大学・社会人経由の投手であることもあって、ある程度、評価されていたピッチャー。
ただ、鳥谷に投げた初球のストレートが外角に引っ掛かってしまったこともあり、結局、フォアボールで満塁に。鳥谷へのボールは全てストレート。
さらに続く代打・狩野にもフルカウントとなり、結果、三遊間寄りのショートゴロ併殺崩れで、1点を失います。この狩野への投球も全てストレート。
続くバッターは藤浪。ここで切れば、まだ2点差だっただけに勝負の帰趨はわからなかったのですが、この藤浪にもすべてストレートで、結局、真ん中近いストレートに合わされ、藤浪にもヒットを浴び、非常に痛い3点差となるタイムリーを喫します。
正直、かなり厳しい場面での登板ということもあり、冒険しにくい場面であったことは事実です。また、左腕から放り込まれるボールはある程度キレもあり、そこに賭けてみるというのも、一つの考えだったかもしれません。
ただ、狩野に打たれた後、藤浪を追い込んだところでは、変化球を投げられる余裕(ランナーは詰まっていないし、もし見送られてもカウント的にまだ有利)があったのではと感じました。
結局、藤浪にも、ストレートを読み切られ(しかも、左腕、かつ低い姿勢から投げてくるということで、ある程度コースも読みやすい)、痛打を浴びてしまいました。
このあたり、リードしていた黒羽根自身は、どのように考えてリードをしていたのか、知りたいところです。
また、先週(6/20)の広島戦での高城も、似たような場面がありました。
5回、4-4の同点で、ピッチャー小杉、バッター・エルドレッドという場面。比較的早めに追い込んだのですが、そこまでの配球はすべて外角(そして、ほぼ低め)。そこからの配球も、ほぼ外角低め。こうなると、三振の多いエルドレッドとはいえ、外角低めに目付ができてしまい、際どいコースでも、見送れたり、ファールでカットをしたりして、結局フルカウントに。その、ほぼ外角一辺倒のリードには、解説の遠藤一彦氏も疑問を呈していました。
最終的には、内角低めのストレートで見逃し三振をとりましたが、正直「投げるボールがなくなって、仕方なく」要求したという感じ。制球力が高いとはいえない小杉だけに、内角へ行くなら、まだカウントが有利なうちに行っておくべき(2-2のカウントまで行くと、次の球がボールになってしまうことを考えると、もう内角は突けなくなる)だと思って見ていたのですが、追い込んでいるにもかかわらず、逆にピッチャーのピッチングを苦していくようなリードには疑問が残りました。(実際、球数も投げる結果になってしまいましたし)。
2. 内角
さて、その「内角を突く」ということなのですが、「内角も使ってリードしないと…」と言うこと自体は簡単ではあります。
ただ一方で、制球力が低いピッチャーをリードするの場合、のべつまくなしに「内角を使う」というのも、これまた難しいところ。
左打者に対しての右投手の内角は、制球力が低い投手でも、ある程度攻められると思いますが、右打者に対しての内角というのは、制球力の低い投手にとっては、結構難易度が高い球でもあります。
もちろん「プロでやっていくには、そこに投げられないと」ということではあるのですが、現実問題として、まだそこまで一軍で安定した成績を残していない投手や、不調に陥っている投手の場合、プロでもそこを突ききれない投手は少なくありません。
印象的だったのは、一昨年あたり、投手陣が崩壊していた頃のヤクルト。中村悠平が幾度となく内角を要求するも、ピッチャーがそこに投げ切れず、外角へ引っ掛けて、逆にカウントを悪くする。迎えたバッティングカウントで、それでも強気に内角を要求するも、ボールが甘く入り長打を浴びる、という悪循環…。
ああいった光景を見ていると、ピッチャーの力量を考えず、なんでもかんでも「内角を使え」というのも不正解だと感じます(「そこに投げられないピッチャーは、すぐに二軍へ」ということができるぐらい、投手陣の層が厚ければ、それでもいいのですが)。
そうした意味では、制球があまりよくない投手でも、シンカー気味に落ちる系のツーシームや、シュートを持っていると、キャッチャーも内角を要求しやすいのかもしれません。
なお、コントロールが悪い投手にいかに内角を投げさせるかという点では、横浜に復帰後の鶴岡のリードには、かなり苦心や工夫が感じられました。のべつまくなしに内角を要求するのではなく、ピッチャーが比較的内角に投げやすいカウント、また状況的に内角を投げやすいところ(長打の少ないバッター。1アウトランナー無しなどといった場面)で内角を要求し、それが決まることによって、その後も内角を有効に使えるようになる、といった試合が結構あったように思います。
3. キャッチャーから見える風景
最後は「こうしたらどう」というのとは、ちょっと違う視点から。
日頃、私たちが見ているセンター後方からのカメラだと、バッターの全体像を見ることができることもあり、ボールのキレ、曲がり、またバッターのスイングなど、ほぼすべてを俯瞰的に見ることができます。
しかし、キャッチャーから見えている風景というのは、これとは違います。基本、ピッチャーの投げるボール中心。そして、バッター全体というより、スイングに入る直前のバッターの空気、そして実際のスイング(または見送りの姿勢)。
ここで感じる感覚は、中継画面で私たちが感じる感覚とは、また違うものです。バッターに近いからこそわかるものもあれば、逆に近すぎるがゆえに見えないものもあるでしょう。
また、ほとんどのバッターは、口にこそ出さないものの、空振りした後、ボールを見送った後、またファールを打った後、頭のなかでいろいろと考えているものです。「今のは振り遅れたな」「思ったより、球質が重い」「自分のイメージとスイングが合ってない」「見逃しはしたけど、タイミングは取れている」などなど。そうした空気を感じ、一方で、バッターのスイングなどから、ピッチャーの通用するボールを選択し、それにそうではない(通用するかは微妙な)ボールも交えつつ、バッターをなんとか打ち取ろうとしていく、というキャッチャーの仕事(もちろん、試合前の各打者についての分析という要素もありますが)。
それこそ、全盛期の古田や、横浜を呑んでかかっていたときの谷繁などは、横浜ファンとして「次、こういうボールで攻められたらイヤだな」というボールが、かなりの確率で来ていました。
そんな、相手からして嫌なリードを、今後、高城、嶺井、黒羽根がしていけるか。
シーズンも後半戦に入り、いよいよ、本当の意味での「キャッチャー力」が問われるステージに入っていきます。



























