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「潰し合い」ではなく「高め合い」

今週の月曜日、2月9日、ボクシングファン注目の日本タイトルマッチが行われました。

対戦したのは、日本スーパー・フェザー級(58.97kg)チャンピオン・内藤律樹(ないとう・りっき)と、同級1位の伊藤雅雪(いとう・まさゆき)。

内藤は、「一瞬の夏」(沢木耕太郎著)の主人公として有名なカシアス内藤の息子で、ここまで、11戦11勝(5KO)無敗というレコード。
一方の伊藤も、17戦16勝(7KO)1分と、こちらも無敗で、昨年、世界ランカーでもある仲村正男を下し、評価急上昇中の新鋭。

正直、どちらが勝つか全く予想がつかない一戦で、ここ数年の日本・東洋太平洋タイトルマッチのなかでも一番といってもいいぐらい、試合前の期待値が高い試合でした。

正直、テクニックのある選手同士なので、KOでの決着の可能性は低い(だからこそ、こうした高いレベルの試合で、どちらかがKOで勝つようなことがあったら、その選手への期待度はさらに上昇するのですが)と思っていましたが、それでも高いレベルでの攻防を見られることへの期待値は高く。

そして、いよいよ始まった、第1R。この最初の緊張感は、本当に素晴らしいものでした。
その後も、サウスポー(内藤)vs 右構え(伊藤)という構図のなか、高密度の一瞬一瞬が詰まった、両者の駆け引きと、パンチの出し合いは続きます。
地上波放送では残念ながら第4Rがカットされていましたが、第5Rを終わっての公開採点は、一者が内藤、一者がドロー、一者が伊藤と、拮抗。
そこから後半にかけ、徐々に、内藤の左が伊藤をとらえる場面が出始めます。伊藤も、強烈な右を振るいますが、モーションの大きさと、ややワンパターンのためか、内藤にはヒットせず。
第10Rは、両者、最後までパンチを交換し合い、濃い時間の積み重なった10ラウンドが終了。

試合が終わっての印象は、内藤がやや優勢かなという感じでしたが、実際の採点は、95対95、96対95、97対94の2−0で、内藤が勝利。
結果としては、引き出しの多さで上回った内藤がハイレベルの攻防を制したという形になりました。

勝敗的には、内藤が勝利を勝ち取った結果になりましたが、印象的だったのは、試合終了のゴングが鳴った後の両者の様子。
試合後すぐ、両者、笑顔で抱き合い、声を掛け合っていましたが、その様は「お前、強いな」「いやあ、お前も強いよ」と言っているようで、高いレベルでの攻防を戦いきったお互いの充実感、そして、非常に清々しいものを感じました(ちなみに、年齢は伊藤が24歳、内藤が23歳)。

勝った内藤は、試合後のインタビューで、先日、これまた日本の同級の強豪、金子大樹に圧勝(“圧倒的に勝った”という意味ではなく“「圧」で勝った”という意味合いでの「圧勝」)した、東洋太平洋王者・ジョムトーン(タイ)との対戦を希望するコメントを。
さらに、報道陣とのやりとりの中では、金子大樹の名前を挙げられたときに、「ずっとやりたかった選手」との回答もあったとのことです。

現在、日本のボクシング界は、東洋太平洋王者が実質、第二日本タイトルのようになっている(全階級の6~7割が日本の選手)こともあり、国内の強豪をなるたけ避けてタイトルを獲るという道もあるといってもいい状況。

そうしたなか、今回の内藤vs伊藤は、チャンピオンカーニバルのシーズンというタイミングもあったにせよ、ファンが待望するカードが、その通り実現して、そしてその通りの試合を見せてくれたという好例でした。

有望選手を抱える各陣営は、当然、強豪と戦ったときの敗れたときのリスクというものも考えるでしょうが、ボクシングの魅力の原点である「強いヤツをいかに倒していくか」の部分を濃くし、それによりボクシングファンを惹きつけていくという意味では、こうした試合は必要不可欠。
また、ボクサー自身のレベルを上げるという点でも、大きな意味があるのではないでしょうか。

今回敗れた伊藤選手も、負けたことへの悔しさは当然あるでしょうが、多くのファンは、それ以上に次戦への期待感を持った試合だったとも思います。
(もちろん、山中慎二に敗れた岩佐亮佑だったり、先日、田中恒成に敗れた原隆二などを見ると、相手がたとえ強豪だったとしても、「敗れたことの重み」というのは、ファンが想像する以上にあるのだとは思いますが)。

「日本(東洋太平洋)タイトルマッチでも、放送が無い試合がある」という、ファンへの露出の部分は、解決すべき問題としてあるとして、とにかく、こうした試合が多く組まれることは、ボクシングの“熱さ”の高まり、そして、現在、高いレベルにあるボクサーが、さらなる高みを目指す意味でも、非常に重要なことなのではないか。そのことを、改めて実感した一戦でもありました。

既発表のチャンピオンカーニバルでは、益田健太郎 vs 大森将平(バンタム級・4/13)、木村悠 vs 小野心(ライトフライ級・4/4)、石田匠 vs 江藤大喜(フライ級・日程未定)という楽しみなカードもありますが、国内の強豪同士の一戦という意味では、村中優 vs 井岡一翔、赤穂亮 vs 松本亮といったカードも面白いのではと思ったりします。

by momiageyokohama | 2015-02-12 01:23 | ボクシング | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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