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2014 NPB 私的12球団 貢献度No.1選手

前回の記事の最後で、2014シーズン、12球団各チームにおいて、一番チームに貢献した・チームを支えたと思う選手を挙げましたが、その理由などについては書いていませんでした。
ということで、今回はそれも含めて、改めて挙げていきたいと思います。

【福岡ソフトバンク】
大隣 憲司
(9試合 3勝1敗 防御率1.64)

日本一を達成したソフトバンク。数字だけを見れば、ほかにも候補者はたくさんいると思う。ただ、チームの一番苦しいところを救ったという意味で、この選手を挙げた。今季初登板は7月31日。その後も間隔を開けての登板ということもあり、シーズンは9試合の登板にとどまった。しかし、クライマックスシリーズでは、2試合とも7イニング以上を投げ、いずれの試合もチームは勝利。そして、日本シリーズ第3戦でも、7回を零封。先発陣がどの投手も不安要素を抱えるなかで、見事、チームを日本一に導く投球を見せた。「難病からの」という枕詞がなくても、十分に「戦力」としての働きを見せてくれたところに敬意を表して。

【オリックス】
伊藤 光
(137試合 .257 3本 48打点)

残念ながら、2年連続規定打席到達とはならなかったが、1年を通して、12球団唯一防御率2点台のオリックス投手陣を支えた。オリックス低迷の長年の課題とされてきた捕手のポジションを落ち着かせたという点で、その功績は大きい。打撃でも、打率こそ昨年の.285から数字を落としているものの、打点は40打点→48打点(得点圏打率は.290)と逆に伸ばしており、打撃での貢献も少なくない。盗塁阻止率がリーグ最下位(.235)という点は少し気になるが、今後は、日本代表での働きも含め、更にステップアップをしていってほしい選手の一人。

【北海道日本ハム】
大谷 翔平

(24試合 11勝4敗 防御率2.61 179奪三振)
(87試合 .274 10本 31打点)

これは、もう文句無しでしょう。
さすがに、打の方でも3割とまではいかなったが、二刀流での活躍がハッキリと形になって見えた今シーズン。投球回数は、メンドーサに次ぐチーム2位。打っても234打席と、今までのプロ野球選手という枠組みを考えても、スーパーな活躍。バッターとしては、本塁打だけでなく二塁打の多さも際立ち、長打率.505は中田翔をも超える数字。来季以降、どのような育成計画のもと、どんなステップアップを見せるのか?もはや想像がつかなくなってくるほど、長い野球界の歴史のなかでも稀有な存在となりつつある。
で、あまりに大谷の働きが凄いので、日本ハムはもう一人、挙げた。

谷元 圭介
(52試合 5勝1敗12H 防御率1.59)

昨年、中継ぎとして来る日も来る日も投げていた印象のある矢貫が今季は不振。鍵谷・石井裕といったところも大きく登板数を減らすなか、今季、シーズン通して、日本ハム投手陣の一番苦しいとことを支えたピッチャー。先発陣も決して盤石とはいえないなか、50試合以上の登板で防御率1点台は見事。体が大きいピッチャーではないだけに、来季は今年の揺り戻しが心配ではあるが、とにもかくにも今年のチームへの貢献は大きかった。

【千葉ロッテ】
西野 勇士
(57試合 1勝1敗31S 防御率1.86)

正直、ロッテの選出は迷った。オールスターに鈴木大地しか選ばれなかったように、目立った成績を残した選手がほぼおらず。その鈴木大地も、シーズン通してコンスタントに活躍できたかというとそうとも言えず(打率は最終的に.287)、レギュラークラスの野手で、鈴木に次ぐ打率を残したのが.277の角中という状態。先発陣も、勝利数のトップが10勝の石川、防御率3点台もその石川のみという寂しい数字。松永、益田、カルロス・ロサと、そこまで心配していなかったリリーフ陣も、大きく成績がダウン。そうしたなか、大谷と迷ったが、今季ストッパーに転向した西野を選ぶことにした。
シーズン後半はチームの成績的に登板間隔が空くことも多く、チームがクライマックスを争うよう戦いができなかったため、インパクトという点では少し薄いが、初めてのストッパー役で防御率1点台(パ・リーグではサファテと2人のみ)という数字は、及第点以上だと思う。
先発適性も十分ある投手だが、来季は一体、どのような起用のされ方になるのだろうか。

埼玉西武
岸 孝之
(23試合 13勝4敗 防御率2.51)
涌井が抜け、同じく先発陣を引っ張る立場の牧田が大きく数字を落とし、故障明けの菊池もピッチングに安定度を欠くなか、先発陣では孤軍奮闘のピッチング。途中、故障による登録抹消で、登板は23試合に終わったものの、投手陣の柱としては、安定したピッチングをほぼ一年見せた。防御率はリーグ2位、勝率はリーグ1位(.765)、勝利数もリーグ3位と、高い成績ながら、金子、則本、大谷、西といったインパクトのあるメンバーのなか、少し影は薄いが、入団8年間で、二桁勝利7度というのは、先発投手として十二分な働きとも言える(しかも2011年・2012年以外は、貯金も4~9作っている)。
現在89勝ということで、来季は100勝も見据えたシーズン。昨年オフ、3年契約を結んだということで、現況、契約上は2016シーズンまでは少なくとも西武で投げることとなるが、その間に、果たして2008年以来の日本シリーズ出場はなるか。

【東北楽天】
福山 博之

(65試合 4勝2敗23H 1S 防御率1.87)

優勝した昨年も、試合終盤の投手の陣容は手薄だった楽天。今季はファルケンボーグを獲得したが、ここ数年の成績を見ると、絶対的なストッパーになり得るかというと、不安は大きかった(実際、防御率は2.87。セーブ数も20にとどまった)。
そうしたなか、初めてシーズン通して一軍に定着し、さまざまな場面での登板ながらも、1年間、投げ続けた福山をチーム貢献No.1選手に。
なお、福山がこれだけの活躍をする選手となったことで、戦力外とした横浜DeNAフロントの判断が批判を浴びそうだが、正直、一ファンの眼からみても、今後、さらなるステップアップをしていく選手という印象は持てなかった。
しかし、昨年から今年にかけての1年でも、目に見えて大きくレベルアップ。もともと、投手を始めたのは大学から。最初の頃はMax128kmというところから、150kmを投げられるようになったという経歴の持ち主なので、このあたりは普通の感覚では計り知れないところがある選手なのだろう(このあたりの経緯は、Sportivaに掲載されていた高森勇旗氏の記事で詳しく触れられている)。
大きくステップを果たした今季を経て、来季は果たしてどんな姿をファンに見せてくれるだろうか。

【巨人】
鈴木 尚広
(69試合 11盗塁 28得点)

今季、リーグ優勝は果たしたものの、個人成績を見ると、どの選手も物足りない数字だった巨人。レギュラーで打率3割を残した選手はゼロで、.280にラインを下げてもクリアしているのは長野のみ。投手陣も勝ち頭が菅野の12勝で、その次が杉内の10勝、そして大竹の9勝と、優勝したチームにしては寂しい数字。リリーフ陣も、軒並み防御率3点台、4点台のピッチャーが並ぶ。
そんななか、優勝というチームの大目標に向かって、大きな存在感を見せたのが、鈴木尚だった。メディアでもたびたび紹介されたが、代走に出ての生還率は5割超。11という盗塁の数字以上に、その「足」は大きく得点に結びついた。しかも、鈴木が出る場面は、ほとんど、チームの勝敗に直結するような場面。試合終盤、高橋由などが代打で出番を待つといったシーン。そんなまだ代打が出塁するかもわからない状況下、ベンチの傍らで、代走時の準備を入念に行っている姿には、少し鳥肌が立った。

【阪神】
ゴメス
(143試合 .283 26本 109打点)

今年の開幕前、例年に比べ、阪神の評価は低かったように思う。その大きな理由の一つに、ゴメスへの疑念があった。オープン戦では、出遅れに出遅れ、ほとんどその力の片鱗を見せぬまま、シーズンに突入。しかし、開幕カードの巨人戦で活躍を見せると、その後も、シーズン前の不安をよそに打ち続け、出塁し続ける。結果、開幕27試合連続出塁を果たす頃には、ゴメスの実力への疑念はほぼ消えていた。その後も、多少の波はありながらも、鳥谷、マートンとともにリーグ一のクリーンアップを形成することに。本当に、このゴメスの出来が、阪神のシーズン、さらにはセ・リーグ全体をも左右することになった。
それにしても、FA頼みの補強は果たしてどうなのだろうという思いはつきまとうものの、この阪神の外国人選手補強の高確率ぶりは凄い(ゴメス、マートン、メッセンジャー、そして、元々実績がある選手だっとはいえ、呉昇恒)。

【広島】
菊池 涼介

(144試合 .325 11本 58打点 43犠打 23盗塁)

シーズン前は、2位に予想する解説者も多かった広島。いざ、シーズンに入ると、その前評判どおりの戦いを見せた広島だが、中盤以降は、エルドレッドの大失速もあり、打線の組み方に腐心した。そんななかでも、シーズン通してほぼ固定だったのが、「二番・菊池」「三番・丸」の二人。どちらも甲乙つけがたいが、打・守ともに、昨年から更なるステップアップを見せた菊地をチームNo.1貢献選手とした。
昨年ブレイクした菊池だったが、打撃に関しては、打率.247で121三振。クローズアップされた守備も、前半戦でエラーを連発したこともあり、守備率.980と決していい数字ではなかった。
それが、今季は、打率・安打数ともにリーグ2位、三振も121→79と大幅に減少。守備面でも、2年連続で二塁手としての捕殺記録を更新。守備率も.987(失策数12)と数字を上げた(最近は、守備率以外のデータで守備力を測るという流れもあるが)。
菊池の凄いのは、ほぼ1試合には1個の割合で「凄いプレー(守備)」をすること。本当のプロに言わせると、プレーのいくつかは「必要以上にムダな動きをしている」かもしれず、動きが派手なのでそういう風に見えるプレーもあるのかもしれないが、プロの選手として「魅せる」というのは重要なファクターだと思う。

【中日】
又吉 克樹
(67試合 81 1/3イニング 9勝1敗24H 2S 防御率2.21)

今シーズン、セ・リーグのなかでは、あまり存在感を出せなかった印象のある中日。8月後半は負け続け、「もしかしたら、最下位もあるかも」というほど、チームは底の状態に。それでも、最終的に4位に入った大きな要因は、「福谷・又吉・祖父江」といった1年目・2年目のブルペン陣の働きではないか(祖父江は、まだ安定感があるとは言えないが)。
なかでも、シーズン序盤からフル回転し、途中、不調はあったものの、浅尾・岩瀬・田島・武藤らの実績組が期待通りの成績を残せないなか、チームが崩れかけるのを支え続けた又吉の貢献度は高かった。
67試合で80イニング超というイニング数もさることながら、奪三振104というのも魅力的な数字。入団前から評価の高いピッチャーで、指名順位も2位だったが、独立リーグ(香川オリーブガイナーズ出身)の評価も高めた投手といえるだろう。

【横浜DeNA】
林 昌範
(56試合 2勝2敗15H 1S 防御率3.15)

今シーズン、最下位を脱出した昨年から、さらに一歩上の所で戦うことができたと思われるDeNA。しかし、個々の選手の成績を見ると、それほど高い数字を残しているとは言えない。梶谷・ブランコ・石川・バルディリスといったレギュラークラスは、軒並み数字を下げているし、今シーズン、小覚醒を見せた筒香も、欠場時期があり、シーズン通しての活躍とまでは言い難い。投手陣も、久保・井納が最多勝争いに絡む活躍を見せたものの、それぞれ防御率は3.33、4.01と、他球団のエースクラスと比べると、やや数字は落ちる。セットアッパー・ストッパー構想が崩壊したチームを救った投手という意味では、三上が挙げられるが、序盤戦は比較的楽な場面での登板が多く、終盤戦は打ち込まれたことを考えると、まだチーム一とするには早い印象。
そうしたなかで、貢献度No.1としたいのは林。正直、数字的には格段にいい数字を残しているわけではない。序盤戦は二軍に落ちていた時期もあったし、試合終盤、痛い勝ち越し打を浴びる場面もあった。しかし、7回・8回を投げる投手が、1年通してほぼ固定できなかったというチーム状況のなか、ピンチの場面、1~2点ビハインドの場面、左の強打者へのワンポイント、予定外の緊急登板(最たるものは、7月中旬、広島戦での延長12回、藤江が打ち込まれての急遽の登板)など、状況問わず、コールされ続けた1年。FAでの移籍も報道されるなか、結果、残留となったようだが、来年はもう少し負担を軽くしてあげたい気もする(そうした状況を作ることができるかというと、甚だ不安ではあるが(^^))。

【東京ヤクルト】
山田 哲人
(143試合 .324 29本 89打点 106得点 15盗塁)

今季も、リリーフ陣がほぼ崩壊、怪我人も続出ということで、リーグNo.1の破壊力を誇る打線を持ちながら、最下位に終わったヤクルト。
そんなチーム状況に対する、ファンの心の穴を、完全ではないにしても埋めてくれたのは、この選手の活躍(そして、雄平の覚醒)ではないか。
残した成績に関しては、もう文句のつけようのない数字。一番打者での89打点はリーグでも4位。そして106得点は、広島・丸と並んでリーグトップ。日本人右打者最多安打記録を逆転満塁本塁打で決めるという派手な活躍っぷりに加え、これだけの成績を残しても、あまり表情が顔に出ないところも、俗に言う「大器」ぶりを感じさせる。
守備面では、まだまだファンの信頼を得ているとはいえないが、今後、日本代表における菊池との争いも見物。
なお、ヤクルトが入団した2010年のドラフトでは、ヤクルトは、斎藤佑樹→塩見貴洋と外して、山田を獲得している(オリックスは、さらにヤクルトとの山田抽選を外し、4人目でようやく(後藤)駿太を獲得)。このあたり、ドラフトを数年前まで遡って見てみると、また面白い。


by momiageyokohama | 2014-11-02 23:20 | 野球(全般) | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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