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聞きやすい実況、聞きづらい実況

今日は、基本的に、DeNA-ヤクルトの中継(フジテレビONE)を見ていたのですが、合間合間で、広島-阪神も見ていました(JSPORTS1)。

そのJSPORTSの中継での一コマ。この試合は、解説が野村弘樹氏、実況が島村俊治アナ。
5回、広島のピッチャー戸田が、上本相手に、コントロールに苦しみながら内角低めのストレートで見逃し三振を奪ったシーン。
ここで、島村アナが、発言の詳細ははっきり覚えていないのですが、「コントロールが悪いながら、今のはいいボールが来ましたね」といったニュアンスで、野村氏に話の水を向けました。
しかし、野村氏は、その発言を別の意味でとらえたのか、「今のは完全にストライクですよ」といった返しをしました。聞いている限り、島村アナが「今のボールは、コース的にボール球じゃないんですか」といった風に水を向けたと勘違いしての、返しのように感じました。

こうしたとき、アナウンサーによっては、自身の発言の意図が理解されなかったことを受けて、「制球力が無いなかで、いいボールを投げましたよね」などと、よりハッキリした言い方に直して、解説者に再確認を求める(要は、自身の発言の意図を、解説者に「気づかせる」)場合があります。
しかし、島村アナは、そうしたダメ押し的な質問を追加する選択はしませんでした。中継の流れを優先させ、野村氏の発言を受けるような形で話をつなげ、再びその会話を試合の流れのなかに持っていきました(ここも、島村アナの具体的な発言を覚えていないので、そのニュアンスだけしか伝えることができないのですが(^^))。

NHKで数々のスポーツ中継をしてきた島村アナですが、CS・BSで野球中継をするようになってからは、さまざまな解説者と組んでいます。
そのなかには、喋りがうまいとは言えない解説者、聞いたことに対して的確な答えを返せない解説者、逆に喋りすぎる解説者などもいます。
しかし、そうした状況でも、中継の空気を壊すことなく、なんとかその解説者のいいところを引き出そう、また試合の面白くなりそうなポイントを伝えていこうという思いが伝わる実況は、70歳を超えた今でも、なかなか他のアナウンサーが真似できないレベルを保っていると感じます。


なお、自分の場合、横浜ファンということもあり、TBS系(今年はTBSチャンネル2、昨年まではTBSニュースバード)のアナウンサーの実況を耳にすることが多いです。

しかし、その実況ぶりには、時折「ん?」と思うことも、しばしば。
特にベテランアナの方が、それが顕著。具体的には、林正浩アナ、椎野茂アナといったあたりになりますが、しばしば垣間見られる「上から目線」の実況は、聞いていて、あまり気持ちがいいものではありません。
その姿勢が出たのか、林アナは、オフマイクになっていなかったのか、中継の合間に、中継スタッフを叱責するような声が入ってしまったことがありましたし、椎野アナは、内野フライを危うく取り損ねそうになった場面で、思わず「危ねえ!」と言ってしまったことがありました(中継に載せる言葉としては、最低限、「危ない!」でしょう)。

TBSのスポーツアナは概してそうした傾向があり、長年、第一線で活躍していた石川顕アナも、キャリアの後半は「私はこう思うんですけどね」といった発言を連発していて、正直、聞きやすい実況ではありませんでした。
林アナなどは、自身も桜美林高で甲子園に出場した経験もあり、プロ野球のレベルを肌身でわかっているはずのアナウンサーであり、椎野アナも、全米オープンテニスがまだTBSでやっていた頃は、その快活な実況ぶりに好感をもっていたのですが、年齢を重ねてくると、どうしても解説者のような実況をしたくなってしまうのでしょうか(なお、定年退職後も、時折、中継の実況をしている松下アナも相変わらずの実況ぶり)。


いずれにしても、上から目線で「プロ野球」あるいは「プロ野球選手」がやっていることの凄さをかき消してしまうような実況は、「仕事」として、その責務を果たしているとは言えないと思います。
アナウンサーが「自身の野球を見る『眼』をひけらかす」ことは、プロ野球の凄さを伝えることには何の意味も無く。
もし、観察眼に自信があったとしても、それは、例えば解説者のフィルターを通すなどして、「野球の面白さ」「深さ」「凄さ」を伝えることに転化していくことが、実況者としての仕事ではないか。中継を見ている側としては、そう思います。


なお、TBSでは、他のアナウンサーだと、小笠原亘アナは、ちょっと先を読み過ぎて話してしまう印象。新夕悦男アナも、まだ試合展開の読みに甘さを感じる部分がある印象です。若手のなかでは、伊藤隆佑アナあたりに、先輩方をある意味、反面教師にして、「聞きやすい」実況を目指してほしいですね。

他の局だと、フジテレビは、CS「プロ野球ニュース」があるので、若手のアナでも、ある程度のレベルの実況はできますが、時折、見ているこっちが突っ込みたくなるような間違いがあることも。
ボクシング中継では比較的バランスのとれた実況を見せている立本信吾アナも、野球中継ではまだ物足りなさがあり。
なんだかんだ言って、安心して聞けるのは竹下陽平アナあたりだったりします(久々に野球中継をすることになった向坂樹興アナは、根が上品なせいか、野球中継をするにはちょっと喋りがスローなのと、いまだに「おはよう!ナイスデイ」のイメージが抜けない(^^))。

日本テレビは、若手アナに随分と中継の実況任せるようになってきた印象がありますが、やはり、平川健太郎アナに匹敵するような実況をするアナウンサーは、まだいないという感じ。
以前、サッカーの中継でそのインタビューぶりが素晴らしかった田辺研一郎アナには、可能性を感じたりしますが。

また、局アナが実況する機会が他局に比べて少ないテレビ朝日ですが、清水俊輔アナのバランスのとれた実況は、各局のスポーツアナの中でも高いレベルにあると思います。


Commented by 粗忽庵 at 2014-08-24 14:02 x
松下賢次アナは昨年からMXのホークス中継に登場するようになったのですが、以前にも増して言い間違いが多いですね。その間違いに自分で気がつかないし。
 先日久しぶりに地上波テレビ中継で見た椎野茂アナも、人名やカウントなど重大なミスが目立ちました。ラジオ中継だと安心して聞けないレベル。
 林正浩アナは昔、解説が定岡正二だった時に「甲子園コンビ」と名乗って定岡を苦笑させていました。

 TBSのスポーツアナは自分を前に出そうとするあまり、実況がおろそかになっている印象がありますねえ。
Commented by momiageyokohama at 2014-08-24 21:56
コメント、ありがとうございます。
林アナは、そんなことがあったんですね(^^)。
結局、中継では、キャリアの長短問わず、実況するにあたって、自分本位の実況なのか、それとも「野球」第一の実況なのか、そのアナウンサーの“姿勢”が問われるのではと思います。
例えば、島村アナなどは、あれだけ知識があるにもかかわらず、それをひけらかすのではなく、昔のことを引用する際には、「今の20代の野球ファンの方はご存じないかもしれませんが…」といったように、若いファンのことも配慮した前置きをしたりすることもあったりします。
厳しい言い方になりますが、野球ファンを遠ざけてしまうような実況しかできないのであれば、そのアナウンサーは、現場から“退場”してほしいですね。
Commented by くるたんパパ at 2018-03-11 08:35 x
大変興味深く読ませて頂きました。
読んでみて、納得。このオープン戦、ヤクルトファンの私は、タイガース、カープ戦を観て(何れも林アナウンサーでした)誤った実況に呆れてました。少々相手側に贔屓目にされるのは、スワローズの宿命でして理解は出来ます。が、完全に外野手超えの打球を打った瞬間に詰まった打球と言ったりします。観ているこちらも実況を聞いて諦め気分になっていたのが、2塁打、3塁打という始末。野村弘樹さんの解説は分かり易く好きなのですが、生かせてません。カープ戦はスワローズOB の秦さんが解説なのに、関係無くカープ話一辺倒。地元ローカル局の放送なら目も瞑りますが、衛星放送で、それは無いでしょと 感じました。
Commented by momiageyokohama at 2018-03-12 23:12
>くるたんパパさん
コメント、ありがとうございます。
中には打球判断が難しいケースもあるのかもしれませんが、実況アナウンサーの基礎中の基礎として、打球の把握はしっかりしてほしいですよね。
野村弘樹氏は、「器用なしゃべり」ではないものの、「今グラウンドで起きていることをなんとかファンに伝えよう」という思いが伝わる解説という感じがします。
ヤクルトファン、横浜ファンは、ビジターの中継だと、なかなか触れてもらえないというのは、ちょっとわかります(^^)(最近は、以前ほどではなくなった感もありますが)。
解説・実況については、また機会があれば書こうと思っています。
by momiageyokohama | 2014-08-24 00:03 | スポーツ中継 | Comments(4)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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