ボクシングの「重さ」と「えげつなさ」を感じた2試合
2014年 04月 24日
リアルタイムで見ることはできなかったので、帰ってからHDDの録画を見た(もちろん結果を知らずに)。
ボクシング界を牽引してきた元王者と、現在のボクシング界を牽引しているといっていい現王者、それぞれの世界タイトル戦。
まずは、IBF世界スーパーバンタム級(55.34kg)タイトルマッチ。
3年ぶりのチャンピオン返り咲きを狙う長谷川穂積。
相手は、2度目の防衛を狙う王者キコ・マルチネス(スペイン)。
立ち上がりの1R。長谷川の左がマルチネスの顔面を捉えるシーン(しかも重そうなパンチ)もあり、「行けるので」はと思わせた。
しかし、2R、マルチネスの右フックが長谷川の顔面を捉える。さらに何発かのパンチを浴び、長谷川、ダウン。
それでも、なんとかゴングまで凌いだ長谷川。
その後は、マルチネスの打ち疲れもあってか、長谷川のパンチが結構な割合で当たっていたラウンドもあったが、6R終盤、マルチネスが再び長谷川を追い詰める。
このラウンドもどうにか凌いだ長谷川だったが、7R、ついにこの試合二度目となるダウン。それでも立ち上がった長谷川だったが、再び一撃を浴びたところで、レフェリーが試合を止めた。
終了直後、顔を腫らし流血に染まりながらも、「終わっちゃったか」とでも言いたそうに、半ば笑みを湛えていた長谷川の表情が印象的だった。
2011年、ジョニー・ゴンサレスにKO負けを喫してから、3年間待ち、ようやく決まった世界戦。
「ぜひ長谷川に勝ってほしい」という気持ちはあったが、その一方で、世界ベルトを巻き、再び防衛ロードを突き進む長谷川の姿というのがあまりイメージできなかった。
試合前のコメントでも、本人からそうしたニュアンスの発言があったが、「もし勝ったとしても、この試合を最後にするかもしれないな」という気もした。
2Rが始まる前だったか、会場のどこからともなく湧きあがった拍手は、「日本ボクシング界のプライドを長きにわたって守ってきたチャンピオン」の最後を見届けようという、ファンの思いにも感じた。
7R、一度目のダウンを喫したときは、正直「もう、止めてあげてくれ」と思った。
そして、二度目のダウンで、おそらく現役最後の試合終了となった長谷川。
試合後には、眼窩底と鼻骨骨折が発表された。
試合中、奥さん含め、家族が目をそらさず試合を見ていた姿が印象的だった。
プロデビューは1999年。ウィラポンに勝ってWBC世界バンタム級王座を獲得したのは2005年だから、そこからもう9年も経っている。
辰吉がリチャードソンに勝ってから(1991年)、ウィラポンに2度目のKO負けを喫するまで(1999年)が8年。それ以上の月日を過ごしているわけである。
10度の世界王座防衛(しかも、V6~V10は鬼のような強さ)だけでなく、当時日本では認められていなかったWBO王者・モンティエルとの対戦を実現させ、日本のボクシングファンに、新たに「世界チャンピオンのそのまた先」の世界を提示したという意味でも、改めて素晴らしいボクサーだと思う。
飯田覚士の「長谷川チャンピオン」というフレーズをもう一度聞きたかった(^^)気もするが、今は「お疲れさまでした」という言葉以外ない。
続いて行われた、WBC世界バンタム級(53.52kg)タイトルマッチ。
チャンピオン山中慎介にとって、6度目の防衛戦となる試合。相手は、ランキング3位のシュテファーヌ・ジャモエ。
これまでの防衛戦の内容からいって、山中の早い回でのKO勝ちもあり得ると思われたが、解説の飯田氏が言っていたように、狙いすぎのためか、立ち上がりは硬かった。このところの試合で見せていた、リラックスするために肩をほぐすようなしぐさも全く無し。
それでも2R、ジャモエのガードの隙間に左ストレートをねじ込み、ダウンを奪う。
その後も、ボディ、そして顔面にえげつない左を打ち込む山中(試合後のジャモエのコメントでは、左だけでなく右も相当威力があったとのこと)。
しかし、ここからのジャモエのタフさが凄かった。
山中の左に明らかにビビっている様子を見せるも、心は絶対折れない。まるで子どもが抵抗しているかのように、山中の打ち終わりに対してやみくもにパンチを打つ姿は、決して格好いい光景ではなかったが、その絶対にあきらめない姿勢は格好よかった。
実況でも言っていたが、まさに「死にもの狂い」という戦いぶり。
パンチの浴び方だけとれば、レフェリーがもっと早いラウンドでストップしてもおかしくないぐらい一方的な内容だったが、とにかく、そのタフっぷりは凄まじかった。
一方の山中は、内容の粗さには不満が残るものの、6度目の防衛に成功。
番組の最後では、対戦が期待される相手として、アンセルモ・モレノ、レオ・サンタクルスの名前が出されていたが、果たして実現するか。
西岡利晃に引き続き、帝拳プロモーションの腕の見せどころとも言えるが、ファンからしてみれば、ぜひとも実現させてほしいところ。
なお、5月7日には、井岡一翔の世界王座決定戦、高山勝成の世界王座防衛戦が予定されているが、次の日本人ボクサーが絡む「ビッグマッチ」となると、実現すれば秋ぐらいに行われそうなロマゴンvs八重樫あたりか(内山高志の次戦も楽しみではあるが)。



























