「べき論」からの脱出
2014年 01月 12日
先週の日曜日にNHKアーカイブスとして放送されていた「プロ野球80年 打倒巨人に燃えた男たち」。
「2014年に、このテーマというのもどうなのかな?」とも思いましたが、コメンテーターの野村克也元監督・玉木正之氏という組み合わせは、意外とこの先見られる機会は少ないかもと思い、録画しておき、後日、見ました。
内容自体はそこまで目新しいものは無かったのですが、玉木氏の「昔はアンチ巨人ファンは巨人ファンでもあったが、江川事件を境にアンチ巨人ファンが本当に巨人を嫌いな人になってしまった印象がある」というコメントは、江川事件を肌感覚としては知らない身(小さい頃は、小林繁は阪神生え抜きの選手だと思っていた)としては、少し新鮮ではありました(実際そうだったかは個人差があるでしょうが)。
なお、番組の締めの方では、「もう巨人がどうこうではなくて、野球界『全体』をどう盛り上げていくかを考えていくべき」というような話になっていました。
もちろん至極もっともな意見ではあるのですが、これ自体は、すでに多くのところで言われていることでもあります。
また、同じく番組の最後で、「MLBのシーズン最後の戦いが『ワールドシリーズ』と銘打たれているが、日本や韓国のチームも含めた本当の意味での『ワールドシリーズ』が開催されるべきではないか」といった話も出ていましたが、ここまで来ると、現時点では正直「机上の空論」感は否めないところではあります。
アジアシリーズの現状をみると、野球における国別チーム対抗戦の難しさを強く感じますし、何より現状ではほぼそうした大会に動く可能性が皆無なMLBに、実際どう折衝していくのか(この番組自体の趣旨は「今後の野球界について」といったものではなかったので、それ以上突っ込んだ話を求めるのは違うといえば違うのですが)。
これまでは、いわゆる前述のような「べき論」を語ることが野球論議とほぼ同義語でもあったと思います。
ただ、2010年代も中盤を迎え、それこそスポーツだけとってみても、以前はそこまで脚光を浴びることの多くなかったスポーツが次々にその露出を伸ばしている姿を見ると、野球の問題を報じるメディアには、論から一歩進んで「具体策の提示」が必要になってくるのではないかと感じます(このところ、ブログで何度か書いていることでもあるので、繰り返しにはなってしまいますが)。
1月9日には、NPBの構造改革委員会が開かれ、巨人、阪神、ソフトバンク、オリックスの理事、そして熊崎コミッショナーが出席。
委員会では、以前の報道どおり、ビジネス推進面・野球運営面での専務理事をコミッショナーの下におくことが議題に挙がった模様です。また、この専務理事と同じものを指しているかはわかりませんが、コミッショナーを支える常任の理事として衣笠祥雄氏がその候補に挙がっているという報道(日刊スポーツ)もありました。
では実際にいつそうした組織が正式決定するのか、そのスピードにはまだ不安なところもありますが、とにかく「べき論」を一つでも具体的な形にしていくことが、2010年・20年代の野球には求められるでしょう。
昨年、日本一となった楽天の立花陽三社長は、ジョーンズ、マギーの獲得などの補強策(2014年はユーキリスを獲得)で注目を集めましたが、新聞のインタビューで「もっともっとファンが増えるよう、常勝チームをめざして戦力を強化すると同時に、収容人数拡大のための球場改修も進める。そのスピードが一緒でないと、経営的にうまくいかない。私の真価が問われるのは5年後、10年後です」といったコメントを残しています。
野球界の内部に、こういった既存の経営者・フロントとは異なる視点・実行力を持った人も増えているなか、メディアなどそれを「報じる側」、またファンなどの「見る側」も、「べき論」から一歩進んだ意見の提示や出し合いをしていくことができれば、野球が今後もいろいろな人の琴線に触れるスポーツであり続けられるのではないか。
シーズンオフとはいえ、例年よりも野球界のトピックが少ないと感じる年始め。
自戒も込めて、そんなことを思いました。



























