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亀田陣営の手法に、ボクシング人気復活のヒントはあるか

先週の8月1日、WBO世界バンタム級タイトルマッチ、王者パウルス・アンブンダ(ナミビア)対亀田和毅戦が行われた。
「世界初の三兄弟王者へ」と銘打たれたこの試合。試合が行われたのはフィリピン・セブ島だったが、TBSがゴールデンタイムとなる午後8時から生放送。

当初、自分はこの試合を見る気は無かった。
ただ、亀田和毅が初の世界戦でどういう戦いを見せるのか、また、まがりなりにも日本のボクサーにとって初となるWBOの世界戦であるということを考え、録画しておき、少しタイムラグを置いて見た。
試合は序盤、亀田和が鋭い左を見せるものの、全体的には静かな立ち上がり。その後も、多少パンチの交換数は増えるものの、なかなか両者の有効打を見つけるのが難しい展開。どちらかというと、前に出ているのはアンブンダだが、あまり亀田にヒットさせることはできず、時折、亀田がパンチを返すというシーンが中盤まで続く。途中、亀田の「足は使うもののパンチを全く出さないボクシング」に、会場からブーイングが起きる場面もあった。
なお、中盤ぐらいから、亀田の動きにしか言及しない実況と佐藤修のほとんど解説になっていない解説に耐えきれなくなり、テレビのボリュームを下げた(TBSは、またこうして若手のスポーツアナを潰していってしまうのだろうか)。
その後も、アンブンダが前に出るも亀田をとらえられず、その打ち終わりに亀田がアンブンダにパンチを二、三返す、という起伏に乏しいラウンドが続いたまま、試合は終了。
ボクシングの面白みからは掛け離れた試合だったが、中盤以降は亀田和にポイントを振るのが妥当なラウンドが多く、亀田の勝利という判定自体は順当だと感じた。
後日発表されたこの試合の視聴率は13.5%(関東地区(以下、視聴率の数字は関東地区のもの))だった。

その1週間前の7月23日には、亀田和毅の兄、亀田興毅も7度目の防衛戦を行った。
この試合は最初から見る気はなかったが、たまたま11Rのときにチャンネルが合って、少しだけ見た。
印象としては、いつもの試合よりは亀田興の手が出ている展開。その後、Webサイトでそれまでの試合経過を見て「おそらく勝つのだろう」と思い、また他のチャンネルに変えた。
対戦相手のジョン・マーク・アポリナリオは3位にランクされているとはいえ、17勝のうちKO勝ちは4つと、亀田陣営からすると、比較的リスクが低い相手であったと思われる。
この試合の視聴率は11.8%。

その4日後の7月27日には、ボクシングファンはさておき、正直、世間的な注目は低いであろう世界戦が、アメリカ・サンアントニオ(テキサス州)で行われた。
カードは、WBC世界ライト級暫定王座決定戦、荒川仁人(ランキング1位)対オマール・フィゲロア(ランキング3位・米国)。(※なお、この試合は暫定王座戦として行われたが、現王者エイドリアン・ブローナーが2階級上のWBAウェルター級王者を獲得しており、正規王者に昇格する可能性が高い)。
試合は、荒川が2Rにダウンを喫し、その後も劣勢の場面が続く展開。
しかし、日本王座獲得、東洋王座獲得と着実にステップを踏み、敵地メキシコでの挑戦者決定戦という試練(結果は判定負けだったが、荒川有利とする見方も多く、その後、一度失ったランキング1位に返り咲き)も乗り越え、ようやく世界戦のチャンスを掴んだ荒川は、最後まで反撃の手を休めることは無かった。
残念ながら0-3の判定負けに終わったが、12Rは、まさに「世界戦に漕ぎつけた道程を無駄にすまい」という思いに満ち溢れたラウンドだった。
なお、今後については、まだ正式な発表はされていないものの、ブログには関係者やファンへの感謝の言葉とともに、「また、怪我を治して、出直します」との本人の言葉が載っている。

なお、来週8月12日(月)には、WBC世界バンタム級王者・山中慎介の4度目の防衛戦、そしてWBC世界フライ級王者・八重樫東の初防衛戦が行われる。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

さて、前置きが長くなったが、今回はここからが本題。

ボクシングファンには非常にウケが悪い亀田陣営の試合だが、さきの亀田和毅戦の視聴率は13.5%と、ボクシングの最近の世界戦のなかでは上の数字の部類に入るものだった。
さきの亀田興毅の試合も11.8%。この試合を含めて、3階級制覇を形式上達成したムニョス戦以降の視聴率は、だいたい11~14%程度。そのうち、暫定王者ウーゴ・ルイスとの試合は20.5%と高い数字を記録した(実は、更に同階級には、スーパー王者としてアンセルモ・モレノがいることは、中継では触れられていなかったが)。
ランダエタ戦や内藤戦のときの30%以上という数字とは比ぶべくもないが、「もう亀田の試合は見ない」と思っているボクシングファンも相当数いるであろう(自分もその一人)なかでの数字と考えると、まだ、ある一定数の人が亀田戦を見ていることになる。

ここで、現在の世界王者を中心とした日本のボクサーの、「一般的な認知度」をランク付けするとなると、下記のようになると思われる。

A. 日本のほとんどの人が知っているボクサー

井岡一翔、亀田興毅、亀田大毅、亀田和毅(もしくは三男という捉えられ方)
村田諒太

B. 熱心なスポーツファンが知っているボクサー

内山高志、山中慎介、八重樫東、宮崎亮、井上尚弥、粟生隆寛

C. よほど熱心なスポーツファンでないと知らないボクサー

三浦隆司、高山勝成、河野公平、五十嵐俊幸、荒川仁人

一応断っておくが、上記はもちろん、それぞれのボクサーの実力を表したものではない。また、世代や地域、その人の周辺環境によって、上のカテゴライズは変わってくるとは思う。
ただ現在、ほとんどの日本人が知っている現役ボクサーは、ごく数人だけというのは事実だろう。
内山高志が在位期間・試合内容ともに、日本歴代でも屈指といっていい王者であるにもかかわらず、また、山中慎介が毎試合、ボクシングファンの想像以上の戦いを見せてくれているにもかかわらず、その名を知らない人の方が多いというのが現実なのではないか。

一方で、ボクシングファンからすると退屈極まりない、また幾度となくその判定に疑問を感じざるを得ない試合があるにもかかわらず、亀田家についてはニュースになる機会も多く、またその試合にチャンネルを合わせる人も一定数いるという現実がある。

では、他の世界王者は、なぜ、なかなか知名度を上げることができないのか?

その原因として、ボクシングというスポーツの特性自体を考えたときに、「なかなか周知されにくい」3つの要素が浮かんでくる。

1. 「試合と試合の間隔が長い」

世界王者、または世界戦を控えたボクサーになると、大体1年で2~3試合というペースになってくる。以前と違い、野球・サッカーというメジャーな競技に加え、他のスポーツでも世界で活躍する日本人が増え、そうした選手たちが取り上げられる機会が格段に多くなっているなか、これは結構なハンデである。
しかも、世界選手権やオリンピック(またはその候補選考となる大会)といった、日程が決まった大会があるわけではないプロボクシングは、見ている側にカレンダーを意識させることができず(「この季節(あるいは年)は、この大会がある」といったような)、自然とファン側から需要が湧き上がってくる可能性も低い。

2. 「1ボクサー1テレビ局体制」

「ジムとテレビ局」というパッケージでの関係性があるため、一人の有力ボクサーがいたとしても、その選手の露出は、試合結果を報じるスポーツニュースを除き、関係のある一つのテレビ局に限定され、他のテレビ局で取り上げられることがほぼ無い(あるとして、NHKのスポーツドキュメントなど、ごく稀なケース。あとは可能性は極めて薄いが、バラエティ番組への出演ぐらいか)。
ボクシングを見続けている人からすると、このことは至極普通のことと考えられているが、他のスポーツの場合、有力な選手は各局のスポーツ番組で取り上げられ、そのことで知名度も広がっていく可能性を持っている。そんななか、テレビという非常に視聴者に印象を持ってもらいやすい媒体で、その選手の拡散する可能性が完全に閉ざされているというのは、かなり致命的のことのようにも思える。

3. 「対戦相手のことがほとんどわからない」

これは世界戦に関してのことだが、多くの場合、一般の視聴者は、日本人の対戦相手となるボクサーのことは、事前にほとんど知らない。
もちろん、これまでの戦績や国籍などは確認できるものの、実際どういったボクサーなのかは、試合前の短い紹介VTRで初めて知ることになる。
要は、チャンネルを合わせる前段階として、日本人のボクサー以外の情報は、ほぼ名前しか知らない状態。ということは、その日本人ボクサーを見たいかどうかだけが、チャンネルを合わせる要素となる。
これもボクシングファンからすると至極当たり前のこと(ボクシングファンの場合は、事前に専門誌やWebなどで情報を仕入れてから見ることが多いが)だが、他のスポーツの場合、対戦する選手(あるいはチーム)の情報が、大なり小なり、ある程度入ってから見ることも多く、そのことが「見てみよう」というきっかけになったりもする。
今は、数十年前のように「日本人が外国人ボクサーに勝つ」こと自体がファンの溜飲を下げるという時代でもなく、対戦相手の情報は「見させる」動機として、重要な要素。
しかし、そうした可能性をあまり期待できない(日本人同士、あるいは知名度のあるボクサーとの対戦の場合は別だが)ボクシングは、この点でも、見るまでのハードルが高いスポーツだと言える。

このように、各スポーツ分野で、世界の舞台で活躍する日本人が多数いるなか、上記の3つの性格を持つボクシングは、かなり旗色が悪いように感じる。

しかし、そうしたなか、亀田陣営は、日本のほとんどの人が知っているボクサーとなることに成功した。
それをもたらしたのは、周知のとおり、「徹底したPR、そしてアピール戦略」といっていいだろう。
「強面の父親の指導のもと、独自のトレーニングで世界を目指す、やんちゃなボクサー一家」という特殊性、そして試合前のビッグマウスをウリに、数多くのメディアに露出。
長男・亀田興毅8戦目のワンミーチョーク・シンワンチャー戦は、早くもテレビ中継され、この時点で視聴率は10.6%を記録。
中継では、試合前のVTRで、あの有名なピンポン球よけなど趣向をこらした練習方法なども紹介し、そのユニーク性もアピール。正直自分も、当時はそれらの練習方法も含めて「面白い存在」だと感じた。
その後も、相手を選びつつKO勝利を続け、10戦目からはゴールデンタイムで中継。10戦目は24.8%、11戦目は33.0%を記録した。
25%という数字は、数字上では国民の4人に1人が見ている計算になり、この時点で、亀田は国民のほとんどが知るボクサーになったといっていいかもしれない。
そして12戦目で、ついに世界初挑戦。そのランダエタ戦は、「負け」が「勝ち」になったものの、視聴率は42.4%を記録した。
一方、次男・亀田大毅の試合も、長男の試合の日と一緒に組まれることが多く、こちらも試合後の熱唱などパフォーマンスも披露し、どんどんと知名度を上げていった。
そんななか組まれた、当時の世界WBCフライ級王者・内藤大助との試合は日本中の注目を集め、視聴率は28%。
試合自体は、両者の力の差が鮮明となり、亀田家のジャッジをも巻き込む強引な手法に鬱憤の溜まっていた人たちの溜飲を下げる形となったが、次男の試合でも、この高い視聴率。さらには、これを機に、対戦相手の内藤は知名度を一気に上げた。

こう亀田陣営の試合を辿っていくと、一つ重要なポイントがある。
それは「世界戦の前に、すでに、みんなに知られた存在になっていた」ということ。
「何だ、そんな当たり前のことか」と言われるかもしれないが、そのことが最大にして一番の、亀田家が他のボクサーより圧倒的に知られている要因であろう。

これを逆説的に考えると、もはや現在は「『世界チャンピオンになったから、みんなに知られる存在になる』という時代ではない」と言えるだろう。
「世界王者になることで、人生が変わる」劇的性に惹かれてボクシングファンになった身としては、あまり言いたくないことだが、正直「今」はそれが現実である。
もっと言うと、防衛回数を重ねることで、多少の知名度は上がるかもしれないが、そのことすらも、知名度を上げることを保証するものではない。
さらに言えば、「海外のビッグネームと対戦し、勝つ」ことですらも、日本のボクシングファン、あるいは海外のボクシングファンの評価を上げることにはつながったとしても、日本の一般的な層に知ってもらう特効薬ではない、というのが2013年のボクシング界が置かれている状況だと思う。

つまり、広く一般に知ってもらうボクサーになるには、「世界王座に挑戦するまでに、どれだけ知名度を上げられるか」が、もの凄く重要になる。

自分がボクシングを本格的に見るようになったのは90年ぐらいから。当時は、渡辺雄二のKO勝ちがスポーツ新聞の一面になるぐらい、まだボクシングが今よりはフォーカスされていた時代だった。
そうしたなか、全国的な知名度があったといっていい、辰吉鬼塚畑山(前記の2人とは少し時代が違うが)といったボクサーは、世界戦前から、ボクシング雑誌はもとより、スポーツ誌、さらには一般誌での露出もあったという記憶がある。
さらに、ゴールデンタイムとは行かないまでも、世界戦ではない試合で、休日午後という時間帯での試合中継もあった。

しかし、いまや世界チャンピオン候補の土台を知る地上波の深夜中継すら、ほとんど無くなった。
TBSの「ガッツファイティング」が99年に休止。テレビ朝日の「エキサイトボクシング」も2001年ぐらいから縮小、そして休止。
さらに、2009年3月で、日本テレビの「ダイナミックグローブ」が地上波放映終了。
現在、地上波での定期的なボクシング中継は、フジテレビの「ダイヤモンドグローブ」のみ(しかも、ダブルメインの興行が多いため、試合が一部カットされることも多い)。
有料のCS放送では、日テレジータスの「ダイナミックグローブ」、さきの「ダイヤモンドグローブ」の完全版(フジテレビNEXT)、またスカイ-Aでのボクシング中継などがあるが、数日遅れの録画中継であることも多く、ボクシングファンですら、リアルタイムで日本ボクシングの試合を見ることが難しい状況である。
そうした現状からすると、次の世界王者候補として期待される岩佐亮佑、金子大樹といったボクサーたちも、「世界戦前に知名度を上げておく」というハードルをクリアできる可能性は相当低い。

そうしたなか、現在、「世界戦前の知名度アップ」に精力的に取り組んでいるのが、8月25日に日本ライトフライ級王座に挑戦する井上尚弥である。
前回の試合は、村田諒太のプロテストとのセットでのゴールデンタイム放映(フジテレビ)だったが、視聴率は6.9%。
それでも、次戦は再びゴールデンタイムで中継されるとのこと(村田のプロデビュー戦とともに)。前回と違い、日曜日の放送ということで、平日のその時間帯にはテレビを見られないスポーツ好きのサラリーマンを取り込める可能性はあるが、一方で他局に高視聴率番組がある時間帯でもあり、現在の「ボクシング」に対する一般の評価がわかる一戦でもある。
ただ言えるのは、今回の井上尚弥のように、多少強引なぐらいのプロモーション(できれば、それは選手の実力ありきものであってほしいが)をしないと、一般層に有力ボクサーの認知を広げていくのは難しいであろうということである。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

ここで、少し話の方向を変えさせてもらいたい。

なぜ、ボクシングファンは、ボクシングに惹かれるのか?
そう考えたときに、浮かんできたものが3つある。

刹那性」と「生き様」と「格好良さ」。

「刹那性」というのは、数あるスポーツのなかでも、特にボクシングにおいて強く感じる要素である。
これは、辰吉が言っていたように記憶している(もしかしたら違うかもしれないが)のだが、「ボクサーは、一度、試合でリングに上がったら、次にリングを降りるときは、全く違う世界になっている」。
つまり、勝つか負けるかで、その先に広がる世界が180度違う。このことは、ボクシングの刹那性を最も表しているように思える。

「生き様」は、まさにその言葉のとおり。
グローブこそ着けているものの、文字通り自身の肉体と精神だけが頼りである戦う姿は、シンプルであるがゆえに、そのボクサーの辿ってきた人生や背負っているものを、そのまま体現しているように感じる。
それぞれのボクサーのバックボーンなどを知ると、なおさら、そのボクシングに「生き様」を色濃く投影して見てしまう。

「格好良さ」に関しては、もちろんKOやカウンターといった繰り出されるパンチ自体にも感じるが、何よりも二つの「赤の拳」が繰り出されるその姿に、他のスポーツには無い何とも言えない「美」を感じる(ただ最近は、残念ながら両者が赤のグローブというケースは無くなってしまったが)。

ただ、ここで挙げた3つの要素のうち、最初の「刹那性」は、ドライかつシステマチックになりつつある世の中で、以前より共感を覚える人は少なくなっているようにも思える。
また、3つめに挙げたボクシングの「格好良さ」も、それぞれの好みが多様化し、ともするとK-1などの格闘技の方に目が慣れている人にとっては、すぐには感情移入できないかもしれない。

そうなると、多くの人の心を揺さぶる可能性があるのは、「生き様」の部分。要は「その試合を見るまでに、いかにそのボクサーのことを知ってもらえるか」。

1ヶ月半ぐらい前、フジテレビが、さきの井上尚弥について特集したスポーツドキュメント(「グラジオラスの轍」)を深夜に放送していた。
井上のコメントとともに、そのトレーナーでもある父親や母親などについても取り上げ、井上一家のここまで歩んできた道のりが詳しくわかる内容であった。
さらに同番組では、井上の次戦の対戦相手である現王者・田口良一についても紹介。短い時間ながら、これまでほとんど知らなかったそのバックボーンについて知ることができた。
そこで改めて思ったのは、ボクシングというのは、レベルの高低関係無く、「そのボクサーのバックボーンを知れば、ものすごい『情』を持って見ることができるスポーツである」ということ(思えば、昔のボクシングマガジンで一番楽しみしていたのは、ボクシングライター加茂佳子氏の記事だった)。

ここでもう一度、亀田家の話に戻る。

なぜ亀田家の試合を、多くの人が見るのか?
それは、勝ちが保証されたその姿を「生き様」と言いたくはないが、少なくともその「生きてきた過程」を、視聴者が知っているからではないか。
要は、レベルが高い云々で見ているのではなく、亀田というボクサーが、その家族構成も含め「知っている存在」だから見るのである。

そういう意味で、改めて「世界戦前の露出がいかに大事か」ということになるのだが、かといって、どのボクサーも、井上尚弥のようにテレビ局の強力なバックアップが受けられるわけではない。
前述のように、「1ボクサー1テレビ局体制」も、露出を妨げる要因になっている。
そうしたなかで、できることは何だろうか?

おそらく「どうやってボクシング人気を上げていくか」については、すでに関係者の人たちが考え続けているテーマであると思われ、そんなに簡単に名案は浮かばないのだが、一つキーワードになると思ったのが、「一極統括」。

例えば、さきにボクシングの場合、どうしても1つのテレビ局の露出に制限されてしまうと書いたが、であれば、日本プロボクシング協会が協力するような形で、この1ヶ月のボクシング界の動向を紹介するような番組を作るといったことはできないか。
もちろん、その局以外のテレビ局が映像を貸し出すかどうかはわからないが、最近はテレビ放映自体がないタイトル戦も多く、意外と局の縛りにとらわれず映像を使える試合も多いと思われる(それらの試合は簡易映像のような形で録画するなどして)。可能ならば、その選手の事前取材なども織り交ぜれば、さらに「情」が入って試合を見ることができると思う。

テレビ番組制作のハードルが高い(CS放送も含め)ならば、ネット放送という手もあるかもしれない(テレビより周知度は落ちるが)。
「Boxers TV!」などといったタイトルで、各ジムの有力選手の紹介とその試合の様子、また識者による初心者にもわかりやすい解説などを盛り込んでもいいだろう。
さらに言えば、現在、日本プロボクシング協会のホームページには日本ランキングすら載っていないが、例えば、日本ランキングを掲載したうえで、その選手名に自身の紹介動画をリンクさせるという周知方法もあるかもしれない。
とにかく、今のボクシング界に圧倒的に足りないのは、一般層に対しての情報の発信力(各ジムやボクサー、またボクシングファンによる情報発信はあるが)である。

情報の少なさに加え、選手の知名度に比べると高額なチケット代(自分はボクシングファン以外の知り合いと一緒に見に行くことが多いが、後楽園ホールでの日本(あるいは東洋太平洋)タイトルマッチの場合で、一番安い指定席が5000円あるいは6000円という値段設定は、おいそれとは誘えない金額である)など、ボクシングファンが思っている以上に、一般層のボクシングに対するハードルは高いと思う。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

もはや、亀田かアンチ亀田かという議論をしている時期は過ぎたのではないか(ルールを破った場合の処罰は必要だが)。
世界王者の数がボクシング人気に比例しないことがハッキリした今、ボクシング協会、各ジムの関係者、さらにはファンも含めて、ボクシング、またボクサーの素晴らしさを伝えるために、どういう手を打ったらよいか、具体的な策を講じていくべき時期に来ていると、強く感じる。


by momiageyokohama | 2013-08-05 23:52 | ボクシング | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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