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「プロの球団としてのプライドを見せられるか」 - 横浜DeNAベイスターズ 2013シーズン プレビュー -

この日曜日でオープン戦全日程が終了。
いよいよ、2013ペナントシーズン開幕まで、あと5日となりました。
そんななかで、今回クローズアップするのは、横浜DeNAベイスターズ

2010年の年末に「来年最下位だったらファンを辞める」と決めましたが、結果2011年も、4年連続の最下位に終わったことを受け、昨年はファンという立場を捨てて、その試合ぶりを見ていました。

正直、監督は変わったものの、試合を見る限りでは、「勝利からの逆算」を考えていると思えない試合が数多くありました(これは監督だけの責任ではなく、選手の意識にも大きな問題があるのではと推測されるところですが)。
ただ、ペナント終了後、中日から実績ある選手3人を獲得するなど、その成否はともかく、フロントの「本腰」を感じた、このオフ。
池田純社長も、テレビ(「桑田式スポーツK営学(BS JAPAN)」)で、「正直、初年度は球団を買収したばかりで戦力のことまで手がまわらなかった」と語っており、そうした意味では、今年が本当の意味で「横浜は、変わるのか、それとも変わらないのか」が見えてくる一年だと言えるでしょう。

そんな横浜のここ5年の成績は、下記のとおりです。

 2008年 48勝94敗2分 .338 (5位 ヤクルト 66勝74敗4分 .471 ゲーム差 19.0)
 2009年 51勝93敗0分 .354 (5位 広島 65勝75敗4分 .464 ゲーム差16.0)
 2010年 48勝95敗1分 .336 (5位 広島 58勝84敗2分 .408 ゲーム差10.5)
 2011年 47勝86敗11分 .353 (5位 広島 60勝76敗8分 .441 ゲーム差11.5)
 2012年 46勝85敗13分 .351 (5位 阪神 55勝75敗14分 .423 ゲーム差9.5)

 ※小数点以下で表示している数字は勝率。ゲーム差は横浜とのゲーム差

2011年・2012年は、3時間半の時間制限ルールがあったため、引き分けが多くなっていますが、総じて、横浜の勝利数は50勝弱で推移しています。
一方、5位の勝利数は、60勝強といったところ。また、ここでは挙げませんでしたが、プレーオフ圏内となる3位の、ここ5年間の勝利数は、大体70勝以上です。
これらの数字を見ると、5位になるには、昨シーズンより12~14勝程度の上積みが、さらに3位となるには22~24勝程度の上積みが必要です。

そういった上積みが果たして可能なのか?
正直言って、かなり厳しいと思います。特に、プレーオフとなる20勝以上の上積みに関しては、実際に球場で「来年、クライマックスに出らなければ、私はクビです!」という中畑監督の発言を聞いた身としてはあまり言いたくはないですが、その可能性は相当小さいでしょう。

こうした予想をせざるを得ない大きな理由が「先発投手の未整備」です。
この点に関しては、中畑監督やフロントからも「先発の補強がうまくいっていない」旨の発言がキャンプ前からすでに出ており、球団としても認識はしていることは伺えます。
実際、結果的にはソフトバンクに入団したパディーヤ、またトレードでのソフトバンク・大場の獲得、さらには松坂の入団の可能性などが報道されはしましたが、結局、確実に勝利が計算できる先発投手の獲得はソトだけでした(しかも、そのソトも過去2年間の成績は5勝と4勝)。
では、そんな投手陣から、具体的に陣容を見ていきたいと思います。

投手陣
このオープン戦では、最初の方と終盤とで、投手の役割分担が変わっているので、まだ流動的な部分もありますが、大方予想されるのは、下記のようなところでしょうか。

 〔先発1〕 高崎(7)
 〔先発2〕 三浦(9)
 〔先発3〕 国吉(4)/三嶋
 〔先発4〕 藤井(7)/小杉(1)
 〔先発5〕 ソト(4)/鄭(0)
 〔先発6〕 加賀美(3)/井納

 (中継ぎ・右) 加賀
 (中継ぎ・右) 藤江/菊池/吉川
 (中継ぎ・左) 林/神内
 (中継ぎ・右(左)) 小林太 or 大原慎/篠原/佐藤
 (セットアッパー) ソーサ
 (抑え) 山口

※先発陣の( )内の数は、昨年の勝ち星。太字は、ある程度計算が立つ投手。

「/」で記したのは、大体2人ないしは3人でそのポジションを賄うという意味です。なお、開幕時は、試合終盤での登板が想定される三嶋ですが、将来的には圧倒的に足りない先発の方がよいのではと思い、この形にしました。
なお、この記事を書いている時点では、高崎が打球直撃で、また国吉、加賀美は不調で二軍ということで、開幕からかなり厳しい状況下でのスタートとなります。

上記で挙げた先発予想投手陣の、昨年の合計勝利数は35。リリーフ陣で15~20勝ぐらいの勝ち星の上積みがあったとしても、5位ラインの60勝強には、あと10勝近く必要(三浦・藤井が昨年より大きく勝ち星を下げた場合は、さらにプラスで)。また、プレーオフラインまで到達するには、あと20勝近くが必要です。
そうなると、国吉・加賀美・三嶋・井納・鄭あたりの昨年からの勝利の上積み(後者の3投手は今年からの加入ですが)が、その数字に達するかどうかで、順位が決まるかもしれません。


野手陣
次に、補強により、一見、選手層が上がったかのように見える野手陣。
開幕時のオーダーは、下記のような形でしょうか。

 1 石 川 (遊)
 2 内 村 (二)
 3 モーガン (右)
 4 ブランコ (一)
 5 ラミレス (左)
 6 中村紀(筒香)(三)
 7 荒 波 (中)
 8 高 城 (捕)

 (その他・内野手) 渡辺直 山崎 梶谷 後藤 (白崎)
 (その他・外野手) 多村 金城 小池 松本 (森本) (下園)
 (その他・捕手) 鶴岡 靍岡 (黒羽根) (細山田) 

このなかで、なんといっても現時点で一番心配なのがモーガン。オープン戦序盤から起用されていますが、打率は.152。途中からはクリーンアップで出場していますが、打点はおろかヒットの期待すらも薄いのが現状です。
先日20日の楽天戦(横浜スタジアム)は実際に球場で見たのですが、三塁側内野席からそのバッティングフォームを見たところ、上半身が一度ピッチャーの方に突っ込んで、そこからまたバックスイングに入るのが気になりました。そのため、内角の速い球にはほとんど間に合わずに凡退を繰り返す結果に。
最終打席で若干修正されてはいましたが、それを除くほぼ全打席でこの癖が出ていたので、それが修正されない限り、シーズンに入っても成績を上げるのは厳しいという印象です。
また、キャンプで見たときも思ったのですが、肩は正直、弱肩。レフトの守備にもウイークポイントを抱える横浜DeNAとしては、かなり外野守備にハンデがある状態となり、特にナゴヤドームと甲子園では走られ放題になる危険性もあります。

こうしたことを考えると、そのキャラクターを考えると先発に定着してほしいモーガンではありますが、多村・小池、さらには松本の方を先発に使った方がベターかもしれません。
その場合は、荒波を3番に上げ、1・2・3番の俊足トリオでかきまわすというオーダーという策もあると思います(ライトを守る選手を7番に)。

もう一つ心配なのが、ショートを守る石川の守備。
二年ぶりのショート復帰ですが、さきの楽天のオープン戦でも、キャッチングにおけるハンドリングにまだぎこちなさを感じましたし、一塁送球でのステップの多さも改善されていませんでした。
統一球時代になり、ロースコアのゲームが多いなか、このままの守備力では、石川の守備で落とす試合も出てくると思います。

また、打線全体に言えることですが、横浜に長年欠如している「無駄なアウトを極力少なくする」という意識は、このオープン戦でもあまり感じられることはありませんでした。
ヤクルトのように、フォアボールのランナーがいつの間にか三塁に進んで、結果1点をもぎとる(ex. 昨年9/16のDeNA戦(神宮):7回裏に、ユウイチ 四球→中村 バント→宮出 二ゴロで2死三塁。そこから雄平が篠原の外角への変化球を三遊間に転がす内野安打で決勝点)ような得点への執念は、まだあまり見えません。
オープン戦ではホームラン数が12球団トップでしたが、シーズンに入ると、ホームラン数の増加はそのまま勝利数に比例するものとはならないでしょう。
ブランコが加わったとはいえ、元々弱いチームが個々の力に頼るだけの方策で勝てるほど、プロ野球は甘くないのではと思います。


以上、横浜DeNAの投・打について見てきました。
一番のウイークポイントである「先発投手」に関しては、もしかしたら、トレード期限内での補強もあるかもしれません(というか、まだその可能性を模索すべきではないかと思います)が、今いる選手の底上げが無いことには、プレーオフはおろか、5位すら遠い夢でしょう。
それでも、2013年は、横浜DeNAの選手たちが「プロの野球選手である」というプライドを持っているということを信じて、自身が応援するチームとして「横浜DeNAベイスターズ」を見ていきたいと思います。

最後に、まさかこのことを忘れている選手はいないと思いますが、昨年、自身の引退試合で、阪神・金本選手が横浜DeNAナインに向けて放った言葉を、改めて記させてもらいます。

「DeNAベイスターズは今年、中畑新監督を迎え、チームの雰囲気もガラッと変わり、常に注目されるチームになりました。
しかし、一番目立っているのは監督でした。選手の皆さん、選手より監督が目立つようではダメだと思います。監督より選手が目立つことを、中畑監督も望んでることと思います。
来年ベイスターズが優勝争いをするようなことになると、一番日本で注目されるチームになると思います。
日本球界のためにも、何とか来年、意地を見せて優勝争い、期待しています。
by momiageyokohama | 2013-03-25 00:52 | 横浜ベイスターズ | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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