ボクシング界 2012から2013へ
2013年 01月 16日
その前に、簡単ながら、大晦日5タイトルマッチの感想を。
■WBA世界ミニマム級(47.61kg)王座決定戦
宮崎 亮 vs ポンサワン・ポームラムック (タイ)
5試合のなかでは一番早く放送された試合。宮崎の戦績(20戦17勝(10KO)3分け。東洋太平洋(ライトフライ級)のタイトルも獲得)、またポンサワンが八重樫戦でも見られたように防御が堅い選手ではないということを考えると、宮崎に十分にタイトル獲得のチャンスがあると思われた試合。一番の心配点は宮崎の減量だったが、無事クリアし、いざ試合へ。
とにかく前に出続けるポンサワンに押されることなく、宮崎がところどころでパンチを当てていく展開。試合中盤を過ぎても、パンチによる痛みを感じないのではないかというほど前進し続けるポンサワンの両腕の隙間を縫って、パンチを放ち続ける宮崎。若干、宮崎のポイントが上回っているかなというなか、試合は終盤に入り、迎えた11R、ついに宮崎のパンチでポンサワンの動きが止まる。
ポンサワンの途方も無い打たれ強さもあって、KOで仕留めることこそできなかったが、12R戦い抜いた宮崎が、涙の載冠。
判定が2-1だったことには、ボクシング判定の怖さ(正直、客観的に見てポンサワンの勝ちは無かったと思う)を感じたが、とにかく、タフ過ぎる相手と戦い続けてのチャンピオン獲得は立派。
今後については、元々の階級から1階級落としての王座ということもあり、やはり減量は心配。ミニマム級にそれほど魅力的な相手がいないということを考えると、早い段階での王座返上、階級アップの可能性もあり得るか。もしかしたら、今年の年末あたり、ゴールデンボーイ井上尚弥との世界戦もある?
■WBA世界ライトフライ級(48.97kg)王座決定戦
井岡一翔 vs ホセ・ロドリゲス (メキシコ)
王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)のスーパー王座格上げに伴い、王座決定戦となったこの試合。井岡の2階級制覇をアシストするためのゴンザレス昇格と言われても仕方のない今回の試合決定の経緯ではあったが、対するホセ・ロドリゲスも29戦28勝(17KO)1敗、直前まで世界3位であった選手。決して侮れる選手ではないだろうという思いで見始めたこの一戦。
しかし、1R 1分50秒、井岡の右アッパーから左レバーへのボディブローで、早くもロドリゲスはキャンパスに転がされることになる。
「昨年の再現か」と思わせたが、その後は、ロドリゲスが慎重になり、井岡も深追いはせず。しかし、ラウンドを重ねるにつれ、テレビの画面からも、その表情から井岡のパンチに怯えていることがわかるロドリゲス。
そして6R、ロドリゲスを2度キャンパスに沈めた井岡。まさに圧勝。初めてボクシングを見た人にも十分な説得力を持つ内容での勝利に、やはり日本のチャンピオンのなかでも別格であるということを再認識させられた試合だった。
となると、どうしても期待してしまうのが、同級のスーパー王者、ローマン・ゴンサレスとの対戦。34戦34勝(28KO)という今のところパーフェクトな王者は、井岡にとって、今までの相手と比べて遥かに高い所に位置するチャンピオンではあるが、ぜひ拳を交えてほしい。過去、新井田豊、高山勝成と2人の日本人と世界タイトルを戦ったゴンザレスだが、高山は大差判定負けながら12R戦い切っている。
井岡にとっては危険過ぎる相手であることは間違いないが、ここでこの一戦を避けることは、この試合に負けることより、ボクシングファンの信頼を失くすことになるのではないか。ぜひ、実現を。
■WBA世界スーパーフライ級(52.16kg)タイトルマッチ
テーパリット・ゴーキャットジム (タイ) vs 河野公平
正直、5試合のなかで、事前の注目度は一番低かった試合。河野選手には失礼だが、(東京での)トリプル世界戦と言っても、この試合に関しては、テーパリットのほぼ一方的な攻勢で終わると思っていたボクシングファンが大多数ではなかったか。
試合が決まった時点で、河野のランクは10位。過去二度の世界挑戦失敗に加え、2011年は、のちに赤穂亮に敗れた戸部洋平にも判定で負けている状況。
一方のテーパリットが、河野に勝っている名城信男、そして清水智信(9回KO勝ち)、亀田大毅(最大9ポイント差の判定勝ち)と、過去3人の日本人相手を下していることを考えても、河野の勝ちはおろか、善戦すら厳しいと思っていたのだが…。
序盤の戦いはテーパリット優勢と思われたなか迎えた4R、河野の左フックがカウンターでテーパリットの顔面を直撃。
前のめりで崩れ落ちるテーパリット。それでも、何とか立ち上がるテーパリット。ここからは解説で来ていた西岡利晃も坂田健史も大興奮で「行けっ!」「ナイス!」「ウォーッ!」と完全に観客状態(^^)。まさに人生を賭けた河野のラッシュで、テーパリット再びダウン。それでも立ち上がってきたテーパリットをさらに連打で追い詰め、ついに3度目のダウンを奪う。王座奪取!
正直、5つの試合のなかで最も興奮したのは、この瞬間だったかもしれない。
さきの戸部戦を含めて、2010~2011年には3連敗を喫した選手。その選手が1年後に、こんな素晴らしい試合を見せてくれる。ボクシングの「魔力」の一端を見せてくれた試合でもあった。
敗戦数の多い王者ということもあり、次戦のオファーも多数来ているという河野。佐藤洋太との王者同士の一戦の実現の可能性は低そう(時期的にもまだ尚早という気がする)だが、亀田大毅、さらには1階級下げて亀田興毅が挑戦してくるという可能性は十分にあり得るところ。亀田陣営の偏向判定に巻き込まれてしまう状況は回避してほしいが、対戦すること自体はありという気もする(ただ、判定では亀田に勝てないであろうというところが亀田問題の根深いところ)。
■WBC世界スーパーフライ級(52.16kg)タイトルマッチ
佐藤洋太 vs 赤穂 亮
今回の5戦のなかで、最も期待をしていたカード。
「マジシャン」佐藤に対し、「野獣」赤穂がどう襲いかかるのか。
ボクシングをふだんあまり見ない人でも十分に惹きつけられる試合になるのではないかと思って見た一戦だったが、結果的には、最後まで「佐藤の変幻自在のボクシングに、赤穂、成すすべ無し」という展開で終わった(10R、11Rは時間の都合上か、本放送ではカット)。
内容自体は高度な戦いだったと思う。派手な打ち合いは多くはなかったものの、互いの緊張感は見ている側にも伝わってきたし、格闘技を少し見たことがある人であれば、楽しめる試合だったかもしれない。ただ、本当に一般の視聴者を魅了できるところまでは行かなかったか。
とにかく、終始、佐藤洋太が「空間を支配」していた試合だと感じた。その戦いぶりは、まるで「はじめの一歩」で描かれそうなテクニシャンのよう。
次戦はタイの選手との戦いが報道されているが、その自由な発言も含め、非常に魅力的なボクサー(今回の世界戦の試合前紹介VTRは、もう少しスケボーのことを取り上げてほしかったかな)。今後、さらなる「マジック」ぶりを期待したいところ。
■世界スーパーフェザー級(58.97kg)タイトルマッチ
内山高志 vs ブライアン・バスケス(コスタリカ)
放送時間的には、5カードのトリを務める形になった内山の世界戦。
前回の試合は3R負傷ドローという誰もが消化不良に終わった結果だっただけに、内山選手本人、そしてファンともにスッキリとした決着を望むところ。
今回の相手は暫定王者ながら、防衛戦も行い勝利している選手。29戦全勝(15KO)という戦績も相まって、苦戦する可能性もあるかもと思った。そんななか、試合前の紹介VTRを見た感じでは、調整中の段階とはいえ若干腹まわりが緩かったため、そこが狙い目かもしれないと感じた。
いざ試合が始まると、序盤は、前回のファレナス戦よりも動きがいいように見える内山。バスケスもなかなかパンチが強そうで、油断はできないものの、毎ラウンド、内山のパンチの方が的確に当たっているように見えた(一方で、バスケスの打たれ強さも垣間見えた)。判定で考えればほぼ内山が獲ったであろうラウンドが続くなか、「それでも、やはりバスケスの一発はまだ怖い」と思って見ていた8R、内山のアッパー気味の左フックでバスケスの動きが止まる。そこからは、内山の「回転の速い強打」がバスケスを襲い、フィニッシュへ。1年ぶりに「強い内山」を見せてくれた。
チャンピオンとなってから3年、防衛回数も6度となり、さらにスケールの大きいチャンピオンへの期待も高まる内山。
その相手として打ってつけともいえるのが、同級のWBA暫定王者となったユリオルキス・ガンボア(キューバ)。オリンピックの金メダリストでもあり、元WBA・IBF世界フェザー級統一王者でもあり、22戦全勝(16KO)というパーフェクトレコードを持つ全階級を通じてもトップクラスの強豪との一戦は、さきの西岡vsドネア戦に続き、日本のボクシングファンが望むカードだが、果たして実現はあるか。
というか、是非とも実現してほしい。
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簡単に感想を書くつもりが、ついつい熱くなってしまい、長々と大晦日の5戦について書いてしまいました(^^)。
今年のボクシング界に期待することについては、また次回に。



























