日本人に知ってもらいたい、三大 2012年 日本人ボクサーの激戦
2012年 11月 30日
今年、日本人ボクサーが絡んだ試合のなかでもトピックとなり得る3つの試合を紹介したいと思います。
1. 2012年11月24日
WBC世界ライト級王座挑戦者決定戦
(同級1位) 荒川仁人 vs (同級2位) ダニエル・ エストラーダ 〔メキシコシティ〕
1試合目は、つい先週行われた試合。
荒川仁人(にひと)のこの試合前までの戦績は、25戦23勝(15KO)1敗1分け。一昨年、日本タイトルを獲得。昨年10月には東洋太平洋ライト級のベルトも獲得し、今年の8月にはWBCライト級1位にランクされました。ライト級(61.23kg)ぐらいになると、世界でもだいぶ層が厚くなってくるので、世界挑戦自体がなかなか難しくなってくる階級。しかし、今回ランキング1位になったことで、「世界王座挑戦」も現実味を帯びてきたところで組まれたのが、今回のカードでした。
ただし、試合が行われたのは相手エストラーダの地元メキシコ。アウェーということで、判定の不利も予想されるところでしたが、それでも世界挑戦の可能性に賭け、荒川陣営は敵地へ。
実はこの試合は、世界タイトル戦でもないこともあり、日本で映像を手に入れる手段はほとんど無く、ブログなどで、その結果を待つのみでした。そして、伝えらてきた結果は「荒川の判定負け」…。
しかし、いくつかその試合の詳細を伝えてくれたニュースソースを見ると、その“判定”は相当に不可解なものであったようです。
試合中盤の5R、荒川のパンチによる相手の目のダメージがバッティングとみなされ、荒川のポイントから減点1。さらに8R、エストラーダの右目が荒川のパンチにより塞がってきたところで、ラウンド終了後、レフェリーがエストラーダの疲労回復をはかる目的ともとれる1分以上の休憩をとる措置。それでも、10R、エストラーダをグロッキー状態にまで追い詰める荒川。しかし、続く11Rが始まったところで、レフェリーが試合をストップ。そこまでの判定で決着をつけることとなり、勝利者コールを受けたのはエストラーダ。これには、エストラーダの地元である観客からもブーイングが起こったようです。
(他ブログでの試合レビューについては、こちら→1、2、3)
デビューから8年、コツコツ積み上げて、ようやく手にしようかという世界挑戦の切符を、露骨なまでの地元判定で取り上げられる形になった荒川選手。なんとも残念です。なお、今回の判定について、荒川陣営は12月2日からのWBC総会に見直しと再戦要求を出す模様。
今回の試合は、タイトル自体がかかった試合ではなかったので、一般紙に載ることはなく、スポーツ紙での扱いも小さなものでした。荒川選手自身も、戦績こそ素晴らしいものを残していますが、決して派手なボクサーではありません。
ただ、その強打と童顔、そして朴訥そうな人柄とのギャップが非常に魅力的なボクサー。
そんな世界を目指す一人の日本人ボクサーが、敵地という絶対的不利な状況のなか、それでも自分の肉体と人生を賭けて戦っているということを、少しでも多くの人に知ってもらいたいと思い、この試合を1番目に挙げました。
2. 2012年11月3日
WBC世界バンタム級タイトルマッチ
(王者) 山中慎介 vs トマス・ロハス(メキシコ) 〔仙台・ゼビオアリーナ〕
昨年11月に世界王座を獲得し、その後、初防衛戦では世界的強豪と言われるビック・ダルチニャンを、判定ながらも内容的には完勝の形で破った山中慎介の2度目の防衛戦。
山中は、ここまでの戦績が18戦16勝(11KO)2分けという無敗のボクサー。しかも、ダルチニャン戦前まで9連続KOという、試合内容でも魅せられる選手。特に、その左ストレートの破壊力は凄いものがあるのですが、この試合の相手となったロハスも、スーパー・フライ級の王座に輝いたこともある元世界王者。過去に、世界戦で河野公平、名城信男と2人の日本人ボクサーも破っており、決して弱い相手ではありませんでした。
いざ試合が始まると、ロハスはやはり戦い慣れたボクサーらしく、細かい動きを織り交ぜながら独特の角度からパンチを放つ、相手にとってやりにくいだろうと思われるボクシングスタイル。
しかし、その動きに冷静に対処した山中が、試合が進むにつれ徐々にロハスにパンチをヒットしていきます。そんなに当たっているようにも見えないにもかかわらず、だんだんと腫れが目立ってくるロハスの顔。6Rには、あわやダウンというシーンも。
そして迎えた7R。山中が、左ストレート → 右アッパー → 左ストレートを立て続けにロハスにヒット。この3発目で、ロハスの体は真下に倒れました。「紐が切れた操り人形」というたとえがありますが、まさにそのものという光景。しかも、KOした山中の表情は、「仕事をやり終えた」とでもいうような、いたって普通の表情。
ここまで鮮やかなKOシーンは、過去の世界戦を振り返ってもそうはないでしょう。
(映像はこちら)
この試合は、WOWOWで無料放映されました。無料なのでBSが映れば誰でも視聴できる状況ではあったのですが、ボクシングファン以外で、当日チャンネルを合わせた人は、正直少なかったと思います。
この日本ボクシング史でも相当なインパクトがあるKO劇を、多くの人が知らないのはなんとも残念ではありますが、今後もまだまだ強くなっていく可能性を秘めている山中選手。その“試合内容”で十二分にファンを満足させられる稀有なこのボクサーを、ぜひ一人でも多くの人に知ってもらいたいですね。
3. 2012年12月31日
WBC世界スーパー・フライ級タイトルマッチ
(王者) 佐藤洋太 vs 赤穂亮 〔東京・大田区総合体育館〕
最後の試合は、まだ行われていない試合です。
今年の大晦日。テレビ東京で放送される、トリプル世界戦のうちの1カード。
王者は、今年3月に世界王座をタイトルを獲得し、7月の初防衛戦ではランキング1位の相手を、軽快なアウトボクシングで、ほとんど相手のパンチをもらわず危なげない内容で制した佐藤洋太。
対する挑戦者の赤穂は、スーパーフライ級の東洋太平洋王者。眉毛の角度は45度(^^)で、赤鬼を思わせるような風貌。その戦いぶりも、まさに野獣のように相手に襲いかかるボクシングスタイルで、今年の8月には若手のホープ、戸部洋平をその“圧”で圧倒してのKO勝利。自分自身でも「ケンカの延長」と言ってしまうボクシングスタイルですが、運動神経の塊とでもいうパンチのよけ方も含めて、なんとも魅力的なボクサーです。
なお、ここまでの戦績は、佐藤が28戦25勝(12KO)2敗1分け。赤穂が20戦18勝(11KO)2分けで無敗。
果たして、このボクシングスタイルの全く異なる2人が戦うことで、いったいどんな化学反応が起こるのか。
ものすごく噛み合わない試合になる危険性もちょっとありますが(^^)、どちらも自分のスタイルを極めつつあるボクサーだけに、「今まで見たこともないようなものが見られるかもしれない」という期待の方が大きいです。
裏では紅白とか、「笑ってはいけない」とかがやっている時間帯ではありますが、ぜひぜひ、こちらも一人でも多くの人に目撃してほしい試合です。
そのほかにも、佐藤vs赤穂戦と同日同会場で行われる“ノックアウト・ダイナマイト”内山高志の6度目の防衛戦。大番狂わせとなった、日本ミドル級タイトルマッチ、湯場忠志vs佐々木左之介戦など、まだまだ心揺さぶられる(であろう)カードはたくさんあるのですが、そのあたりはまた次の機会に。
追記:先日引退を表明した西岡選手については、またいろいろと自分の考えがまとまったところで書こうと思います。



























