「キヨシの大演説」に何を思う
2012年 10月 10日
いろいろなものが詰まった試合でもあり、浜スタへ観戦に行って来ました。
球場は、横浜側、広島側ともに、内野指定SS席をのぞくと、ほぼ満員状態。
奇しくも、石井琢朗の本当の現役ラストゲームとなったこの試合。
最後の「一番、ショート、石井琢朗」。
今回はそのことについて書くつもりだったのですが、試合後の中畑監督の挨拶を聞いて、予定を変更することに…。
この日の試合自体は、終盤、藤江が押し出し連発後、広瀬に満塁弾を浴びるなど大炎上。打線も、前田健太の前に1得点のみに抑えられ、横浜の完敗。
試合後は、まず、この日5打席立った石井琢朗が、球場を一周し、ファンへ最後の挨拶(試合前には、三浦、金城から花束が送られました)。ベンチに戻った石井が泣きながら野村監督と抱き合っていたのが印象的でした。
続いて、同じくこの日が現役最後となった新沼が、15年間の選手生活を締めくくり、ファンへ向けて感謝の言葉を。
そして、本拠地最終戦のセレモニーが行われました。
まず、監督挨拶の前に、今シーズンを振り返る映像がオーロラビジョンに。
普通はこうした場合、今季の名場面が流れるもの。この日の浜スタも、最初は、キャンプでの監督への注目、中畑監督初勝利となった阪神戦と、「陽」の部分にスポットを当てた作りでした。
しかし、その後は「明るい未来が待っている……はずだった。」と、まさかの自虐的構成。マエケンにノーヒットノーランをやられた試合を流したり、やたらと「5位」の重みを強調した作りだったり(しかも、今年もその5位にも遠く及ばなかった)と、若干「ポイントがズレているのでは(あえて?)」と思うようなVTR。
東京ドームで気勢をあげるベンチの様子を織り交ぜるも、「あれっ。今シーズン、結局、東京ドームで勝てなかったんだよなあ」と、方々にツッコミどころのある内容で、整列した選手は針のむしろに立たされている気分なのでは、と思ってしまいました(客席は、半ば「もう笑うしかないよなあ」といった反応)。
そして、ある意味、温まった雰囲気のなかで、紹介された中畑監督の挨拶。
その正味4分半ほどの挨拶(演説)には、「今までこんなに面白い挨拶があっただろうか」と思えるほど、笑わしてもらいました。
まずは「この横浜スタジアムに、日本で一番弱い、12球団最下位のベイスターズの試合に…」というつかみがあって、「これだけのお客さんで満員になって最終戦を迎えられたことを心から御礼申し上げます」と観客全員に感謝。
続いて、「広島カープの応援団の皆さん、石井琢朗に最高の思い出を作ってくれてありがとうございました!」と、広島ファンに感謝。
「そして、わがDeNAベイスターズファンの皆さん!」と、今度は横浜ファンへ語りかけ。
「新沼慎二。」と、石井選手と同じくファンに感謝するのかと思いきや、ひと呼吸置いて
「大した選手じゃありません!」と、まさかのぶっちゃけ(それを言っちゃあ…)。
しかし、それを次いで「…にもかかわらず、これだけの熱い声援を送り、彼の家族に熱い思い出を作ってくれてありがとうございました!」と、ちょっと形を変えたファンへの感謝の弁を(この発言を新沼選手がどうとるかは、中畑監督と新沼選手の野球人としての絆がどこまであるかによるでしょう)。
続いてシーズンを振り返りますが、今度は「マエケンのノーヒットノーランでスタートした今シーズンでした」と、さきほど流れたVTRをなぞり、「そしてまた、今日はまた完投を許し、また敗北を味わいました」と、さらに自分たちの傷に塩を塗っていきます(^^)。
そして、「この敗北は…、わがDeNAベイスターズの選手は…、心の傷として忘れることはできません!」と、選手を指差しながら、その悔しい思いを大絶叫。
次に、「いつもいつも負け試合を応援してくれたファンの皆さん、心からお詫び申し上げます。」と帽子をとって陳謝。
さらに「でも、私は毎試合、毎試合感謝しました。それは、毎試合見に来てくれたお客さんが、最後の最後まで、本当に帰らずに応援をし続けてくれたことにです! ありがとうございました!」と再び、横浜ファンに帽子をとって敬礼。
挨拶は、徐々に締めに向かっていきます。
まずは、「もう、DeNAベイスターズの弱さは十分わかりました!」と再び笑いを誘う一言(もちろん、本人は大真面目なのですが)。
「何が足りないのか、何が必要なのか、十分わかっております!」と手振りを交えながら熱弁。
「あとはDeNAフロント、そして現場とともに、最高の、このオフに準備をし…」と、ファンに期待を抱かせ、「来季はファンの皆さん、一緒にクライマックスで戦いましょう!!!」と叫び、球場は最高の盛り上がりに。
「それができなければ、私はクビです!」(あっ、言っちゃった…)と、とどめのオチまでつけ(人差し指を立てて言い放つ姿は、ちょっと江頭にも(^^)))、「それをお約束して御礼の言葉に変えさせていただきます。ありがとうございましたっ!!!」と、見事な締めの挨拶。
あたかも選挙演説でも聞いているかのようだった、中畑監督の挨拶。
バラエティ番組に出しても遜色ないほどで「清の爆笑スピーチ」と言ってもいいぐらいの内容でしたが、見方を変えれば「中畑監督、魂の叫び」と言えたかもしれません。
正直、その発する言葉の強さと、話の構成の見事さには心を動かされました。
中畑監督のファンへの感謝の気持ちも、心からのものでしょう。
ただ、冷静になって考えてみると、毎年、会社が業績不振にもかかわらず、納会の締めの挨拶で、社長が「やれば、なんとかなる!」と根拠も無く叫んで、みんなもなんとなく「来年こそは」という気に。でも、やっぱり次の年も同じ、といったようなダメ会社の姿がだぶったりもします。
今日の甲子園での最終戦も、中畑監督の熱いスピーチの翌日にもかかわわらず、0-3で完封負け。横浜での最終戦も、打たれた藤江だけでなく、筒香、小池あたりのバッティングフォームには全然打てる可能性を感じない、といった試合内容でした。
.338、.354、.336、.353、.351。
これは、各年のリーグの首位打者の打率ではありません。2008年から2012年までの、横浜(DeNA)ベイスターズの勝率です。
2012年の最終成績は、46勝85敗13分け。勝ち星、勝率とも、昨年とほぼ同じ結果に終わりました。
横浜ファンは、この何年、考え得るあらゆる横浜が弱い理由を語り尽くしたでしょう(自分も、去年まではそうでした)。
横浜の大低迷について、どうしても納得が行かないのは、決して条件に恵まれていない球団ではないというところ。一応、野球界はドラフトという制度下で選手の獲得が行われていますし、さらには横浜は逆指名の恩恵を受けなかった球団というわけでもない。
また、今年に関しては、こと野手に関しては、ヤクルト・中日・広島といったところに比べれば、むしろ選手が揃っていた部類でした(自分は、住んでいる場所の関係で、ヤクルトの試合を見に行くことが多いですが、神宮に行くたび、「よくこのメンバーで上位に入っているよなあ」と感じます)。
しかし、内容こそ昨年よりは期待が持てる部分が多少ありましたが、今年も、結果だけ見れば昨年と変わらず。
つなぎの野球を伝えてくれることを期待した森本も、チームへの貢献の意味を教えてくれることを期待した渡辺直人も、「勝つために何をすればいいか」を持ち帰ってくれることを期待した小池も、前球団にいたときに比べて輝きを失ってしまっているように見えます。
また、解説者時代に、横浜のワンプレーワンプレーに苦言を呈していた高木豊ヘッドコーチも、現場に復帰した今年、それらの指摘した点について、実際に内側から変化をもたらした様子は、あまりうかがえませんでした。
正直、これだけ、弱さの根が深くなってくると、外部からではもう伺いしれない、でも「これが原因」というものが、チームの底流にあると思います。それに、首脳陣やフロントが気づいているか、そして、それは変えていける程度のものなのか。
横浜の低迷は、こと1球団だけの問題ではなく、パ・リーグに比べてセ・リーグのペナントが盛り上がらない大きな原因の一つでもあると思います。
昨日の中畑監督の熱弁を受けての、今日の甲子園最終戦の体たらくでは、その「変化」への期待は、とてもとても望み薄ですが、それでも、横浜を信じている人たちのために、横浜DeNAベイスターズには、果たさなければいけない義務があるのではないでしょうか。
同感ですねえ。逆に出ていった石井琢朗は活き活きと…。
根が深いような気がします。
もはや、外部からは、なぜそうなってしまうのかの原因はわかりません(^^)。ただ、チームの内部にいる人たちは、何がその原因かは肌で感じてわかっているはず。
その要因を変えることができるかどうか。それが、横浜が変われるかどうかのすべてのように思います。



























