なぜ、マスコミのWBC監督報道では、梨田監督の名前が挙がらないのか
2012年 10月 01日
先週末は、一部報道で就任が有力とされた秋山監督が、改めて固辞したとの記事が各スポーツ紙に掲載されました。
今までマスコミ報道で主に名前が挙がったのは、山本浩二元監督、落合元監督、そして今回の秋山監督。また、時折、野村克也元監督の名前が挙がるケースもありました。
なお、前回の日本代表監督である原監督は、候補として名前を挙げている記事もありますが、現時点では「マスコミの側が、その就任の可能性に積極的には触れていない」印象があります。
そうした報道のなかで、どうしても解せないのが、梨田元監督(日本ハム・近鉄)の名前がまったく監督候補として報道されないことです。
一時期、日本代表監督の候補の主な条件として挙がっていた
●現役監督でない
●最近まで監督をやっていた
●優勝経験がある
という3つの要素。
これをクリアしている日本人監督は、落合氏と梨田氏だけです(野村氏も上記の条件をクリアしてはいるが、一番最後に優勝をしたのは1997年。そして現在、77歳)。
しかし、ここまでマスコミ報道で梨田氏の名前が挙がったのはほぼ皆無といっていい状態です(9月初旬にWBC参加が決まったときに報道ステーションが名前を挙げたようですが、そのぐらい)。
このことについて、最初に「あれっ?」と思ったのは、WBC参加が決定してしばらくして、Yahoo!で「WBCの監督にふさわしいと思うのは?」というアンケートがとられた際に、その選択肢として、山田久志氏や伊東勤氏の名前があったにもかかわらず、梨田氏の名前が無かった時でした。
確かに、山田氏や伊東氏は前回のWBCでコーチを務めましたが、監督としては必ずしも成功に終わったとは言えない印象。その名前が出てくるのであれば、梨田氏の名前が出てきてもまったくおかしくないのにと感じました(このアンケートの選択肢は、スポニチ、日刊スポーツで挙げられた監督候補によるということではありましたが)。
また、同じようなアンケートをとったNumber webでも、上記の山田氏や伊東氏に加えて桑田真澄元投手の名前まであったにもかかわらず、梨田氏の名前はありませんでした(なお、原監督の名前も無かった)。
これだけ名前が挙がらないということは、もしかすると、オリックスの次期監督の可能性があるからではないかとも思いましたが、岡田監督の退任が決まったあとの後任として挙がっているのは、新井2軍監督、山田久志氏といったあたりで、梨田氏の就任について報道している記事は現時点ではありません。
一方、落合氏→山本浩二氏→秋山監督といった流れでシフトしていったWBC代表監督報道は、結局、秋山監督の固辞ということで停滞状態。
ついには、ヤクルト・小川監督、西武・渡辺監督の名前まで取り沙汰される事態になりましたが、それでもまだ梨田氏の名前は挙がっていません。
WBC監督に必要な条件ということを考え合わせると、これはどうしても不思議に思えて仕方がない状況。推測の域を出ませんが、ここまで来ると、梨田監督をマスコミが候補として挙げない何らかの事情があるとしか思えません。
考えられ得るのは、
1. 梨田氏サイドから名前を挙げないでほしいという要望がある
2. 事情的に、どうしても梨田氏が監督には就けない事項がある
3. 梨田氏を監督候補として挙げないでほしいという、何らかの方面からの圧力がある
4. 実は梨田氏と交渉しているが、まだ現時点ではそうした動きは表面化させたくない
といったあたり。
なお、今回の件に限らず、スポーツに関する報道においては、「現場レベルで周知のことではあるが、ニュースとしては出せない」というものがいくつかあると思います。実際、出さない方がそのスポーツ界にとっても、またファンにとってもいいというケースもあるでしょう。
ただ、ちょっと危惧しているのは、上記で挙げた3が理由で、梨田氏の名前を出さないということが行われているというケース。
もし名前が挙がれば、一気に「一番適任ではないか」となり得る人だけに、そういう方面に持って行きたくない人がいて、そのことがマスコミ報道にも影響を及ぼしているとなると、ファンからすれば、かなり偏向した情報を提示されている状況ということになります。
また、先週の報道のなかでは、スポニチが「秋山監督の就任が決定的」といった記事を出したことがありました。実際にその記事を読んでみると、「(就任を要請する)王特別顧問も、秋山監督が難色を示すのは織り込み済み。しかし、最終的には…」といったように、秋山監督に対し逃げ場を塞ぐような書き方で、その監督就任の可能性に言及していました。そこには「事実を伝える」というより、「誘導」的な側面を色濃く感じてしまいました。
なお、ここまで梨田監督の名前が挙がらないことへの疑念を書いてきましたが、決して「梨田氏を監督にすべき」ということを主張したいために、そのことを言っているわけではありません。
これまで、チームカラーの違う2つの球団で、いずれも優勝を成し遂げており、現在いる野球人のなかでは適任の一人だとは思いますが、日本シリーズでは、一度目は試合巧者のヤクルトに完敗、二度目も、2勝2敗で迎えた第5戦、武田久が亀井に逆転サヨナラ2ラン(※後日訂正:「亀井に同点弾→阿部にサヨナラ弾」の誤り)を打たれたのが響き、ここでも日本一になることはできませんでした。その采配に対する日本ハムファンの評価も、必ずしも肯定的なものばかりではありません。
しかし、今回、その就任を最初から選択肢から外しているマスコミの報道は、明らかに不自然。
そこにマスコミ報道の危険性を感じたがために、今回、この記事を書いています。
思えば、4年前の北京オリンピック。準決勝で韓国に敗れ、3位決定戦でもアメリカに敗れメダルを逃した星野監督への、その後の批判は凄まじいものがありました。
正直、「すべて、星野が悪い」とでもいうようなマスコミによる叩きっぷりには、「怖さ」を覚えました。
それは、一つの要因に責任をおしつける「怖さ」、そしてそのことで「実力が無かったために負けた」という事実を覆い隠してしまう「怖さ」です(当時書いたレビュー(1、2、3))。
それから1ヶ月後、五輪に続き、第2回WBCでも星野監督が指揮を執るという動きがあったなか、今度はイチローの「最強のチームをつくるという一方で、『現役監督から選ぶというのは難しい』では、本気で最強チームをつくろうとしているとは思えない」という発言が各マスコミ機関にて報道されました。この発言が切っ掛けとなり、星野監督の監督継続は消滅しました。
個人的にも「星野監督は交代すべき」と思ってはいましたが、日本球界にとって存在が大きい選手だとはいえ、一人の選手の発言が監督選定の流れを変え、マスコミもそれを積極的に後押しをしたように見えた一連の動きには「危険さ」も感じました。
ネットの普及により、一般の人もいろいろな情報を簡単に手に入れることができるようになりましたが、現場レベルの情報源を持つマスコミの力というものはまだまだ大きいと思います。そこには、ファンがなかなか知り得ない情報を提供するというプラスの要素がある一方で、情報の出し方によっては、「自分たちの持っていきたい方向に流れを持っていける」という危うさも秘めています。
そう考えると、ファンの側も、スポーツマスコミによる報道に対し、ある程度、その精度を選別する眼をもって、情報を取り入れていく必要があるのではないでしょうか。
一方で、スポーツマスコミに属する側の人たちには、「そのスポーツを面白いものにしていく」ということと全く違うベクトルに基づいた誘導記事の提示、そしてミスリードをしないでほしい(もちろん、その媒体の性格上、そうした記事をか書かざるを得ないケースもあるかもしれませんが)。
今回の「梨田監督隠し」とも取れかねない報道っぷりに、そのことを強く感じました。
誰かを選出する為に、或いは逆に誰かを排除する為に恣意的に使われるんじゃないでしょうか。恐らく落合を選ぶ為に条件を“後付け”したんじゃないかと感じますが…。
次のWBCは戦力的には厳しいことになりそうなので、個人的にはベテラン監督に泥をかぶってもらった方がいいのかなと思っています。
自分がブログで挙げた3つの条件は、公式的に発表されていたものというより、スポーツ紙などでの加藤コミッショナーなどの発言にをもとに挙げたものですが、いずれにしても「現役監督」でない場合でも「現場勘のある人」という要素は選定のポイントとされていたと思います。
山本浩二氏が監督を務めたのは2005年までですからね。いくら4年前、五輪でのコーチ経験があるとはいっても、相当、強者のコーチ陣で脇を固めなければ、WBCを勝ち抜くことは難しいように思います。
山本浩二より監督としての力量が上と思われる東尾、伊原、権藤という名前が全く出ないのが「監督としてのブランク」が理由なら私は納得出来ません。
それなら実現性は薄いけど、野村克也に花道を飾ってもらった方がいいですね。ただし、橋上か池山をヘッドコーチ。宮本か稲葉(或いは両方)を選手兼任コーチという条件はつけねばなりませんが。



























