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プロ野球の現在地の再確認

今日、日本プロ野球選手会長である新井貴浩選手が、一時は不参加を表明していた第3回WBCへの参加を表明しました。

日本代表のスポンサー権がある程度認められそうなことと、野球界の将来を考えたときのWBCの持つ影響力という部分が、不参加撤回の大きな理由だと思いますが、野球ファンとしてはひとまずホッとしたというところでしょうか。

スポンサー料配分の他にもまだまだ発展途上段階と思われるWBCですが、個人的に次にクリアしてほしいのは、アメリカ代表に「本気の代表を組んでもらう」といったあたり(前回の第2回大会も辞退者多数。故障離脱した選手もいたため、最後はキャッチャーが外野を守るという場面も)。
また、試合システム面だと、現在発表されている方式では、第1ラウンドの上位2組が第2ラウンドでも同じ組になるため、前回同様、同じチームと3回以上当たってしまう可能性も十分にあったりします(今回の日本の場合は、キューバと複数対戦することが濃厚)。

さて、7月に選手会が不参加を表明してから約2ヶ月の間に、ちょっと野球に対して、個人的な心境の変化が。
正直な話、オリンピックがあったからというわけではないのですが、このところ、自分のなかで野球が占める割合が少なくなっていました。以前は、仕事を除いて考えたとして、55%ぐらいは野球占めていたところが感覚的には40%ぐらいに(別に統計をとったわけではありませんが(^^))。
それに伴って、今までであれば「野球が無いと生きていけない」と思っていたのが、「もしかしたら野球が無くても生きていけるかも?」という感情も。こんなことは今まであまり無かったので、ちょっと自分自身で驚きを感じてしまいました。

小・中・高・大・社会人と30年近く野球を見続け、「CSプロ野球ニュース」は開始以来ずっとチェックし(現在、1ヶ月半遅れでHDDに取った試合をチェック中…)、スカパーの「プロ野球セット」は自分にとって空気のようなもの。
10年前は沖縄にキャンプも見に行ってましたし、出版社で働いていたときは、今までその会社で実績の無かった野球本の企画を何とか通して刊行したこともありました。

ただ、一方で、自分の野球に対する距離と、世間一般での野球の認知度は、おそらくだいぶ違うんだろうなという客観視した思いも。
正直、仕事場や自分の所属している趣味の場などで、野球の話をする割合というのは、そんなに多くありません。
それこそ10年ぐらい前までは、地上波でプロ野球(巨人戦)をやっているのが当たり前で、職場で野球について話すことも多かったですが、今は、意識的に「野球を見よう」と思わなければプロ野球に触れることは無い時代。自分の場合、実家に帰ると、いまだにBSをつないでなかったりするので、プロ野球をほとんど見られなかったりもします。
さらに言えば、自分の親はそんなに野球好きというわけでもなかったので、もし今の時代、自分が子どもで「スカパーのプロ野球セットを見たいんだけど…」と頼んでみても、「バカ言ってんじゃないの」と言われて終わりの可能性が大(^^)。そう考えると、野球ファンにはなっていなかったかもしれません。

さらに最近、プロ野球の置かれている立場について「ハッ」と思った瞬間が。
それは、電車の中吊り広告で、ヤングなでしこの試合がデカデカと紹介されているのを見たときでした。

世界でも上位に位置する実力があるとはいえ、まだ20歳以下というカテゴライズの女子サッカー代表。
しかし、なでしこJAPANのワールドカップ、そしてオリンピックでの好結果、そしてジャストなタイミングでのテレビ・広告代理店による大々的な宣伝。
準々決勝の視聴率(日韓戦)は、なんと17.6%だったとのこと。それこそ今、統計を取ったら、猶本選手や田中陽子選手の方が、坂本選手や阿部選手よりも知られているかもしれません。

もちろんマイナス要素ばかりではなく、昔に比べて巨人以外の球団の情報を知ることができる機会が増えた(CS・BS放送、インターネットetc)ことによる新たな観客層の増、などといったプラスの要素もあります。ただ、毎日の地上波中継というアドバンテージがなくなった今、そして今後「野球があることが当たり前」ではない層が増えていくなかで、プロ野球全体がもっと全体の層に向けてアピールしていかなければ、知らず知らずのうちに認知度が落ちていくという事態も十分考えられます。

最近、前・北海道日本ハムファイターズ社長の藤井純一氏が書いた「日本一のチームをつくる」(2011年刊)という本を読んだのですが、その中に印象に残る一文がありました。

『「とくにファンではない無数の人々」にどう受け止めてられているかは、今後のプロ野球の命運を大きく左右する。

ともすると、「野球ファンに対して」という括りだけでプロ野球について論じがちですが、実は「野球にそれほど興味のない人」の存在がプロ野球人気を考えるうえでは非常に大切。そう言われてみればそうだなと、目を見開かされました。
それこそ「にわかファンがどうこう」なんて議論は、プロ野球全体のことを考えたらちっぽけなことで、逆に言えば「誰もが初めはにわかファン」。
そういったファンの人たちに、今度は「野球ファン」になってもらうにはどうしたらいいか。さらには野球ファンにまではならなくても「野球って面白いんだね」と感じてもらうにはどうしたらいいか。

その大きな役割たり得るWBCに、諸問題がありながらも参加を決めたということは、新井選手が言うように「今後の野球界のため」の大きな決断だったと思います。

その他、今回のWBCについては、書きたいことがまだまだありますが、最後に3つほど、箇条書きに。

●今回、批判の多かった加藤コミッショナーですが、もう個人の問題という枠ではなく、「きちんとその仕事を全うできる人」がコミッショナーに就くようなシステム作りというステージでの議論に移行していくべきでは?

●WBCの監督人事はじめ、プロ野球での重要事項が取り沙汰されるときに、マスコミ各社が渡邉恒雄氏の発言をいちいち紹介するのは、さすがに、もうやめたらどうだろう。実際いまだに影響力は残っているのかもしれないが、そうした状況を作ってきたのは、読売以外のマスコミの責任も大きいと思う。

●今回の日本代表監督、最終的には梨田監督になるのでは。
by momiageyokohama | 2012-09-05 01:45 | 野球(全般) | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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