人気ブログランキング | 話題のタグを見る

国内戦だって面白い

今週月曜は、久々に後楽園ホールにボクシング観戦に行ってきました。

メイン・セミファイナルの2試合は、どちらも日本人同士による東洋太平洋タイトルマッチ

セミファイナルは、野性味あふれるファイトでここまで無敗のチャンピオン・赤穂亮(あかほ・りょう)に、わずか4戦ながら3戦目では世界挑戦経験もある河野公平に判定勝利するなどこれまた無敗のホープ・戸部洋平が挑む東洋太平洋スーパーフライ級(52.16kg)タイトルマッチ

メインは、最新のWBC世界ランクで1位となった荒川仁人(あらかわ・にひと)と、これまで世界戦を二度経験、試合当日にはなんと41歳を迎える大ベテラン・嶋田雄大(しまだ・たけひろ)が拳を交える、東洋太平洋ライト級(61.23kg)タイトルマッチ

もともと世界を見据える荒川の試合を一度生で見たいと思っていたところに、セミの無敗同士の一戦が加わったことで、観戦欲が高まっての今回の後楽園ホールでした。で、当然多くのボクシングファンも考えることは同じで、会場は満員。

オリンピックでの村田選手の金メダル獲得、清水選手の銅メダル獲得。そして、西岡選手のビッグマッチ決定と、テンションが高くなるボクシングニュースが多いなか、この日の後楽園ホールも、いい試合への渇望感が溢れていたように思います。

そして、実際行われた2試合も……、

いい試合でした。

「いい試合」と、ただ字で書くだけだと軽くなってしまいますが、いや~、2試合とも本当にいい試合でしたよ(しみじみ)。


まずは、セミファイナルの赤穂亮vs戸部洋平

赤穂の20戦負けなしというプライドが勝つか、それともわずか5戦目で東洋太平洋挑戦という戸部の才能が炸裂するのか。
どちらも無敗ということで、正直どちらが勝つかまったく予想がつかずに始まった試合でしたが、1R開始から、赤穂は「獰猛な野獣」と形容したくなるアグレッシブな攻撃を、それに対し戸部も全く怯むことなく応戦し、いきなり激しい接近戦が繰り広げられる展開に。
途中、「お互い楽しんでやっているんじゃないか」というほど、休みのないパンチの応酬状態に(実際、序盤、戸部の顔に笑みが浮かんだこともあったらしい)。
しかし、次第に赤穂のスピードかつパワーのあるフックが戸部の顔面をとらえ始め、2Rには、早くも戸部があわやダウンかというシーンも。

それでも、両者のパンチの出し合いは止まらず、全く目が離せない展開。
4Rが終わっての公開採点は、赤穂の優勢。
その後も、赤穂の左フックが戸部の頬や顎をとらえるこ場面が数多く。戸部の右のガードが低いため、かなりの数をくらっていました。
戸部はもう少しスマートな戦いをするボクサーという印象がありましたが、この試合は赤穂の土俵に引きずり込まれたのか、それともあえて打ち合いを挑んだのでしょうか。
さらに、赤穂の戦いで印象に残ったのが、ラスト30秒を切ってからの激しい攻勢。ジャッジの印象にも残りやすく、さらには毎ラウンド、ラスト10秒の拍子木が鳴ると恐ろしいまでにパンチを出しまくっていました。

そして迎えた8R。赤穂の雨あられのパンチを喰らう形で戸部がこの試合初のダウン。
なんとか立ち上がった戸部ですが、この好機を逃すまいとさらにパンチを浴びせ続ける赤穂にコーナーポストに追い詰められ、ここでレフェリーストップ。
最後の場面は「殴り倒した」という表現がピッタリの凄まじいKO劇で、まさに野生の動物が獲物を仕留めにかかるシーンのようでした。

試合後は、「自分のボクシングはボクシングというより、ケンカの延長ですから…」と言っていた赤穂ですが、一方で、「試合前はいろいろ(挑発するようなことを)言ったけど、戸部選手は強かった。経験を積めばチャンピオンになれると思います」と相手選手への敬意を忘れないコメントも。

赤穂の試合をきちんと見たのは今回が初めてでしたが、野性味溢れるファイトスタイルは大きな魅力。現在、世界ランクもWBA・WBCともにトップ10以内に入っていますが、本人は「世界まではまだ差があると思うけど、できれば狙ってみたい」と、ちょっと抑え気味のコメント。ボクシングファンの間でも「世界チャンピオンを狙うにはまだ…」という声も多いようですが、自分は次戦ないしはその次での世界戦といった形でもいいのではと思います。
その方が本人のモチベーションもさらに上がるでしょうし、自分の欠点の矯正への取り組みも、より真摯なものになるでしょう。

現在、スーパー・フライ級の世界チャンピオンはWBAが清水智信をKOで下したテーパリット・ゴーキャットジム(9月1日に名城と防衛戦を行う予定)。そしてWBCが先日の初防衛戦で、変幻自在ともいえるアウトボクシングで勝利を収めた佐藤洋太です。
佐藤と赤穂の対戦は、両者のスタイルの違いから、すごく噛み合う対戦になるかもしれないし、逆にお互いパンチを出すもまったくパンチが当たらない可能性もあり、試合としてはかなりギャンブル的な要素が多いですが、赤穂のスタイルは初見の人でも惹きつける魅力あり。
金平会長には、ボクサーとしての存在意義を失っている亀田家との対戦より、ボクシングファンが評価するような真っ当な試合を組んでほしいものです。


続いて行われた、メインの荒川仁人 vs 嶋田雄大

派手さはないながら、ここまで24戦22勝(14KO)1敗1分。最新の世界ランキングでは1位となった荒川仁人に、この日41歳の誕生日を迎えた嶋田雄大(通常、ボクサーは37歳が定年だが、世界挑戦経験などがあるため、特例として現役続行が許されている)が挑戦するという、味のあるマッチメイク。

試合前の展開予想は、ここ14戦負けなしの荒川に対し、嶋田がどれだけ食い下がれるかといったところでしたが、いざ試合が始まると、積極的に仕掛けていったのは嶋田。
荒川との距離を潰しながら、接近戦で間断なくパンチを打ち続ける。どちらかというと、荒川の方が守りに入る展開で、遠目に見ると結構パンチももらっていたように見えました。

2R、3Rに入っても、嶋田の積極的な姿勢は変わらず。荒川がその気迫に押されているようにも見え、4R終わっての公開採点では、嶋田支持が二者の2-0で嶋田がリード。どちらかというと、嶋田への声援が多かった会場も大盛り上り。

とにかく荒川がパンチを当てやすい「距離」が取れない状態で、接近戦では荒川も押し合うのですが有効打は少なく、展開を打破できる策も無いなあと思っていましたが、7R中盤から、嶋田の動きが目に見えてわかるほどスローダウン。序盤と同じく一見押し合っているように見えるけど、実はもたれかかっているのではないかと感じたラウンド終盤、ついに荒川の連打を喰らい、嶋田ダウン。しかしこのラウンドは残りわずかということもあって、なんとかコーナーに戻った嶋田。

それでも、続く8R、前に出る嶋田。その様は、これまでの集大成を拳に込めているようにも見えました。そしてこのラウンドも凌ぎきるかと思われた2分59秒、荒川の側頭部への右フックで、ガクッと崩れ落ちた嶋田。ここでレフェリーストップ。荒川TKO勝利、嶋田敗れる。
帰って録画を見たところ、最後、耳を打たれて三半規管にダメージを喰らったため、倒れてしまったように見えましたが、なんともドラマティックな幕切れでした。

勝った荒川いわく、「最初はボクシングをしようと思ったけど、途中からボクシングでは嶋田さんに勝てないと思ったので、打ち合いに行った」ということでしたが、それぐらい嶋田の攻勢が光った試合でした。そして最後の散り際がなんとも…。
それこそ「君は、嶋田雄大の生き様を見たか?」というタイトルをつけたくなるほどの試合内容に心を打たれました。

少し冷静になって、荒川の立場からすると、ランキング1位になったとはいえ、この日の試合内容、そして狙うのが世界でも強豪がひしめくライト級ということで、まだまだ強化する点があるといえそうですが、年齢的にも30歳と、そこまで若くはない状況。
あのいかにも「真面目」そうな人柄の荒川選手にはぜひ世界戦をやってほしいと思いますが、果たして今後の動向はどうなるでしょうか。


なお、セミファイナルの1つ前の試合では、スーパーライト級4位の小原佳太(戦績:5勝1敗、登場曲はスーパーカーの「STORYWRITER」)が、戦績11勝1敗という丸木和也に8回TKO勝ち。内容的にもほぼ完勝で、近い将来の日本タイトル挑戦の可能性も感じさせました。


とにかく、試合前の期待に違わず、内容的にも満足だったこの日の興行。一緒に行ったあまりボクシングに詳しくない知り合いの方も楽しんでくれた模様。
自分が生観戦した試合でいうと、あの名護明彦vs松倉義明に匹敵するほどの満足感でした。

惜しむらくは、この熱戦を目にした人が、ごくごくわずかだということ。
この日の試合はフジテレビ主催の「ダイヤモンドグローブ」ということで、深夜の地上波中継もありましたが、放送は深夜2時40分から。また、放送時間が50分なので、メイン・セミの2試合は8Rのうち4Rを抜粋しての放映で、勝利者インタビューもカット。
また、フジテレビのCSチャンネルでは生放送だったのですが、今年から放映局がフジテレビONEからフジテレビNEXTに変わったため、「プロ野球セット」に加入しているだけでは見られず。

地上波で国内タイトルを見ることができない状態となって久しい(日本テレビ系の中継も現在は日テレG+のみ)ですが、できれば好カードはド深夜でも構わないので中継してほしいですね。
また、それこそジムの垣根を乗り越えて、JBCあるいはJPBAが協力してボクシング専門番組を立ち上げるとか、ボクシング人気を下支えするための国内戦の周知活動にも、どんどんと力を入れていってほしいところですが。
by momiageyokohama | 2012-08-19 01:45 | ボクシング | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、21年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30