150勝の重み
2012年 07月 08日
1992年にプロ初登板。そして93年にプロ初勝利を挙げ、プロ21年目で到達した150勝。
先発ローテに本格的に名を連ねるようになってきたのはプロ入り4年目となる95年ぐらいから。
97年には自身初の二桁勝利。98年は前半戦、安定したピッチングを繰り広げ、中盤に肝機能障害で離脱をするも、自身最多となる12勝(7敗)を挙げ、チームも38年ぶりの日本一に。
95~01年と、7年連続規定投球回をクリア。
その後、02・03年は故障等の影響もあり規定投球回を割るも、チームが低迷するなか、「チーム唯一の先発ローテを守れる投手」として投げ続け、04~09年まで6年連続規定投球回をクリア。05・06年は、2年連続で200イニング到達。
2010年には「もしかしたら、これで終わりか」と思うほどの低成績に終わりましたが、昨年中盤あたりから再復活。今季も先日の勝利で7勝と、09年以来の二桁勝利も視野に入ってきています。
ここまで21年で14年の規定投球回クリア(12年シーズンを含む)。
自分が野球を見始めた1980年ぐらいから今までの30年近く、横浜(大洋)で先発ローテを継続的に守り続けた投手は、遠藤、野村、そして三浦の3人だけ(斎藤隆はそこに名を連ねるには物足りない成績)。
そして到達した150勝という数字。
200勝というところを一つの指標とした場合、まだその数字までの差はあります。しかも、三浦のシーズンキャリアハイは12勝(98年、05年)。他球団のエースと言われる投手の単年の成績に比べると、物足りなく感じる部分もあるかもしれません。
ただし、ここで忘れていけないのは、在籍している球団が横浜だということ。プロ入り21年のうち、15年がBクラス、そして10年が最下位(うち勝率3割台が7度)のチームで上げた成績だということです。
チームが弱いということは、それだけ援護が得られるケースも少ない。最優秀防御率(2.52)を獲得した05年なども、終盤まで0点か1点に抑えているにもかかわらず、援護点もなく勝利がつかずというケースが結構ありました。
また、弱いチームに在籍しているということは、そのぶん、他球団の投手に比べて、その弱い球団に投げて勝利を得る機会ということもありません。
そう考えると、その150勝は、少なく見積もっても1.2倍(180勝)、もしかするとそれ以上の価値があるのではないでしょうか。
さて、そのピッチング自体に目を移すと、三浦のピッチングは、一言でいうと「面白い」。
それは、その投げるボールにストーリーがあるからです。
自身の持っている球種とコントロール能力、そして相手打者を考えたうえで、どのような組み立てでバッターを討ち取っていくかの筋道が見えるところが、そのピッチングの魅力だと思います。
その年によって、使う球種に違いがあるので、あくまでイメージですが、例えば、バッターが新井(貴浩)の場合。
初球は、どんどん振ってくることを見越して、外角に落ちるスライダーを投げ、空振りで1ストライク。
2球目は、自重する新井に対し、外角低めにカットボールを投げ、2ストライク。
3球目は、ちょっとシュートをかけて内角に外し、1ボール2ストライク。
4球目は、外角低めにスローカーブ。新井が二枚腰でなんとか見送って2ボール2ストライク。
5球目は、外角低めにストレート。変化球も頭にある新井は振り遅れ気味でファール。
そして6球目は、5球目と同じコースから落ちるフォークで、「来た!」と思って降った新井は空振り三振。
今度は、金本の場合。
初球は打ってこないと見て、外角低めにストレートで、1ストライク。
2球目は、球速差のあるスローカーブを外角にふわっと投げて、2ストライク。
3球目は、最初からボールゾーンに投げるつもりで、シュートを外角に投げて、見送りで1ボール2ストライク。
4球目は、これまた、ストライクゾーンからちょっと低い内角低めのコースにカットボール。
ちょっと引っ掛けたため、思っていたよりコースを外れるも、金本に内角を意識させる。2ボール2ストライク。
5球目は、金本が振ってくることを見越して、外角高めのボールゾーンにストレートを投げ、ファール。カウント変わらず。
そして6球目は、ストライクゾーンから膝下に曲がるスライダーで、金本空振り三振。
こんなふうに、球種が豊富なのと、1球1球を丁寧に投げるという姿勢もあって、見ていてストーリーがあるんですね。
ただし、それぞれの球種が「スーパー」なボールではないので、「一つコースを間違った場合は痛打を食うというリスキーさ」があるのも、三浦のピッチング。
長打力のある巨人戦にはなかなか勝てなかった(しかも、東京ドーム・横スタとも狭い)のは、その当たりの噛み合わせもあるでしょう。
ただ、そのある意味「人間らしさ」も三浦のピッチングの魅力といえるかもしれません。
いずれにしても、「ハマの番長」というニックネームとは裏腹に、「丁寧」なピッチングで150という勝利を築き上げてきた三浦投手。
数字的なことをいうと、以前にその数字を知ってびっくりしたのが、その奪三振数。
これまでに奪った2186三振(2012年7月7日現在)は、歴代13位となる数字(※NPBのみの記録に限る)。
もちろんイニングを投げている(こちらは歴代33位)ということもありますが、山田、平松、松岡、堀内といった並み居る大投手より上の数字というのは、ちょっと凄さを感じます。
今季の活躍をみると、今後もしばらくはローテを守る活躍を続けてくれる期待がありますが、一年でも長く現役を、そしてその「丁寧」なピッチングをぜひ後輩たちに伝承していってほしいですね。



























