世界に挑んだ男と、真の世界の頂点に立つ男
2012年 05月 15日
5月1日にモスクワで行われた、王者ピーログと石田順裕のWBO世界ミドル級タイトルマッチは、0-3(109-119,108-120,111-117)で石田選手が大差判定負け。
5月5日シンガポールで行われた、王者クリス・ジョンと木村章司とのWBA世界フェザー級タイトルマッチは、0-3(108-119、109-118、110-117)で、これまた木村選手が大差判定負け。
そして、5月12日、ウクライナ・キエフでの、王者ゴロフキンと淵上誠のWBA世界ミドル級タイトルマッチは、3回1分46秒、淵上選手のTKO負け。
3戦とも、日本人選手には厳しい結果になってしまいました。
特に、密かに一番期待をしていた淵上選手。あのタコ足のような右ジャブで王者を攪乱して、佐藤幸治選手を倒したときのような超番狂わせを…と期待したのですが、オリンピック銀メダリストかつプロでも22戦全勝19KOの王者の前に、ほとんど何もできず完敗。
これまでは相手が飛び込んでくる邪魔をしていた右ジャブも、圧力によってあっという間に距離をつめられ、自身のスタイルとはいえ右も左もノーガードの構えでは、磐石の王者には太刀打ちできませんでした。
ただ、結果は非常に残念でしたが、ミドル級という世界のなかでもかなり層の厚い階級においてタイトル挑戦をしたということには、まずは拍手を送りたいと思います(一方で、これから本気で世界を目指すには、幾重もの壁を越えなければいけないことを実感させられた試合でもありましたが)。
さて、この世界戦の前、なかなか報道が少ないなか、淵上選手の様子を逐一見られたのが、八王子中屋ジムのブログでした。
試合前に、自身の勤務する日野自動車で行われた記者会見の様子や、試合前日の計量の様子など、写真つきでレポートを紹介してくれていたのですが、そのなかの文章に書かれている作成者の内なる声(括弧づきで書いたあと、線で消してある)が、結構面白かったです。
特に笑ったのが、対戦相手のゴロフキンを紹介したところでの、『実力はあるのに、知名度はまだこれからという事で
結構、笑いの心得がある人が書いている気がします(^^)。
ブログといえば、WBC世界スーパーバンタム級チャンピオン(現在は名誉王者の肩書き)の西岡利晃が、自身のブログで、パッキャオ2世とも言われるノニト・ドネアへの対戦を熱烈アピール。
これは、ブログのなかの話だけではなく、実際に双方の陣営同士が交渉中とのこと。
世界的にも注目度の高いボクサーに、「試合、やろうよ~」と言えちゃうポジションにいるということも凄いが、この対戦が実現すれば(そして、もちろんラスベガスで)、もっと凄い。
こうしたポジションにまで上り詰めた第一歩は、ジョニー・ゴンサレスとの一戦だと思いますが、ボクシングファン全般に、チャンピオンになってもさらに強豪と戦うことの意味を教えてくれたのは、長谷川穂積がモンティエルとの王者同士の戦いに挑んだ試合だったと思います。
それにしても、西岡と長谷川は直接対決こそないものの、いろいろな縁が。
西岡が4度挑戦しても勝てなかったのが、ウィラポン。その西岡との4戦を含め、14度の防衛を果たしたウィラポンから王座を奪ったのが長谷川。その長谷川との王座統一戦に勝利したモンティエルを、2R衝撃KOで葬り去ったのが、今、西岡が対戦を熱望しているドネア。
さらには、3年前、西岡が痛烈KOで下したジョニー・ゴンサレスは、昨年、フェザー級タイトルマッチで長谷川穂積にKOで勝利して2階級を制覇。
それこそ、古くはウィラポンの前のWBCバンタム級チャンピオンは辰吉丈一郎で、さらに2012年5月現在、そのベルトを巻いているのは山中慎介。
このあたりの話をし出したら、2時間でも3時間でもずーっとお酒が飲めそうです(^^)。
いずれにしても、西岡とドネアの対戦が実現することを願うとともに、淵上選手には、格好はよくないかもしれないけれど、また見ている人の心を揺さぶるような試合(ただし世界を狙うのならば、ガードは上げてほしい)を見せてほしいですね。