これがボクシング
2011年 02月 01日
〔王者〕内山高志(ワタナベ) vs 三浦隆司(横浜光) 〈WBAスーパーフェザー級〉
〔王者〕李冽理(横浜光) vs 下田昭文(帝拳) 〈WBAスーパーバンタム級〉
と、四者とも日本のジム所属のボクサーという対決になったのですが、2戦とも見応えがありましたね。
特に、先に行われた、李vs下田。戦前の予想では、やや李の方が有利という声が多かったように思ったのですが、結果は、下田のアグレッシブさが李を圧倒した格好に。3度のダウンを奪われながら、最後まで手を休めず逆転を狙った李も素晴らしかったのですが、下田の、速く、そして鋭い左ストレート、さらには同じモーションで放たれる左ボディは、その李のしぶとさをねじ伏せました。
思えば、下田が「次の世界王者候補」と言われ始めたのは結構以前からのことです。ちょうど日本タイトルを防衛していた3年ぐらい前の頃、2戦ばかり下田の試合を生で観たのですが(vs小林秀徳、vs山中大輔)、ほぼノーモーションで放たれる左ストレートは、「打った後に軌道が見える」と感じるぐらい切れ味の鋭いものでした。
一方で、試合序盤はすぐにでもKOしそうな勢いにもかかわらず、まっすぐ入りすぎるが故に後半からは相手のパンチももらい、変にいい勝負にしてしまう試合傾向も。打たれたときにパーンと後ろに顔が跳ね上がる「打たれ映え」の良さも、ジャッジ的には不利に働く印象がありました。
そんななか、2008年、4度目の日本タイトル防衛戦となった三浦数馬戦で、8回負傷判定の結果、まさかの敗戦(1-2)。
その後、ダイナミックグローブの地上波中継がなくなったこともあり、その試合を見る機会は減ったのですが、アメリカ修業、また東洋太平洋タイトル戦を経ての、今回の世界戦。
以前見られた、鋭すぎる左ストレート以外のバリエーションの無さ、正面から入ってしまうがゆえの被弾、スタミナ不足による後半の失速、といった弱点はほとんど見られませんでした。
長く垂らしていた前髪は短くなり、野性味にスキの無さも加わったそのボクシングスタイルに、この3年の「成長」が見てとれました。
また、下田の魅力は、そのアグレッシブさに加えて、そのボクシングに「生き様」が見えること。
現在、どちらかというと、長谷川、西岡、内山と「大人」な世界王者が多いなか(長谷川は戦いを重ねていくなかで大人になっていったという印象ですが)、中3で帝拳の門を叩いて、高校もすぐに辞め、あとはボクシング一筋という人生は、あの辰吉を彷彿とさせるところもあります。
ただ、今はただの「野生児」だけではなく、葛西裕一トレーナーらの指導が加わった、「強い、そして巧い野生児」に(コンビを組んでいるのが、キャラ的には正反対のように見える葛西トレーナーというのもまたいい)。
今後、また一戦一戦、防衛を重ね、よりその魅力を多くの人に伝えていってほしいと思います。
李vs下田に続いて行われた、内山vs三浦も目が離せない試合になりました。
2Rが終わってすでに腫れぼったくなっている三浦の眼のまわりを見ると、「これは一方的に内山がなぶり倒して終わりかな…」と思っていたところでの、三浦の一撃。
テレビで見る限り、その後しばらくは内山の膝が定まっていないように見え、逆転KOも頭をよぎりましたが、そこで三浦が行けなかったところで、勝敗はある程度決まってしまったのかもしれません。
それにしても、今日の試合といい、長期防衛を続けている西岡利晃といい、昨年、統一戦でのKO負けから見事飛び級での2階級制覇を果たした長谷川穂積といい、今の日本には魅力的な世界王者が本当に多い。
一方で、西岡の防衛戦は地上波放送がなかったり(無い場合は大体WOWOWでの無料放送)、世界戦の多くがネット局の少ないテレビ東京での放送と、その強さや魅力が多くの人に伝わっているとはいえない現況も。
今、必ず地上波のゴールデンタイムで放送される世界戦となると、長谷川穂積の試合以外では、亀田兄弟の試合ぐらい。
ただ、負ける要素を「ボクサーの強さ」とは違う部分でできるだけ埋め、「いかに負けさせないか」の準備を十分にしたうえで行われることの多い亀田戦は、いまのところ、ボクシングの魅力を十分に伝えることはできていないように思います。
ボクシング関係者には、より「ボクサーとして魅力のある選手」の売り出しを、そしてテレビ局には「ボクシングの魅力を伝える選手」のクローズアップをお願いしたいです。
そうした意味では、今度2月11日に世界戦を戦う井岡一翔は、「ボクシングの素晴らしさ」をファンに伝えられる選手かもしれませんね(TBS・MBS系列で全国中継)。



























