2009年 12球団チームMVP (part4)
2009年 12月 03日
いよいよ、今年も残すところあと1ヶ月です。
さて、ようやく前回、前々回、前々々回の続きです。
【阪神】
能見 篤史 投手 〔28試合 13勝9敗 防御率2.82〕
金本 知憲 選手 〔144試合 .261 21本 91打点 88四球 出塁率.368 8盗塁〕
投手部門は、今年の阪神投手陣で唯一の二桁勝利を挙げ、防御率もリーグ4位の成績を残した能見投手。その数字以上に、ほぼ「1強」状態だった巨人相手に勝ち星を重ねたこと(4勝2敗、防御率2.62)が印象に残りました。岩田投手がWBC中に故障、安藤投手も例年ほどの安定感がなく、福原投手は相変わらず、といった状況のなか、それでもシーズン終盤までAクラス入りを争えた要因として、この能見投手の飛躍と、新加入の久保投手の存在は大きかったように感じます。
ただ、他球団から見るとそこまで印象がある投手、というところまでは行っていないので、来年以降もこの成績を続けて初めて「きっちりした先発投手」という評価になるのではないでしょうか。
一方の打者部門は、今年は、打・走・守いずれの面においても衰えが指摘されることの多かった金本選手。確かに、今年の打率は.261で昨年より4分以上のダウン。守備でも、打球に追いつけず転々とするボールを追いかける姿が目につきましたし、浅めのレフト前ヒットでも、相手チームのサードコーチャーがグルグルと手を回すシーンは、もうこの何年も続いていることです。
でも、総合的な部分で見ると、阪神打線で一番貢献度が高いのは、やはり金本選手なんですよね。
打率チーム1位こそ鳥谷選手(ただし.288で3割には届かず)ですが、金本選手の挙げた91打点、21本塁打という数字はチームトップ。また四球88はリーグ最多で、そのこともあって出塁率は打率の20位から大きくアップしてリーグ7位です。さらに盗塁も8つ記録しています。
結局のところ、どんなに「金本はもう厳しい」といっても、それに代わる、あるいは匹敵するような選手がまだ出てきていないというところが、今の阪神の最大の問題点ではないかと思います。
今年の阪神の低迷は、真弓監督の采配・選手起用うんぬんということがかなり言われましたが、他球団のファンの目から見ると、FAや他球団からの頻繁な外国人獲得によって、若手野手が育つ環境が出来ていないことの方が問題だと思うのですが、阪神ファンの方々はどう考えているのでしょう。
【広島】
ルイス 投手 〔29試合 11勝9敗 防御率2.96 186奪三振 19四球(14死球)〕
東出 輝裕 選手 〔142試合 .294 26打点 71得点 19犠打 39三振〕
投手部門は、成績からすると、1年通じてローテを守り、5年ぶりの二桁勝利、さらに43回イニング連続無失点も記録した大竹投手という見方もあるかもしれませんが、制球力がまだ一つ信頼がおけない点、またあれだけの活躍をしながら10勝止まり(8敗)ということで、「まだエースと呼ぶのは早い」ということで、ルイス投手にしました。
シーズン序盤に顔面麻痺による一軍離脱がありましたが、登板間隔が他の投手よりも短いということもあって、結果的には大竹投手、前田投手と同じ29試合に登板(うち、1試合は中継ぎ)。
四球は相変わらずシーズン通して19と少なく、2年連続で最多奪三振を獲得。何より、ルイス投手の場合、試合がポンポン進むのがいいですね。ちなみに、ホームランも3本打っています。
一方の野手は、突出した成績を残した選手がいなかっただけに、「該当者なし」にしようかとも思いました。
チーム打率は.245(ただし、もっと下のチームが1チームありますが)。全体的にいま一つメンバーを固定できずに、シーズンが過ぎたという印象がありました。
そうしたなかで、成績的に一番いい数字を残したのが東出選手。打率は3割に届かず、盗塁数も14盗塁と、一番打者としてはもう一つインパクトに欠ける感じもありますが、規定打席に到達した選手のなかで最少の39三振という数字は凄いですね。昨年は今年より打席数が少ないなかで63三振を喫しているので、今シーズンは何かつかんだものがあったのかもしれません。
今季はベストナインも受賞しましたが、パ・リーグを含めた他球団のセカンドと比べると、まだちょっと地味な印象も。来季は走塁面、また14失策を喫した守備のレベルアップも含め、さらにもう一つ階段を上った東出選手を見てみたい気もします。
【横浜】
真田 裕貴 投手 〔68試合 5勝4敗 防御率2.98〕
内川 聖一 選手 〔132試合 .318 17本 66打点〕
最後は、今週の『週刊プレイボーイ』の記事で、今季の戦いぶりを「白球を使ったSMショー」(うまい!座布団一枚(^^))と評されたチームです。
(ちなみに、記事のタイトルは「衝撃!! 横浜ベイスターズがマジメにやってる(驚) -[オバナがチェンジ!?] 取り憑かれたような補強、スパルタ指導…」)
投手部門は最初、三浦投手にしようかと思いましたが、序盤戦こそよかったもの、その後は、結構序盤で大量失点を喫する試合も多く、今季も巨人戦で勝利を挙げられなかった(0勝3敗)こともあって考え直しました。
代わって考えたチームMVPは、目立たないながらも、シーズン通じて横浜の中継ぎを支え続けた真田投手。
今季は、チーム最多(リーグでも5位に相当)となる68試合に登板。ちょっと負けている日も、だいぶ負けている日も、たまにある同点や勝っている日も投げ続け、全試合の半分近くを投げての防御率2点台という数字は素晴らしいと思います。
「何回、坂本に打たれたら気が済むんだ(怒)」と思ったこともありましたが、相手がシュートと分かっていてそこにシュートを投げ込む。そして「ランナーは出すものの結構な確率でそのランナーをホームには帰さない」そのピッチングは、昨年から一皮剥けた印象も受けました(ちなみに、右打者の被打率は.293、左打者は.222と、左打者の方が抑えている)。
来季は、巨人時代にも指導を受けたであろう尾花氏が監督に。最初の選手への挨拶のときに、「真田、寺原!」と名前を呼んで、「厄介なヤツが来たな…(^^)」と言いながら薄笑いを浮かべていた尾花監督の表情が印象的でしたが、そんな監督のもと、さらにその能力を爆発させてほしいと思います。
これで、ようやく私的チームMVPの回は終了。
次回は、今読んでいる野球本、あるいはこの前世界戦もあったボクシングのことなぞを書こうかと思っています。
ベイスターズのMVP2人に全く異論はありませんが、敢えて違う二人を挙げてみます。
山口俊:後半は失速しましたが、4月の活躍はファンに夢と希望を与えたと思います。あの剛速球にはマジで震えた。
佐伯貴弘:前年の大減俸にもめげずにレギュラーを奪取。数字は地味でしたが、いいところで打ってくれました。球場でのファンの声援も一番多かった。
週刊プレイボーイの記事は面白かったですね。最後は球団がハッスルしすぎることを逆に心配しているあたり、週刊プレイボーイも立派なベイスターズファンだと思いました。
佐伯選手は、シーズン前のレギュラー候補(ジョンソン、吉村、仁志etc)が期待外れだったなか、ある意味MVPに値する働きだったかもしれません。ヒットの数も「毎年レギュラー」というわけではないなか、1500本超え。
ただ一方で、「佐伯選手があの成績でレギュラーを張っている」ということは、若手・外国人選手含めそれだけ選手がいないことの表れとも(佐伯選手自身、以前に比べ三振数が増加。守備での動きの衰えも感じる)。
もし今オフ、スレッジ選手の入団が決まるようであれば、日本シリーズでの外野守備を見る限り、ファーストでの起用が予想されます。そうなった場合、佐伯選手にとって、来季は、これまでの選手生活のなかで最も厳しいサバイバルになりますね。
なお、「プレイボーイ」の記事ですが、中野渡兄さん(?)のぶっちゃけトークも面白かったです(^^)。