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スッキリしない週末

昨日は、見ようか見まいか迷ったあげく、F1日本グランプリをテレビ観戦しました。

今年は、3年ぶりとなる鈴鹿での開催。そして、富士スピードウェイが撤退を決めたため、来季以降も日本グランプリは鈴鹿で開催されることに。
この2年間、アクセスの劣悪さやトイレの不足など設備の問題といった部分ばかりがクローズアップされてしまった富士ですが、コース上で抜けるサーキットが少ない現在のF1のなかでは、数少ない「抜けるサーキット」だっただけに撤退は残念です。超ロングストレートから1コーナー、さらには2コーナーとサイドバイサイドの凌ぎ合いがこれでもかというほど見られるコースは、F1の面白さをさらに倍加させると思っていたのですが。

さて、今年のF1シーズンですが、正直、ブラウンGPレッドブルのチャンピオン争い(そしてマクラーレンとフェラーリのあり得ないほどの凋落)という、あまりにも予想し得なかったシーズン展開に最後まで戸惑い続けたまま、あれよあれよという間にシーズンが終焉を迎えてしまったという感じです。
開幕前に買った「AUTO SPORTS」の全チームガイドには、ブラウンGPのチーム名すら載っていませんでしたから、こんなシーズンは前代未聞でしょうね。

で、今回の日本グランプリ、やはり大きな注目点の一つは中嶋一貴でした。
今シーズン何度となく失望させられながらも、「鈴鹿ではもしかしたらやってくれるのでは」という期待を持ちましたが、フリー走行で一時2位に立ったのがピークで、予選ではQ1も突破できず17位。決勝も、ほとんど見せ場なく(フォース・インディアのリウッツィにも抜かれる始末)、トラブル無く走った車の中では最下位の15位に終わりました。
同僚のニコ・ロズベルグが34.5ポイントを獲っているのに対し、15戦目を終えてもいまだノーポイント
「速さ」という点だけを考えたら、来季のシート獲得は極めて難しいのではないでしょうか。

F1の場合、実はドライバーの力量をはかるというのは結構難しかったりします。当然、車によって圧倒的に戦闘力に差があるわけで、ただ単に順位だけをとって「○○は□□より速い」と一概には言えません。そうした状況下で、ある意味、あまり誤差なくドライバーの速さをはかる指標となるのが、「同じチームのドライバーに比べて速いか遅いか」。もちろん、同じチームのマシンでも細かい違いはあるでしょうが、条件としては他チームとの比較に比べれば、かなりドライバーの力量が明確になる基準だと思います。

その「同チームのドライバーとの比較」の部分で、過去の日本人ドライバーのなかで、チームメイトに勝る成績を残したというドライバーは、残念ながらあまりいません。
日本人初のフル参戦ドライバーである中嶋悟は、34歳でのF1挑戦、またセナ・ピケ・アレジなどチームメイトが錚々たる顔ぶれだったということはあったにせよ、ほとんどのレースでチームメイトより大きく遅れての走りでした。
続く鈴木亜久里も、日本人初の表彰台という快挙を達成したものの、ほとんどのシーズンでチームメイトに負けています(特にフットワーク時代、アルボレートとの差は歴然としていた)。
少し世代が進み、現在、日本人のなかでは最多の出走回数(95回)を誇る片山右京ですが、ポイントを獲得したのは1994年の5ポイントだけでした(このシーズンは、ドイツGPで一時期2位を走るなど、鮮烈な印象を残したレースもありましたが)。そして、この94年も獲得ポイントではチームメイトのマーク・ブランデルを下回り、翌年もミカ・サロの後塵を拝するなど、海外のF1ファンに「日本人は遅い」というイメージを払拭させることができたかは疑問です。
その後に参戦した高木虎之介は、チームが弱すぎたためにあまり評価の対象にならず。同時期に参戦した中野信治は、日本国内でもトップドライバーだったわけではなく、当然というべきか、チームメイトのパニスより大きく遅れをとるレースが続きました。
そして、今までの日本人ドライバーのなかでは最もその「速さ」を期待されて参戦した佐藤琢磨
ですが、BARに在籍した2年間、チームメイトのバトンに「完敗」といっても過言ではない成績を残すことしかできませんでした(2004年:85ポイント vs 34ポイント、2005年:37ポイント vs 1ポイント)。

こうして見てみると、現在参戦中の中嶋一貴に至るまで、どんなにアナウンサーが日本人ドライバーの走りを「いいですよね」と持ち上げても、チームメイトに大きく遅れをとっているという現実に目を移すと、白々しい気持ちを抱かざるを得ません。

さらに、日本人ドライバーについては、もう一つモヤモヤしたものが残る点があります。
それは「今走っている日本人ドライバーが日本人最速なのか?」ということ。
現在参戦中の中嶋、さらにその前の佐藤琢磨は、国内でトップを獲ってからF1に参戦した片山右京らとは違い、海外で実績を積んでF1にステップアップした形。もちろん、その海外のカテゴリーでの走りが評価されてF1参戦に至ったとは思いますが、現在日本国内で活躍しているトップドライバーとの直接対決はほぼ皆無です。
確かに、過去にF1帰りの高木虎之介が、フォーミュラ・ニッポンで10戦8勝とぶっちぎりの強さでタイトルを獲ったり、前年まで日本国内のトップカテゴリーで走っていた井出有治がF1参戦わずか4戦でスーパーライセンスを取り消されるという出来事もあったので、F1ドライバーと日本国内で活動しているドライバーとの力量差というのはかなりあるのかもしれません。
ただ、それでも、「じゃあ、この10年間、日本のトップとして圧倒的な走りを見せてきた本山哲(最も速かったのは03年・04年あたりか)や昨年の松田次生と比べたらどうなのか(琢磨と本山、中嶋と松田、どっちが速いのか)」という疑問は消えません。
海外で実績を残したこともある吉本大樹や金石年弘らが、日本国内のレースではあまり目立った成績を残せていないというところも、「海外実績組>国内実績組」の構図を疑う一因です。
もちろん、英語でのコミュニケーション力や、海外のフォーミュラカーへの慣れという点では、琢磨や中嶋の方が優れているのだろうとは思います。ただ、純粋に「速さ」という部分で「今、日本人で一番速いドライバーは誰か?」というところが曖昧なまま、実際にF1参戦した日本人ドライバーが「遅い」という評価をされシートを失うかもしれないという現状には、何とも言えぬもどかしさを感じます。

発足当初は、「F1への道」となるべくスタートしたであろう「フォーミュラ・ニッポン」ですが、結局、この14年もの間、一人も日本人F1ドライバーを輩出することはできませんでした。中嶋・亜久里の時代(世界的にはセナ・プロの時代ということになるのでしょうが)から20年、日本国内のレースと世界のレースとの距離が開く一方という状況には、かなり寂しいものを感じます。
テレビでフォーミュラ・ニッポンのスタンドを見ると、カテゴリーの存続自体が心配になるほどのガラガラっぷり。実際、レース数は減っていますし、地上波でのレース中継も2005年で無くなりました(現在はCSでの中継とテレ東でのダイジェスト放送のみ)。

さらに今年は、F1でも、テレビで見る限り空席が結構見られました。
やはり、自国ドライバーの活躍度合は、ファンの熱に大きく影響してくれるのではないかと思います。

来季以降、また「日本人ドライバー・ゼロ」という寂しいF1シーズンが続くことも予想されるなか、なんとか「日本人ドライバーがF1に参戦する道筋」が見えるような環境の整備、また海外のメディアに「コイツは速い」と言わせるような日本人ドライバーの台頭を望みたいのですが。


※10.10 訂正
上記の記事で「フォーミュラ・ニッポン」は一人も日本人F1ドライバーを輩出できていない」と書きましたが、高木虎之介と中野信治がいました(印象が薄すぎて、完全に記憶から抜け落ちてしまいました(^^))。
ただ、二人ともフォーミュラ・ニッポンでタイトルを獲ってF1に参戦したわけではないので、「日本でタイトル獲得 → F1参戦」とういルートを辿っているドライバーは、片山右京以来いません(フォーミュラニッポン前身の全日本F3000で1991年に総合優勝。なお、外国人選手のタイトル獲得者まで範囲を広げてみても、ラルフ・シューマッハ(’96・総合優勝)、ペドロ・デ・ラ・ロサ(’97)以来、継続的にF1に参戦できている選手はいない(’02にタイトルを獲ったラルフ・ファーマンが翌年参戦したが1年のみの参戦に留まる)。
by momiageyokohama | 2009-10-06 03:01 | モータースポーツ | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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