野球中継の視聴者を増やすためのポイント
2005年 03月 13日
そうした中で、今シーズン、野球人気がどのぐらいあるのかの指標の一つとして、また例年のように、野球中継の視聴率というものが取り上げられると思います。
「野球の視聴率」が語られる場合は、ほとんど「巨人戦の視聴率」が挙げられます。
そのことに異論があるファンも多いとは思いますが、「現状での物差し」ということを考えると、仕方がないところもあるでしょう。
さて、その巨人戦の視聴率ですが、昨年は12.2%。
過去の数字を振り返ってみると、99年に20.3%という数字を記録をした後は、18.5→15.1→16.2→14.3→12.2と下降線をたどっています。
そうした数字的な落ち込みに加えて、よく言われることですが、「巨人戦を見ている層は、ある程度年齢がいっている男性が多い」ということで、女性や若者向けの商品の広告主にとっては魅力的なコンテンツでなくなっている、といった要素もあります。そう考えると、近い将来、巨人戦も地上波で放送されなくなる、ということが、現実に起こりうるところまで来ているとも思います。
そうしたなかで、個人的に地上波での野球中継(ここでは巨人戦)について、「この点を変えてみてはどうか」ということが2つあります。
一点目は、もはや巨人戦も、パ・リーグも含めて6試合やっている公式戦のうちの一つであると考え、巨人の中継自体はしつつも、合間合間で他球場の情報を、映像も折り込みつつ積極的にとりあげるといった内容にしてみては、ということです。
スカパーやCATVなどによって、以前に比べて巨人戦以外の試合を見れる機会が増えたとはいえ、まだ「地上波での野球観戦がメイン」というファンは多いと思います。
しかし、6試合のうちの一つの試合に過ぎない巨人戦しか見れない、しかも、その試合が面白くないとなると、中継を見る気はしなくなります。テレビ局側にとっても、一球団(あるいはその一試合)だけの出来に視聴率が左右される、というのはリスクが大きいとも言えます。
そうしたことを考えると、「巨人戦を放送する」というよりも、「プロ野球(NPB)を放送する」(もちろん、合間合間にMLBの情報も流すことはとはあるとしても)という方向にシフトしていかないと、今後、野球中継はさらに尻つぼみになっていくように思います。
先週、ある週刊誌を読んだら、「日テレは開幕戦で、長嶋茂雄氏や徳光氏などを引っ張ってきて視聴率アップを考えている」といった記事が載っていましたが、野球ファンの傾向が多様化しているなか、そうした方向性はまるで逆を向いているのではと思います。
もう一点のポイントは、少し抽象的なことです。
それは、「プロ野球選手がやっていることはスゴい」ということを、もっと前面に押し出した番組作りをしてみては、ということです。
プロ野球の試合で行われているプレーの数々は、実はスゴいレベルでやっています。
140kmというスピードは、実際に見たらものスゴい速さだし、さらにそこに幾多の変化球(それもハンパじゃない曲がり)を加えたなかでの攻防が行われているわけです。
しかし、毎日のようにプロ野球中継を見ていると、あまりに日常すぎて、ついそうしたことを忘れてしまいます。テレビという安全な場所を通して見ていることで、まるでTVゲームを見ているかの感覚で見てしまい、プロ野球の本当の凄さが見えなくなってしまうといったこともあるでしょう。
それにより、試合を見る緊張感というものも薄くなったりします。
それでも、7時になったら無条件で巨人戦を見る時代はよかったかもしれませんが、現在のように即物的な刺激を含んだ番組(バラエティなどのテロップ増加など)がたくさんやっているなかでは、見ようによっては(野球をそんなに見ない人、あるいはたまに見るぐらいの人などにとっては)、「同じようなことが続いているだけ」とも見える野球中継は、かなり旗色が悪いように思います。
そうしたなか、ファンが見たいと思うものを見せていく一方で、「プロ野球」自体の凄さを伝えるような中継の仕方(漠然としていますが、より緊張感・臨場感を伝える中継)をすることが、遠回りかもしれませんが、野球中継を見る人を増やすカギの一つではないかと思います。
なお、先週の日本経済新聞に、杉山茂というスポーツ番組制作を長年やっていた人のインタビューが載っていました。そのなかで、「野球中継は、将来的には放映権を一括化して、その日やっている試合の中で、一番視聴者が見たいと思っている試合を放送する方向にしていくべきだ」といった発言が載っていました。
個人的にも、今後はそうした方向に行ってほしいと思っていますが、とりあえず、巨人戦がメインで放映されるという現状において、制作サイドの人には、前述のようなことを少しでも考えてくれたらなあ、と思います。



























