日本人メジャーリーガー増加で感じるジレンマ
2009年 01月 13日
例年よりも、NPBからMLBに移籍する選手が少ない今オフですが、それでも長年、日本球界で活躍してきた上原、川上の両投手がそれぞれオリオールズ、ブレーブスへ移籍することがほぼ決定しました。
本人たちは長年の夢が叶ったということで、一日も早くメジャーのマウンドで投げたいという気持ちなのではないかと推測されますが、正直、一ファンとしての気持ちは複雑です。
その理由は、単純に「そのピッチングを見る機会が減るから」です。
「そんなこと…。もう何年も前から日本の有力選手が移籍しているわけで、今さら何を言ってるんだ」と言われるかもしれません。また「MLBに行ったって、ニュースでは取り上げられるじゃん。衛星でも中継するわけだし」という意見もあるかもしれません。
確かに、一時期ほどではないにせよ、スポーツニュースにおける日本人メジャーリーガーの露出はまだ高いです。それこそイチロー選手はオリックス時代より格段にそのプレーを見る機会は増えましたし、岩村選手、岡島選手なども、日本にいたときより格段に露出が上がりました。日本で一番露出が多い打者だった松井秀喜選手も、巨人時代、毎試合「今日の松井は○打数○安打」と伝えられることはさすがにありませんでしたが、MLBに行ってからは、打っても打たなくても、ほぼ毎日その打席結果が報じられます。
また、NHK衛星(昨年まではスカパーでも)では、毎日、MLB中継が放映されます。日本人のメジャー選手が増えたこともあり、NHKハイビジョンを含めて平均2試合以上のペースで放映されています。
しかしそれでも、有力選手のMLB移籍は、多くの日本人にとって、その選手たちのプレーを見る機会を減少させることにつながってしまうように思います。
まず単純に、衛星中継を見ることができない人にとっては、メジャーリーグに行った選手のプレーを見るのは、スポーツニュースの中だけということになります。選手達のプレーは「情報」としては入ってきますが、それは試合を見ていて感じる「実感」とは似て非なるものです。「30秒ほどで流れる5球ぐらいの投球映像+アナウンサーのナレーション」と、「1試合の全投球をリアルタイムで見る」のとでは、そこから感じる重みはまったく違います。また、ただ「2安打打った」という情報を知ることと、「際どいボールをカットして、1球だけ来た甘い球を仕留める」一部始終を見るのとでも、そこから受ける「凄さ」は雲泥の差があります。
「じゃあ、試合を見ればいいじゃん」という意見もあるかもしれません。
しかし、MLBの試合中継は、ナイターならば日本時間の朝8時(11時)~11時(14時)ぐらい。一般的な出勤時間の人は、とてもその全部を見ることはできません。見られたとして、出勤前に最初の1イニングぐらい、もしくはお昼休みにどこかの定食屋(?)あたりで、終盤の2イニングぐらいでしょう。
また、土日になれば見られるかというと、今度はデーゲームのケースもあるために、試合が行われるのが日本時間の早朝2時(5時)~5時(8時)となり、やはり試合をリアルタイムで見られるケースはそんなに多くありません。
現実的には、多くの日本人にとって、土曜日(アメリカで言えば金曜日)の午前中が一番日本人メジャーリーガーをリアルタイムで見られるチャンスがあるということになるでしょうか(しかもまったくもって個人的なことですが、自分は土曜の午前毎週予定があるために残念ながらそれも見られず……)。
もちろんゴールデンタイムでの再放送もありますが、結果を知って見るプレーは、残念ながら味気なさは否めません。
これがサッカーであれば、ヨーロッパとの時差の絡みで、大体、日本時間で日曜の夜(場合によっては深夜ですが)に試合が行われるので、通常の会社員生活を送っていても、リアルタイムで見ることができます。
今はそこまで夢中にさせてくれる欧州組(←あまりこの言い方は好きではありませんが、便宜上)の日本人選手はいませんが、それこそ中田選手がセリエAで活躍していた頃などは、かなりの頻度で試合をリアルタイムで見て、次の日、眠い顔で会社へ行くこともしばしばでした(^^)。
しかし、野球の場合、「時差」という如何ともし難い要因により、リアルタイムで日本人メジャーリーガーの活躍を実感できる機会がどうしても少なくなります。上原投手の小気味よい投球も、川上投手の序盤素晴らしいピッチングをしながら7回に突如連打を浴びるピッチングも(^^)、「実感」として見る機会が圧倒的に少なくなってしまうのです。
もちろん、MLBの試合中継を毎日楽しむことができている方にとっては、戯れ言に聞こえるかもしれません。また、地上波中継が劇的に少なくなった現状、「日本にいたってアメリカにいたって見れないんだから関係ないじゃん」という意見もあるでしょう。
それでも、日本人のMLB移籍によって、多くの日本人は、「日本のトップクラスの選手達を『試合』の流れのなかで見る機会」をかなり失ってしまうように感じます。
イチロー選手などは、オリックスの試合の放映が少なかったこともあるのでMLBでその試合を見る機会が増えた数少ない選手ではありますが、松井稼、井口、城島、松坂、岩村、福留、黒田選手といったあたりは、日本在籍時より、圧倒的に「試合の流れの中でそのプレーを見る機会」が減りました(あくまで個人的にですが)。
「7回5安打2失点で勝利」「3試合連続マルチヒット」という「情報」だけでは、やはり物足りなさが残ります。
今後、何年かすれば、現在の日本球界を代表している27歳~31歳ぐらいの選手たちが、FA宣言して、こぞってMLB移籍を表明することも考えられます(横浜・村田、ヤクルト・青木、西武・中島、ソフトバンク・和田……)。
「選手がいなくなっても、またスターが現れるだろう」という見方もあるでしょうが、田沢投手だけでなく、今後、斎藤佑樹選手などアマチュアの有力選手が続々と「卒業後のメジャー入り」を表明する可能性も含めて、NPBの将来は、かなり先行き不透明です。
「NPBを見ていても、何か一つこう燃えるものがない。かといって、MLBはリアルタイムでは見られない…」
数年後、そんな状況になって、徐々に野球から興味を失っていく自分の可能性を完全に否定することはできないのが、ちょっと怖いところです(まあ、自分にとって野球はそんなに小さなものではないですが……)。



























