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野手のラインアップを見る続き

前々回前回に続いて、五輪代表の選手選出について。
(北京五輪が終わって2週間が過ぎ、この記事を初めに書いてからも1週間過ぎてしまいました。まったくもって機動力のないブログで(^^))。

前回書ききれなかった外野手の選手を見ていくことにします(成績は9/7現在。部門順位はリーグ内の日本人順位)。

外野手

 青木 (.356 13本 27盗塁) 〔打率2位・盗塁4位〕
 稲葉 (.310 17本 71打点) 〔打率3位打点3位
 G.G. 佐藤 (.302 21本 62打点 9捕殺) 〔打率8位・本塁打3位
 森野 (.322 15本)※規定打席外
 
上記が、今回選ばれた外野手陣です。9試合という、意外と長い試合数を考えると4人というのはパッと見少ない感じ。また、G.G.佐藤選手のDH起用、森野選手が内野を守る可能性なども考えると、結構ギリギリな人数だなという印象を、選出の時点に持っていました。

一方、今回選出されなかった日本国内の選手たちを見てみると、下記のような選手の名前が挙がります。

●セ・リーグ
赤星(.315 0本 28盗塁) 金本(.314 21本塁打 94打点)
和田一(.323 13本 64打点) 福地(.335 6本 34盗塁)

●パ・リーグ
栗山(.310 9本 14盗塁) 大松(.258 20本 79打点)
森本(.261 0本 11盗塁) 

このなかで、成績からいうと選ばれてもおかしくないのが、赤星選手、金本選手の両選手です。しかし、赤星選手は首痛で辞退。持病になっているようなので、今後も国際大会への出場は難しいのかもしれません。あの脚力・守備・打撃、さらにシドニー五輪経験者としても、ぜひまた代表に復帰してほしいところではありますが。
また、金本選手も打撃成績を考えれば代表に入ってもおかしくありませんが、第一次候補にも入らないということは、本人があらかじめ辞退している可能性が大きいかもしれませんね。リーグ戦に対しての影響、自分の存在が入ることによるチームへの影響など、いろいろなことを総合しての選択ではないかと思います(なお、国籍的には日本に帰化しているようです。また大学時に日米大学選手権に日本代表としての出場経験あり)。

と見てくると、今回、この2選手以外で代表の外野陣に名を連ねても誰も驚かなかったであろう選手というと、実は和田(一浩)選手ぐらいしかいないんですよね。もし他に挙げた福地、栗山、大松、森本選手などが選ばれたとしたら、かなりサプライズ感があったと思います。
ただその和田選手、チームが変わった今年も打率こそ上位に位置していますが、守備力に関しては後ろの打球への反応・肩などを考えるとかなり不安(この点は西武・中日ファンの人はよくわかるところだと思います)。また、アテネ五輪、WBCと代表選手に選ばれましたが、出場機会はあまりなく、シーズン中も「スランプになると長い」という印象もあり、24人という人数制限を考えると選ばれなかったのも仕方なかったのかなとも思います。

なお、ここで話はそれますが、和田選手がらみで、週刊誌で気になった記事があったのでそれについて。
その記事では、今回の五輪には「井端・和田一を連れて行くべきだった。この2選手は、前回の北京五輪予選で、両キャプテンの宮本選手と若手選手の間をつなぐ役割として大きかった。今回この2選手がいないことで、そのあたりがうまく機能しなかった」といったようなことが書かれていました。
ただ、現実問題、川上・岩瀬・荒木・森野・チェン選手と5人の選手が1ヶ月近く抜ける中日から更に井端・和田選手を引き抜くことは出来たでしょうか(もちろん、和田選手が選ばれれば森野選手は選ばれなかったという可能性はありますが)。このことは、楽天の田中岩隈投手にもいえ、もしこの2投手を五輪に連れて行ったら、野村監督は何と言ったか…(おそらく「プロ野球界にもイジメがある」ぐらいのことは言うでしょう(^^))。
ひとまず五輪での野球開催はなくなりますが、WBCの開催時期移動の可能性も含めて、リーグ戦と国際大会をどう調整していくかという問題は、今後、日本野球界全体が考えなければいけない重要課題でしょう。

さて、話を再び外野陣の選手選出に戻します。
今回選ばれた4選手のなかで、青木稲葉選手は、成績、また実績の面からも選ばれて当然という選手でした。残りの2ないしは3人をどう選んでいくかが、選出者の腕の見せ所と言えたかもしれません。
結局選ばれたのは、成績のうえでは選ばれて当然(外野手の長距離砲としては、この2年日本人トップの成績)のG.G.佐藤選手と、内外野どこでも守れる森野選手(昨年は外野手で99、一塁手11、二塁手で33、三塁手で40、遊撃手で2試合〈試合中での守備位置変更含む〉の出場)でした。
結果的に、「なぜ選んだんだ」と言われる結果しか残せなかったG.G.佐藤選手ですが、左の巧打タイプは多いものの、右しかも長距離打者が圧倒的に不足している日本外野陣のなかでは、ここ2年出色の成績を残しています。三振は決して少なくはありませんが、今年の打率は3割、さらに右にも打てるというアピールポイントも持っています。
また、見事にやらかしてしまった守備面でも、エラーの数自体はこの2年で1。もちろんエラーの数は守備範囲とは比例はしないので、それだけをとって「上手い」とは判断できませんが、今年の捕殺9が示すように「肩はいい」という印象がありました(西武の場合、どちらかというと栗山、ボカチカ選手あたりの方が「守備が悪い」という印象があります)。

ただ、国内ではこれだけの成績を残していながら、結果的に五輪では攻・守ともにほとんど見せ場なく終わってしまいました。
そう考えると、国際大会では、リーグ戦で成績を残している選手だとしても「脆さ」(打撃・守備面ともに)を感じる選手であれば、多少その選手より小粒でも、走・攻・守のバランスがとれている選手を選ぶ方が「正解」ということになるのでしょうか。
この判断については、「こうすべき」と言えるほど簡単に答えを出せることではありませんが、少なくとも、今後、代表の野手の選ぶときの一つのポイントになるだろうと思います。

そうした意味では、森野選手は、そうした細かいことがこなせ、かつある程度長打も打てる選手として期待されたといえるでしょう。しかし、この森野選手も、オリンピックでは結果を残すことができませんでした。「結構器用な選手」というイメージがあっただけに、最後までヒットを打つことができなかった(18打数2安打)という結果は意外でした。

しかし、今回選ばれなかった選手たちに目を向けると、「じゃあ、この選手を選べばよかったじゃないか」と言える選手が少ない」ところに、現在のNPBの外野の層の薄さを感じてしまいます。
もちろん、イチロー松井秀福留選手という日本のトップ外野手たちがMLBに移籍したということが一番の原因ではありますが、多村(故障で長期離脱)、高橋由(怪我+不振)、サブロー(序盤戦不振)、大村直(序盤戦故障離脱)、金城(今季不振)選手といった中堅選手たちが軒並み成績を落としていることもあって、内野手以上に選手を選ぶのが難しいという状況だったかもしれません。

そんななか、今回の五輪メンバーに対し、唯一自分が「この選手を選べばよかった」と思った選手。
それは福地選手です。

準レギュラーになるまでの活躍を見せていた西武時代より、さらにもう一段素晴らしい活躍を見せている今季。五輪メンバーが選出された時期は、ちょうど規定打席に到達したぐらいでしたが、レギュラーに定着した5月ぐらいからずっと3割前後の打率をキープ(今はそこから3分以上上げていますが)。
もともと走・守に関しては日本外野陣トップクラスといっていいほどの力を持つ選手。それに加えて、スイッチヒッターかつ打席で粘ることができ、赤星選手が出場できないなか、外野ディフェンス面の強化、また相手をかきまわす選手として、日本代表でも力を発揮できる可能性を秘めていると思いました。
また、福地選手が外野を守ることで、守備に若干の不安がある佐藤選手をDHで起用するという方式もとれ、そうした意味でも、「入ったら面白いかもな」と考えました(もし選出するとしたら、森野選手ではなく福地選手をという感じになるでしょうか)。
ただ、キャリアなどを考えれば、「何で選ばなかったんだ!」と強硬に主張できるほどではなく、あくまで結果論レベルの意見かなと思いますが…。

なお、他の上記に挙げた選手ですが、栗山(左でもあまり苦にせず、長打も打て、足もあるということで能力の高い選手ではあると思うが、守備面で球際に弱い印象がまだ拭えない)、大松(あの長打力は魅力だが、もう少し打撃での精度が欲しい)、森本(昨年の成績なら選ばれてもおかしくなかったが、今年は怪我による離脱があり現実的に選出は難しかったか。ムードメーカーとしてベンチに入ってほしい選手ではあるが)の各選手は、いろいろな条件を考えると、今回の代表に入るにはちょっと厳しかったと思います。

◇  ◇  ◇

ということで、野手陣に関してグルッと見てきましたが、今回の野手陣を見ていて残念だったのは、多くの選手が、最初のキューバ戦から最後のアメリカ戦まで、同じような凡退を続け、なんとか塁に出ようという部分が感じられなかったこと。
今回の代表は、MLBの選手は出なかったとはいえ、それでも現在のNPBのトップの選手が連なっていました。
ということで、ぜひ五輪の舞台で、日本打者の「技術力」を見せてほしかったのですが、それを感じた場面は、青木選手が韓国戦で1、2打席凡退した後に、その2打席をふまえて見事3打席目にキム・グァンヒョン投手からセンター前ヒットを放った場面。また同じく青木選手が、3位決定戦の最終回、粘りに粘って出塁した場面。また大会全体ではほとんど成績を残せなかった阿部選手が台湾戦でライトスタンドへボールを運んだ場面だけでした。
(数字的なことを言えば、10打数以上で3割を超したのは.455の西岡選手のみ。あとは青木選手も含めて全員3割以下)

キューバや韓国に比べて「パワー」の面で負けることは予想していた人もいたかもしれませんでしたが、「技術」の部分でもほとんど見せ場なく終わったのは、本当に残念でした(右打者が内角へのスライダーを空振りする場面などは、リプレーを見せられているかのように幾度となく見た)。

今回なぜ打てなかったのか? それが一番わかるのは、やはり実際に打席に立ってバットを振った選手たちだと思います。

もちろん、相手投手によってその原因は違うでしょうが、自分の思っているよりも変化球(またはストレート)のキレが良かったからなのか? はたまた自身のタイミングの取り方に問題があったのか? 自身のバットを出す角度的な問題か? もしくは、ボールをとらえるポイントの問題か?
そうしたことが原因というよりも、データをあまり重視しないで打席に立ってしまったからなのか(もしくはその逆も)? ベンチの指示を必要以上に考えすぎたからか(もしくはその逆も)? 自身のコンディショニングが悪かったからなのか? はたまた精神的なものなのか……。

今後も国際大会のグラウンドに立つのであれば、そのあたりをクリアしていかなければ、また次の大会でも同じことを繰り返すことになるでしょう。

なお、もう少し書き足りないこともあるのですが、言いたい概要としては下記のようなところです。

 ●以前も書きましたが、星野監督に全責任があるかのような論調は間違っている
 ●ただし、次大会(WBC)では監督を代えるべき
 ●「○○ジャパン」と監督を冠におく言い方はやめてほしい
 ●次回のWBCに、現在MLBに在籍している選手が出場する保証はない


またもや遅くなってしまった(^^)ので、これらのことについては、また明日以降書くつもりです。
by momiageyokohama | 2008-09-08 03:05 | 五輪野球 | Comments(0)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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