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ファンの意向と別のところで……

ラミレス選手の巨人入団が決まったようですね。

これで巨人は今オフ、クルーン投手(横浜)、グライシンガー投手(ヤクルト)と、他球団で実績のある外国人選手を3人獲得したことになります。

「欲しい欲しい病」とも揶揄された長嶋監督が辞めた後も、巨人の他球団からの戦力獲得攻勢は、毎年やむことはありませんね(^^)。
そのこと自体についてどうこう言う前に、ここ数年顕著なのが、国内で実績のある外国人選手を獲得する動き。
今年の3人は、まさにその典型といえますが、一昨年のオフもイ・スンヨプ選手(ロッテ)、パウエル投手(オリックス)と他球団の主力選手を獲得しました。
さらにさかのぼると、ローズ選手(近鉄)、さらには活躍はしませんでしたが、ペトラザ投手(ダイエー)ヒルマン投手(ロッテ)といったところも獲っています。

こうした動きが顕著ななか、今日発売の「週刊ベースボール」に1つ気になる記事がありました。
スポーツライターの石田雄太さんが毎週連載しているコラムで指摘していたのですが、それによると、最近は「エージェントが在籍球団にかなりの高値をふっかけて交渉を決裂させ、(資金が豊富な)巨人に入団させるように話を持っていく」という流れがあるようです。

今オフ移籍の3人も、まさにこの流れに乗っていると推測できますが、巨人がどうこうという前に、「自分の持っている選手の商品価値(=年俸と考えてもいいでしょう)をもっと上げたい。そう考えると、日本国内では一番お金を出してくれる巨人になんとかして入団させる方向に持っていかなければ……」と目論んでいるエージェントの存在が、今オフのような一局集中的移籍という状態を生んだと言えるでしょう。
巨人が今後もそうしたエージェントからの売り込みを積極的に受け入れる姿勢ならば、来オフ以降も、新しくやってくる外国人選手たちの「まずはどこかの球団で活躍→成績を残せば、次年度の契約を決裂させて巨人へ」という流れは止まらないと思います。
そう考えると今後は、80年代、90年代のように、同じ球団に何年も在籍してファンから愛される選手になる外国人選手(ブライアント、ブーマー、デストラーデ、バース……)は、ごくごく少なくなってしまうかもしれませんね。

また、石田氏は先日のコラムでも、「選手の利益よりも、自分の利益を優先する代理人が少なからず存在する(例えば、ある球団からのオファーが「選手にとって」いい条件でも、代理人としては歓迎できない条件の場合は、選手に伝えることなくそのオファーをもみ消すetc)」ことも指摘していました。
「ビジネス」と言ってしまえばそれまでですが、日本でも、代理人の権力が過度に大きくなることで「選手の本当の意向」がわかりにくくなりつつある傾向があります(現在のところ、それは外国人選手に顕著ですが、今後日本人選手についてもそうした傾向が出てくる可能性が無いとはいえません)。

ファンとしてみれば、やはり長年自分のひいきチームに在籍している選手を応援したいもの。ビジネス的側面が大きくなったことで引き起こされる外国人選手の早期移籍加速化(あるいは一局集中化)は、少なからずファンに無力感を与えるように思います。

さて、話を巨人の積極補強に戻したいと思います。
まあ、補強(必ずしも「補強」となっていないこともありますが)自体は、企業努力といえなくもないかもしれませんが、正直、他球団の主力を次から次へと獲り続けたこの10年の選手獲得策は、それに見合った強さを得られなかったという意味で「成功した」とは言えないでしょう。
ただ、それより何より「失敗」だったのは、そうした行為が、「巨人」というブランド自体を、どんどん薄いものにしてしまった所ににあると思います。

個人的なことを言わせてもらえれば、「巨人らしい巨人」というと、やはり中畑、原、篠塚、クロマティ、川相、鈴木康友(^^)……といったメンバーが思い浮かぶんですよね(ピッチャーでは斎藤、桑田、槇原etc)。
その後、FA選手の獲得で、落合、清原、広沢、江藤……と徐々に他球団の選手が主力を占めるようになり、段々とそうした「巨人らしさ」は薄まっていきました。
それでも、生え抜き、しかも逆指名ではないドラフトで入った松井秀喜選手がいたことで、「巨人」の色というのは残っていましたが、2002年オフに松井選手が移籍したことで、巨人ファンもそうでない人も、「巨人」の色というものがだいぶ褪せた感じがあったのではないかと思います。巨人戦の視聴率が落ちていったのも、このあたりが境になります(堀内監督下での低成績という要因も大きかったですが)。

そして今、谷選手、小笠原選手、イ・スンヨプ選手といったところが主軸を打つライインナップは、ある意味、長嶋監督時代以上に、「巨人」色が薄まっています。
もちろん、谷選手は素晴らしい選手だと思うし、小笠原選手のバッティングは、非常に見る価値があるものだと思います。

でも、東京ドームで一番声援が大きいのは「矢野選手」であるという事実。
このことが何を意味しているのか?
それに巨人のフロントが気づかないようであれば、来季以降も、巨人戦の視聴率は下がり続けるでしょうし、前述の3人も加えてさらにビッグネームがそろうラインナップとは裏腹に、球界における「巨人」の存在感というものは、ますます薄くなっていくように思います。
Commented by やすめぐお at 2007-12-25 14:57 x
グローバルな世界で選手がいったり来たりするのだから、選手の側に立てばカネもほしいでしょうし、自分を高く売ってフィールドを広げたいというのはもっともなこと。であれば、もともとの読売ブランドがなくなるのは致し方ないかと思いますぜ。
ファンにも球団そのものが好きな人と、あの球団の○○が好きな人とあるでしょうから、現状では後者にとってはなんとも気の毒な時代でおじゃるよ。昨日あっちの4番が今日、読売のベンチ控えとかですもんね。
だからわっちはかつての広沢の使い方みて、読売に愛想がつきたとです。
Commented by momiageyokohama at 2007-12-26 02:00
>やすめぐおさん
コメントありがとうございます。
自分は正直、巨人ファンではない(かといってアンチ巨人というわけでもないですが)ので、巨人が今後どうなっていってもいいといえばいいのですが、「ファンに愛される球団」という視点から考えると、巨人のフロントはどんどん自分の首を絞めているように思ってしまいますね。
あと仰るように、選手流動の加速化という状況下では、選手がより高額な年俸を求めていくのも仕方ないかもしれません。ただ、今回のグライシンガー投手のように、1年の実績だけで高額を補償する球団に移るということはこれまでの日本球界ではあまりなかったと思います。ある意味、外国人選手の代理人に、巨人を含めた日本の球団がなめられてるようにも感じてしまうのは、ちょっと考えすぎでしょうか(^^)。
by momiageyokohama | 2007-12-20 02:54 | 野球(全般) | Comments(2)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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