結構「痛い」本。
2006年 09月 08日
とりあげられている人物は、横浜高校の渡辺監督・小倉部長、清峰高校の吉田監督・清水コーチといった指導者から、元明徳義塾・河野和洋選手(松井を5打席連続敬遠した)、元今治西・曽我健太選手(義足ということで話題にされた)といった、まだ選手として野球に携わっている人たち、元佐賀商(元西武)・新谷投手、元天理・谷口投手といった現役を引退した人たち……といった面々です(ちなみに、プロローグは八重山商工)。
読み終えての感想としては、「ドラマティックな人生」、あるいは「野球の素晴らしさ」を描き出した本というよりは、こうした監督・選手達の今までの生き方を文字に起こすことで、「現実の高校野球のリアル」、そしてそこにいる「野球人達のリアル」を描き出した本のように感じました。
「高校野球が好き!」という人よりも、何らかの形で野球に携わって、そこで大なり小なり「痛み」を感じたことがある人に響く本かもしれません。
この本を企画した矢崎良一氏が以前に出した「松坂世代」もそうですが、こうした高校野球(特に強豪校といわれる高校)をリアルに描こうとした本は、読んだ後に、何ともいえない読後感が残ります。
斎藤投手や田中投手は、果たして10年後(もしくは20年後)、マスコミが望んでいない発言が許されるような状況になったとき、どういう言葉で、この3年間を振り返るのでしょうか。ちょっと楽しみです。