球場にて
2006年 05月 29日
サード・立浪に代わって、川相が守備固めに入る。
イニング間の守備練習。多くの内野手は大抵、ほぼ突っ立った形でボールを捕り、「ふわ~」とした山なりの球をファーストに投げる。
しかし、川相の腕から放たれたボールは、全く落ちることなく「真っすぐ」な直線を描いてファーストミットへ。
ボールを待っているファーストのミットは微動だにしない。もしかしたら、小学生が構えていても捕れるのではないか。
川相昌弘、御年42歳の守備力、恐るべし。
●3回の攻撃までノーヒット。4回表も2アウトランナーなしで、バッターは四番・フェルナンデス。
しかしあえなく、変化球を見逃し三振。
「あれがストライクか?」という表情で、審判に対してあからさまに不満の表情を見せるフェルナンデス。
両チームの選手が攻守交替に入り始めても、まだバッターボックスから動こうとしない。
ようやくベンチの方向に戻っていっても、まだ不満たらたら。
ベンチ前で待ってくれていたセカンドのリックがファーストミットを渡すが、フェルナンデスの動きは鈍く、すでに投球練習が始まっているピッチャーマウンドとキャッチャーの間を、何の躊躇いもなくタラタラと歩く。
ファーストのいない内野は、仕方なくセカンド・サード・ショートでボール回し。
ようやくファーストに近づいたフェルナンデスは、歩きながらショートへゴロを投げる。そのボールを捕ったショートがこれまた悪送球……。
結局、その試合はノーヒットノーランとなった。
●7回裏、巨人の攻撃は2アウト、ランナー二塁。
試合は3-0で巨人がリード。
現在好調な巨人のリリーフ陣と、五番のズレータ以降元気のないソフトバンク打線との力関係を考えると、ソフトバンクとしては1点もやれない場面。
しかし、イ・スンヨプが放った打球はレフト前へ落ちる。
そのレフトは、交流戦でDH制がないため、日頃はほどんど守ったことのない松中。
2アウトということもあり、セカンドランナーの清水は躊躇なくサードベースを回る。
巨人に決定的な4点目が入るのは確実。ボールを捕った松中は、一見投げやりのようにも見える投げ方で、「えいやっ!」とばかりにホームへ投げる。
今日の勝負は決まった……。
その3秒後、球場のほとんどのファンが予想だにしなかった光景が広がった。
もの凄く大きい放物線を描き、それでいてぐんぐん加速したボールは、キャッチャーミットへドンピシャの『ストライク』。
ホーム・タッチアウト! 追加点阻止。
アウトを見届けた松中は、レフトの守備位置で、両拳を上に突き上げ万歳をした。そして、万歳をしながらベンチへ走っていった。
それは、もの凄く不恰好な、それでいてもの凄く感情のこもった「万歳」だった。
球場では、いいシーンも、悪いシーンも、そこに行かなければ見られないものが見れます。
(と言いつつ、横スタの試合は、予定があったり雨が降ったりして、今年は一度も行けておらず……(;;))