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興奮、冷めやらず。

日本のWBC優勝から2日。しかし、いまだその熱が冷めません。

アメリカが本調子じゃなかった。韓国には負け越した。
そんなことで、今回の優勝の価値が揺らぐことは全くないと思います。

とにかく、2次リーグに入ってからのアメリカ戦、メキシコ戦、韓国戦。そして、準決勝の韓国戦、決勝のキューバ戦……。どの試合をとっても密度の濃い試合でした。
大会が始まる前から、「今まで見たことがないような試合が見られる」とは思ってはいましたが、実際試合が始まると、その期待に違わぬというか、それ以上の素晴らしい試合を見せてもらいました。

今回の大会は、誤審(「確信?」と書いてあったコラムもありましたが)騒動、韓国との3試合など、ドラマティックな要素がふんだんにありましたが、やはりこれまで日本のファンが体験したことのない「1試合の重み」という要因が、これほどまでに一投一打に熱い思いを持って見ることができた理由だと思います。

それこそ印象に残っているシーンを上げればキリがありませんが、そんななかで敢えて個人的に一番印象に残ったシーンを挙げるとすると、2次リーグのアメリカ戦、9回裏、1死満塁という大ピンチの場面での藤川選手の投球と、最後、A・ロドリゲス選手にサヨナラヒットを打たれた場面です。

無死一、二塁から、藤川投手が送りバントを三塁封殺にしてピンチが広がるのを防いだものの、続くジーター選手にデッドボールを与え、1死満塁。
例の誤審といい、明らかに流れが悪いなか、それでもここを抑えなければという場面。
フォアボール、さらには暴投も許されない状況でバッターはケン・クリフィー。たしか、ノーツーまで行ったと思うのですが、続く3球目のややボール気味の球をグリフィーが強振して空振り。
このとき、藤川投手も厳しいけど、「アメリカもプレッシャーかかっているんだ」と思いました。

その後、カウントは2-3に。
この時の藤川投手の心境、さらには守っている野手の心境(特に内野手)は、どれほどのものだろうと想像すると、物凄い気持ちの高まりを感じました。
泣いても笑っても、次の1球で勝負が決まるというボールを投げ込むピッチャーの心境。そして、絶対にホームにランナーを生還させてはいけないという状況で守る内野手の心境……(少なくても、あの場面で自分は守りたくない(^^))。

結局、グリフィーは、藤川投手の投げたやや高めのストレートを強振して三振。これで2死満塁。
それでもまだピンチは続き、バッターはA・ロドリゲス。
カウント1-1から藤川投手が投げた3球目。
少し高めに入った直球をロドリゲスが振り抜いた瞬間、「やられた!」と思いました。

しかし、痛烈にセンター前に達するかと思われた打球は、藤川投手の球威が勝ったためか、思いのほか、打球がはずまず、西岡選手の手の届く範囲に。
しかし、皮肉にも、同じく打球を追いに行った川﨑選手と「ぶつかるかも」と一瞬の躊躇があったためか(自分にはそう見えました)、打球を止めることはできず、ボールはそのままセンター前へ。
この試合、それまで、小笠原選手、岩村選手(残念ながら9回のバント処理では悪送球をしてしまいましたが)、そして川﨑選手(ショートフライを背面キャッチ)と素晴らしいプレーが次々と出ていただけに、この結末はなんともやりきれないものを感じました。
この後、しばらく起き上がれなかった西岡選手と川﨑選手の無念さはいかばかりだったか。

例の誤審もあって、この試合の日と次の日は本当に言いようのない思いだけがくすぶり続けた2日間でした(1ファンがそんな気持ちですから、実際戦った選手達は、相当にムシャクシャしたのではないでしょうか)。
これほどまでに、ただ1試合の結果が悔しかったことはなかったように思います。

大会全体に目を移してみると、審判、組み合わせ方法、開催時期など、課題も数多くあったWBCですが、多くの人が言っているように、とにかく日本の野球界にとっては素晴らしい大会だったと思います(特に、この大会を見た子ども達が野球を好きになってくれるとうれしいです)。

一方、今大会で残念だったのは、やはり日本での1次リーグでの観客の入りが少なかったこと(高すぎるチケット代が一番の原因でしょう)と、ドミニカ・プエルトリコ・ベネズエラなどの中南米の国々の試合をしっかり見ることができなかったことです(J SPORTSではやっていたようですが、さすがにそこまでチェックできなかった)。

いずれにしても、いつも言葉を選んで話すイチローが「ヤバい」というある意味陳腐な言葉でしか表現できないほど、また王監督が「ただただうれしい」というごく普通な言葉で表現したように、ただただ「よかった」というのが僕の感想です(^^)。

なお、週刊誌や新聞等で、WBCの「後遺症」や舞台裏といった記事もチラホラ見えているここ数日ですが、揚げ足取り的な記事は置いておいて、次回の大会に向けた国際的な野球機構の整備や、NPBのMLBに対する発言力向上などを提起していくことが、本来のマスコミの役割でしょう。

2009年、また同じような興奮が味わえることを期待したいと思います。
Commented by fujimino at 2006-03-24 15:15 x
素晴らしい文章で引き込まれました。
WBCの結果にも感動していますが、この文章にもまた感動しました。
勿論文章が素晴らしいからに他なりませんが、やはりまた゛まだ試合の感動が少しも薄れていないのも要因かも知れません。
何しろ嬉しいですね。
誰彼無、く出来る物なら、ブログでのハイタッチをしたい気分です。
Commented by ホッシーパンチ at 2006-03-24 20:57 x
日本の試合の日は、ことごとく仕事で、TVすら見られなかったのが
ものすごく悔やまれます。そのくらいこの大会での
日本の、そして世界の戦いぶりはすばらしかったです。
しかし、第1ラウンドの日本での試合のチケットはたしかに
高かったです。仕事帰りによれるチャンスが実はあったんですが、
当日券、最低が外野2階席の4500円を見た瞬間に、
チケット買う気がなくなりました。そんだけ払えば、
プロ野球のレギュラーシーズンなら、指定席のいいとこに
座れますからねぇ。なんとか、シーズン中の値段で
見られるようにならないものかと思うのですが。
Commented by momiageyokohama at 2006-03-24 23:26
>fujiminoさん
書き込みありがとうございます。
今回のWBCは、2次リーグ以降素晴らしい試合が多かったですが、野球を少しだけですがかじったことのある身としては、自分がもしその場にいたら…ということを考えて見ていると、ものすごい高揚感がありました。もちろん、野球を実際やったことがない方にとっても、あのなんとも言えない緊張感は、今まで体験したことのないものだったと思います。
松井秀喜選手、城島選手、井口選手といった所が出場しなかったことで、川崎(西岡)選手、多村選手、薮田選手といった選手達にスポットが当たったこともうれしかったです。
40年後、今回の優勝を振り返った時に、それをリアルタイムで見られたことに誇りを持てるよう、野球界全体も発展していってほしいですね。
Commented by momiageyokohama at 2006-03-24 23:26
>ホッシーパンチさん
書き込みありがとうございます(ブログの方にコメントも書き込ませていただいたのですが、反映されていなかったようで失礼しました)。
自分は、ちょうど出勤がルーズな時期だった(^^)ので、無事すべての試合を見ることができました(ただ決勝は、午前中用事があってHDDの追いかけ再生で見たために、途中で結果を知ってしまいましたが)。
今回の日本ラウンドのチケットの高さは、主催者側の都合か、広告会社の事情か、はたまたMLB側の問題かはわかりませんが、ちょっと盛り上がりに水を差してしまいましたね。
次回大会は日本でという声もありますが、是非このチケット問題は解決してほしいです。
by momiageyokohama | 2006-03-24 03:05 | WBC | Comments(4)

「読んだ方が野球をより好きになる記事」をという思いで、20年目に突入。横浜ファンですが、野球ファンの方ならどなたでも。時折、ボクシング等の記事も書きます。/お笑い・音楽関連の記事はこちら→http://agemomi2.exblog.jp/


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